Java Desktop System Release 2 システム管理

第 3 章 テーマのインストール

この章では、テーマ、GNOME デスクトップで利用可能なテーマ設定、テーマ設定のオプションのインストール方法、およびカスタムオプションの作成方法について説明します。

テーマの概要

「テーマ」は、GNOME デスクトップの外観を指定する統合的な設定グループです。テーマを選ぶことにより、GNOME デスクトップの外観を変更できます。

テーマには、以下のように GNOME デスクトップの個別の部分を制御できる設定が含まれています。

コントロール

テーマのコントロール設定は、ウィンドウ、パネル、アプレットの外観を決定します。また、ウィンドウ、パネル、およびアプレット上に現れる GNOME 対応インタフェース (メニュー、アイコン、ボタンなど) の外観も決定します。利用可能なコントロール設定オプションの中には、特別なアクセシビリティ要件を満たすように設計されているものもあります。コントロール設定のオプションは、テーマ設定ツールの「コントロール」タブセクションで選択できます。

ウィンドウフレーム

テーマのウィンドウフレーム設定は、ウィンドウのフレームの外観だけを指定します。ウィンドウボーダー設定のオプションは、テーマ設定ツールの「ウィンドウボーダー」タブセクションで選択できます。

アイコン

テーマのアイコン設定は、パネルとデスクトップ背景にあるアイコンの外観を指定します。アイコン設定のオプションは、テーマ設定ツールの「アイコン」タブセクションで選択できます。

テーマのインデックスファイル

各テーマには、そのテーマの特徴を決めるインデックスファイルがあります。インデックスファイルの名前は、/usr/share/themes/theme-name/index.theme となります。

以下に、テーマのインデックスファイルのサンプルを示します。

[Desktop Entry]
Type=X-GNOME-Metatheme
Name=High Contrast Large
Name[es]=Alto contraste grande
Comment=Large black-on-white text and icons
Comment[es]=Textos e iconos grandes en negro sobre blanco
Encoding=UTF-8

[X-GNOME-Metatheme]
GtkTheme=HighContrastLargePrint
IconTheme=HighContrast
MetacityTheme=Atlanta
ApplicationFont=sans 18

以下の表に、テーマのインデックスファイルのキーを示します。

表 3–1 テーマのインデックスファイルのキー

インデックスファイルのキー 

説明 

Type

テーマが、コントロール、ウィンドウボーダー、アイコンなどの複数のテーマオプションの外観を決定することを指定する 

Name

テーマの名前。テーマ設定ツールで表示されるテーマの名前

Comment

テーマの簡単な説明。テーマ設定ツールで、テーマの名前の下に表示されるテキスト

GtkTheme

テーマ設定ツールのコントロール設定に対応。ウィンドウ、パネル、アプレットに適用されるコントロール設定オプションを指定する

IconTheme

テーマ設定ツールのアイコン設定に対応。パネルとデスクトップ背景に適用されるアイコン設定オプションを指定する

MetacityTheme

テーマ設定ツールのウィンドウフレーム設定に対応。ウィンドウに適用されるウィンドウフレーム設定のオプションを指定する

ApplicationFont

フォント設定ツールのアプリケーションフォント設定に対応

新しいコントロールオプションをインストールする

コントロール設定の新しいオプションをテーマ設定ツールで追加できます。コントロールオプションは、/usr/share/themes ディレクトリにあります。ファイルシステムでのコントロールオプションの典型的なディレクトリ構造は、以下のとおりです。

オプションファイル

/usr/share/themes/option-name/gtk-2.0/gtkrc

イメージファイル

/usr/share/themes/option-name/pixmaps/*.*

一般的にコントロール設定の新しいオプションは、.tar.gz ファイルの形で提供されます。新しいコントロールオプションをインストールするには、.tar.gz ファイルを解凍して、.tar ファイルを /usr/share/themes ディレクトリに展開します。

ユーザーは、コントロール設定に対してユーザー定義のオプションもインストールできます。コントロール設定のオプションをインストールすると、そのオプションは $HOME/.themes ディレクトリに保存されます。

新しいウィンドウフレームのオプションをインストールする

ウィンドウボーダー設定の新しいオプションをテーマ設定ツールで追加できます。ウィンドウフレームのオプションは、/usr/share/themes/option-name/metacity-1 ディレクトリにあります。ファイルシステムでのウィンドウフレームオプションの典型的なディレクトリ構造は、以下のとおりです。

オプションファイル

/usr/share/themes/option-name/metacity-1/metacity-theme-1.xml

イメージファイル

/usr/share/themes/option-name/metacity-1/*.*

一般的にウィンドウボーダー設定の新しいオプションは、.tar.gz ファイルの形で提供されます。新しいウィンドウフレームのオプションをインストールするには、.tar.gz ファイルを解凍して、.tar ファイルを /usr/share/themes ディレクトリに展開します。

ユーザーは、ウィンドウフレーム設定に対してユーザー定義のオプションもインストールできます。ウィンドウフレーム設定のオプションをインストールすると、そのオプションは $HOME/.themes ディレクトリに保存されます。

新しいアイコンオプションをインストールする

アイコン設定の新しいオプションをテーマ設定ツールで追加できます。アイコンオプションは、/usr/share/icons/option-name ディレクトリにあります。ファイルシステムでのアイコンオプションの典型的なディレクトリ構造は、以下のとおりです。

オプションファイル

/usr/share/icons/option-name

イメージファイル

/usr/share/icons/option-name/icons/*.*

一般的にアイコン設定の新しいオプションは、.tar.gz ファイルの形で提供されます。新しいアイコンオプションをインストールするには、.tar.gz ファイルを解凍して、.tar ファイルを /usr/share/icons ディレクトリに展開します。

ユーザーは、アイコン設定に対してユーザー定義のオプションもインストールできます。アイコン設定のオプションをインストールすると、そのオプションは $HOME/.icons/option-name ディレクトリに保存されます。

テーマ用の新しいアイコンのインストール

GNOME デスクトップには、特別な視覚的要件を持つユーザー用に設計されたいくつかのテーマがあります。たとえば、視力の弱いユーザー用に設計されたテーマが用意されています。アイコンを各テーマで正しく表示するためには、アイコンのバージョンが複数必要な場合もあります。

アプリケーション用に新しいアイコンをインストールしなければならない場合があります。新しいアイコンをインストールするときは、そのアイコンに対していくつかのバージョンを作成する必要があります。それによって、アイコンはそれぞれのテーマで正しく表示されます。以下のタイプのアイコンは、複数のバージョンを作成する必要があります。

新しいアイコンをインストールするときは、そのアイコンに対していくつかのバージョンを作成する必要があります。それによって、アイコンはそれぞれのテーマで正しく表示されます。アイコンは、いくつかの形式で作成できます。 たとえば PNG (Portable Network Graphic) 形式など。デスクトップ環境用のアイコンの推奨サイズは、48 x 48 ピクセルです。このサイズであれば、ほとんどのテーマでそのアイコンの大きさを変更できます。

新しいアイコンをインストールするときは、以下に示すアイコンを 48 x 48 ピクセルバージョンで作成します。

アイコンは、新しいコントロールオプションをインストールするで説明されているイメージファイルの場所にインストールします。たとえば、アイコンを HighContrastLargePrint テーマに追加する場合は、そのアイコンを /usr/share/themes/HighContrastLargePrint/pixmaps ディレクトリに追加します。該当するテーマファイルにアイコンの参照先を追加します。たとえば、アイコンを HighContrastLargePrint テーマに追加する場合には、そのアイコンへの参照を /usr/share/themes/HighContrastLargePrint/gtk-2.0/gtkrc ファイルに追加します。テーマがアイコンを GTK ストックアイコン識別子に関連付けられるように gtkrc ファイルを修正します。

アプリケーションランチャー用およびパネル用のアイコンの作成方法については、http://www.freedesktop.org/Standards/icon-theme-spec を参照してください。

カスタムコントロールオプションを作成する

コントロール設定のオプションが、ユーザーのニーズに合わない場合は、カスタムコントロールオプションを作成できます。カスタムコントロールオプションを作成するには、次の手順を実行します。

  1. オプションのディレクトリ構造を /usr/share/themes ディレクトリ内に作成します。ほかのオプションと同じディレクトリ構造を使用します。たとえば、SmallPrint というオプションを作成する場合は、次のディレクトリを作成します。

    • /usr/share/themes/SmallPrint

    • /usr/share/themes/SmallPrint/gtk-2.0

  2. ユーザー要件をほぼ満たす gtkrc ファイルを見つけます。そのファイルを新しいオプションの gtk-2.0 ディレクトリにコピーします。

  3. テキストエディタを使用して、gtkrc ファイルを開き、必要に応じてインタフェース要素の属性を変更します。

  4. 新しいオプションにイメージが含まれる場合は、そのイメージを新しいオプションの pixmaps ディレクトリにインストールします。新しいオプションが別のオプションのイメージを使用する場合は、新しいオプション用にイメージのコピーを作成する必要はありません。ただし、gtkrc ファイルの pixmap_path エントリに登録されているイメージへの参照が正しいことを確認する必要があります。

ユーザーは、コントロール設定向けの新しいオプションを選択できるようになりました。

gtkrc ファイルについては、 http://developer.gnome.org/doc/API/2.0/gtk/gtk-Resource-Files.html を参照してください。