Sun N1 Service Provisioning System 5.2 インストールガイド

マスターサーバーのアップグレード

マスターサーバーアプリケーションのアップグレードは、通常のソフトウェアのようには行われません。まず、新バージョンのマスターサーバーを旧バージョンのマスターサーバーと同じサーバーにインストールします。続いて、旧バージョンのマスターサーバーから新バージョンのマスターサーバーにデータを移行します。

Procedureマスターサーバーのデータを移行する

5.1 バージョンのマスターサーバーデータを 5.2 マスターサーバーに移行すると、5.2 バージョンのマスターサーバー内のデータはすべて削除されます。マスターサーバーの両バージョンは、移行作業が完了するまで移行スクリプトによって停止されます。移行作業が進行している間、マスターサーバーは利用できません。

始める前に

アップグレードするサーバーのオペレーティングシステムバージョンが Sun N1 Service Provisioning System 5.2 でサポートされているか確認してください。サポートされているオペレーティングシステムのリストは、「オペレーティングシステム要件」を参照してください。

移行前にデータのバックアップをとってください。『Sun N1 Service Provisioning System 5.2 システム管理者ガイド』の第 9 章「バックアップと復元」を参照してください。

  1. 5.1 バージョンのマスターサーバーをインストールしたユーザーでマシンにログインします。

  2. 5.2 バージョンのマスターサーバーを 5.1 バージョンのマスターサーバーがインストールされているサーバーにインストールします。

    • Linux または UNIX システムを使用している場合は、「Linux および UNIX システムに Sun N1 Service Provisioning System 5.2 をインストールする」の説明に従って Sun N1 Service Provisioning System 5.2 マスターサーバーをインストールします。

    • Windows を使用している場合は、次の操作を行います。

      1. Windows Administrative Tools 内の Service アプリケーションを使用して IPC Daemon サービスを停止することにより、5.1 マスターサーバーを停止します。

      2. 5.1 マスターサーバー (具体的には IPC Daemon と Server) を手動で起動するように設定します。

      3. 「Windows に Sun N1 Service Provisioning System 5.2 マスターサーバーをインストールする」の説明に従って、5.2 バージョンのマスターサーバーをインストールします。

        5.1 バージョンのマスターサーバーマスターサーバーを所有するユーザーとグループによる所有権を指定して 5.2 マスターサーバーをインストールします。

  3. Linux および UNIX マスターサーバーの場合、移行処理中にデータベースが最適化されないようにしてください。

    データの移行中にデータベースの最適化を開始する cron ジョブがスケジュールされていないかを確認してください。

  4. コマンドプロンプトにアクセスします。

    • Linux および UNIX サーバーでは、シェルウィンドウを開いてマスターサーバーを所有するユーザーとしてログインします。

    • Windows では、Command Prompt ウィンドウを開きます。

  5. 移行スクリプトが入っているディレクトリに移動します。

    • Linux および UNIX サーバーでは、次のように入力します。


      % cd /N1SPS5.2-home/server/bin/migrate
      

      N1SPS5.2-home には、マスターサーバーをインストールしたディレクトリを指定します。

    • Windows では、次のように入力します。


      C:\> cd C:\N1SPS5.2-home\server\bin\migrate
      

      C:\N1SPS5.2-home には、マスターサーバーをインストールしたディレクトリを指定します。

  6. 移行スクリプトを起動します。

    • Linux および UNIX サーバーでは、次のように入力します。


      % ./migrateMS_5.1-5.2.sh
      

      移行スクリプトには、次のコマンド行オプションがあります。

      -a archive_file または - archive archive_file

      archive_file に、マスターサーバーのアーカイブ先を指定します。

      -bg

      移行をバックグラウンドで実行します。


      注 –

      -bg オプションを使用する場合は、MS-Migration-number.log ファイルで移行が正常に完了したことを確認してから、マスターサーバーを起動する必要があります。



      Migration started : date_and_time
      ...
      Master server migration completed successfully: date_and_time
      
      Stopping 5.2 Database
      stop Database in /opt/SUNWn1sps/N1_Service_Provisioning_System_5.2/server succeeded
      Issuing sync for flushing buffer data to disk.
      
      A log of migration can be found in 
      /opt/SUNWn1sps/N1_Service_Provisioning_System_5.2/server/bin/migration/MS-Migration-number.log
      
      A log of output of database commands can be found in 
      /opt/SUNWn1sps/N1_Service_Provisioning_System_5.2/server/bin/migration/MS-Migration-DB-CMD-number.log
      -d logfile

      データベースの移行ログ出力を、デフォルトのログファイルではなく logfile に書き込みます。

      -dbfsyncon

      パフォーマンス向上のため、データベースの復元中に fsync() システム呼び出しが移行スクリプトでオフされるようになりました。このオプションを指定すると、fsync() システム呼び出しがオンのままになります。

      -dbtextdump

      データベースの移行のために、移行スクリプトで新しい方法が使用されるようになりました。新しい方法では、テキストダンプの代わりにバイナリダンプが使用され、パフォーマンスが大幅に向上しています。-dbtextdump オプションは、以前の方法を使用する場合のために用意されています。

      -l logfile

      移行ログ出力を、デフォルトのログファイルではなく logfile に書き込みます。

      -m archive_file または - migrate archive_file

      archive_file に、マスターサーバーの移行元を指定します。

      -n new_ms_path

      新しいマスターサーバーのインストール先パスを指定します。

      -o old_ms_path

      以前のマスターサーバーのインストール先パスを指定します。

      -sj

      Java の移行をスキップします。

      -y

      デフォルトが yes になります。

    • Windows では、次のように入力します。


      C:\N1SPS5.2-home\5.2\server\bin\migrate\>.\migrateMS_5.1-5.2.cmd
      
  7. 画面上に表示される説明に従って移行作業を進めます。

    移行が完了すると、次のメッセージが表示されます。


    Master Server migration completed successfully.

    注 –

    Postgres データベース、ブラウザインタフェース、およびマスターサーバーのリスナーポート番号は移行されません。Sun N1 Service Provisioning System 5.2 マスターサーバーは、インストール時に指定されたポート番号を使用します。


  8. ログファイルをチェックし、移行中にエラーが発生していないか確認します。

    移行スクリプトにより、ログファイルの場所が表示されます。

  9. マスターサーバー ブラウザインタフェースへのアクセスに使用するブラウザのキャッシュを消去します。

    マスターサーバーをアップグレードする前にブラウザセッションを起動した場合は、ブラウザにキャッシュ化されているグラフィックとスタイルシートのために、アップグレートされたブラウザインタフェースが表示されなくなる可能性があります。

  10. 『Sun N1 Service Provisioning System 5.2 システム管理者ガイド』の第 9 章「バックアップと復元」の説明に従って、新しいマスターサーバーに移行したデータをバックアップします。

    5.1 マスターサーバーのデータを 5.2 マスターサーバーへ復元することはできません。必要に応じて使用できる正確なバックアップ一式を保持するため、5.2 マスターサーバーデータをバックアップしてください。

  11. (省略可能) 5.1 バージョンのマスターサーバーをアンインストールします。

    5.1 バージョンのマスターサーバーを使用しない場合は、第 11 章「Sun N1 Service Provisioning System 5.2 のアンインストール」の説明に従ってアンインストールできます。

マスターサーバーのデータ移行の詳細

この節では、旧バージョンのマスターサーバーから新バージョンのマスターサーバーに移行されるデータについて詳しく説明します。

マスターサーバーのデータ移行

次に、マスターサーバー上で移行されるデータの種類を示します。

表 10–1 移行の概要

マスターサーバー上のデータ 

移行対象のデータですか 

移行手段 

PostgresSQL データ 

はい 

SQL スクリプト 

既存のコマンドに変更を加えるための CLI Client スクリプト 

いいえ 

 

CLI Client でシリアル化されるオブジェクトの移行 

いいえ 

 

各ホスト上の config.properties ファイルに対する変更の移行

はい 

このファイルにリストされているプロパティは、「プロパティファイルの移行についての詳細」で説明されている方法を使用して移行する

リソースの移行 

はい 

リソースディレクトリをコピーする 

ロガー構成ファイル 

いいえ 

 

ユーザーインタフェースのカスタマイズ 

いいえ 

 

プロパティファイルの移行についての詳細

5.1 config.properties は、5.2 config.properties ファイルへ移行されます。この移行では、5.1 ファイルに入っている各プロパティーの値が、5.2 config.properties ファイルに入っているプロパティーの値と比較されます。値が同じであれば、そのプロパティは無視されます。値が異なる場合は、5.1 の値が 5.2 の config.properties ファイルにコピーされます。プロパティが、5.1 バージョンのファイルに存在するが、5.2 バージョンのファイルには存在しない場合は、5.1 バージョンの値が 5.2 バージョンのファイルに追加されます。次に示すプロパティの値は、5.2 バージョンの config.properties ファイルに移行されません。

5.1 のプロパティーファイルでこれらのプロパティーのいずれかの値を変更した場合は、5.2 config.properties ファイルの値を手動で変更する必要があります。