この項で説明する手順によって、障害復旧に必要なブートストラップ情報と、ディスク構成情報を収集します。
スケジュールされたバックアップ処理においてサーバーをバックアップするたびに、ブートストラップと呼ばれる特殊なセーブセットが 1 つ作成されます。このブートストラップは、正しい障害復旧には不可欠です。ブートストラップには、Backup サーバーファイルインデックス、メディアデータベース、構成ファイルが入っています。
Backup がブートストラップ情報を保存するのは、スケジュールされたバックアップ処理の場合だけであり、手動バックアップの場合には保存されません。
Backup によって、日付、場所、セーブセット識別番号 (ID) から成る最新のブートストラップ情報が、印刷またはファイルに保存されます。スケジュールされたバックアップ処理が Backup によって行われるたびに生成されるブートストラップ情報の例を、例 1-1 に示します。ブートストラップ内容の印刷出力または電子的ファイルは、必ず安全な場所に保管しておいてください。
ブートストラップによって、前の月にバックアップされたブートストラップのセーブセットが一覧表示されます。次に例を示します。
August 20 03:30 1996 Backup bootstrap information Page 1 date time level ssid file record volume 8/19/96 2:29:08 9 1148868949 56 0 mars.005 8/20/96 2:52:25 9 1148868985 77 0 mars.001 |
Backup サーバーインデックスに対しては、savegrp コマンドを使って、スケジュールされたバックアップを行うこともできます。このコマンドは、また、プリンタまたは電子的ファイルに対してブートストラップ情報を送ります。次に、使用例を示します。
# savegrp -O -c server-name |
savegrp -O コマンドを使うには、Backup サーバーでスーパーユーザーになっている必要があります。
ブートストラップデータを印刷またはファイルに保存する機能については、『Solstice Backup 5.1 管理者ガイド』を参照してください。
ブートストラップをもっとも効率よく復旧するには、障害が起こる前にブートストラップ情報を保存しておきます。ただし、ブートストラップ情報が不明な場合は、最新のバックアップボリュームを探して、最新のブートストラップのセーブセット ID (または ssid) を見つけ出さなければなりません。scanner -B コマンドを使って、有効なブートストラップを探します。
最新の日付のブートストラップを検索したら、mmrecov コマンドを実行して、scanner コマンドによって表示されたセーブセットの ID とファイル番号を指定します。
最新のセーブセット ID は、次の手順で検索します。
スケジュールされたバックアップ処理に使用した最新のメディアをサーバーデバイスに置きます。
システムプロンプトで、最初に Backup をインストールしたディレクトリ (通常は /usr/sbin/nsr) に移動します。
scanner -B コマンドを使って、メディア上の最新のブートストラップを検索します。次に例を示します。
# /usr/sbin/nsr/scanner -B /dev/rmt/0hbn |
scanner -B コマンドによって、バックアップボリュームで検索された最新のブートストラップのセーブセット情報が次のように表示されます。
scanner: scanning 8mm tape jupiter.001 /dev/rmt/0hbn scanner: Bootstrap 1148869870 of 8/21/96 7:45:15 located on volume jupiter.001, file 88 |
重要なデータの消失から復旧するためには、さらに予防手段が必要です。つまり、障害復旧が起こる前に、ネットワーク上の各ディスクがどのようにパーティション分割され、フォーマットされているかを調べ、その情報を印刷して保存しておきます。障害によってディスクが損傷または破壊されたら、これらのディスク情報を使って、ディスクをディスククラッシュが生じる前の状態に作成し直します。各システムのディスクシステムとファイルシステムの配置がそれぞれ異なっている場合は、Backup で各システムをバックアップするたびに、同じ作業を繰り返します。
ディスク構成を作成し直す際に、復旧したデータをすべて収められるように、パーティションを大きくしなければならない場合があります。パーティションは、少なくともクラッシュの前と同じ大きさにします。
Backup サーバーのディスクがどのようにパーティション分割され、マウントされているかを調べるには、df を使います。ディスクのパーティション情報を印刷するには、それぞれのオペレーティングシステムの該当するコマンドを使います。ローカルなハードディスクを持っている Backup クライアントに対しても、同様の作業を行います。
df -k コマンドを使うと、次のような情報が得られます。
Filesystem kbytes used avail capacity Mounted on /dev/dsk/c0t3d0s0 865678 624020 155098 80% / /dev/dsk/c0t1d0s6 265807 198729 40498 83% /usr /dev/dsk/c0t1d0s4 96103 57468 29025 66% /var swap 107756 8 107748 0% /tmp |
次に、dkinfo コマンドの使用例を示します。SunOS システムでは、このコマンドを使って、各ディスクがどのようにパーティション分割されているかを知ることができます。
例 1-2 の prtvtoc コマンドの使用例は、Solaris システムで各ディスクがどのようにパーティション分割されているかを示しています。デバイス名には、df コマンドで出力されたディスク情報のデバイス名をそのまま使用します。
* /dev/dsk/c0t1d0s3 partition map * * Dimensions: * 512 bytes/sector * 80 sectors/track * 17 tracks/cylinder * 1360 sectors/cylinder * 3500 cylinders * 1965 accessible cylinders * * Flags: * 1: unmountable * 10: read-only * * First Sector Last * Partition Tag Flags Sector Count Sector Mount Directory 2 5 00 0 2672400 2672399 3 6 00 0 1434800 1434799 /export 4 7 00 1434800 205360 1640159 /var 5 6 00 1640160 463760 2103919 /opt 6 4 00 2103920 568480 2672399 /usr |
ディスクが損傷している場合は、これらのディスク情報表示用のコマンドで得られたハードコピー情報を使って、ディスクを復元し、ファイルシステムを元の状態に復旧することができます。