Sun Java System Application Server 9.1 クイックスタートガイド

第 2 章 クラスタの設定

この章では、クラスタの作成および設定方法について説明します。「クラスタ」とは、同じ設定、リソース、アプリケーションを共有するサーバーインスタンス (通常は複数のホスト上にある) をグループ化したものです。クラスタにより、サーバーインスタンス間のロードバランスが保たれ、フェイルオーバーを通じて処理が継続されることで、高可用性を実現します。複数のマシンにまたがるクラスタを作成し、各マシン上で、ノードエージェントを用いてこれらのクラスタを管理することができます。

この章では、クラスタまたはエンタープライズプロファイルでドメインを実行していることを前提とします。この章で説明する内容は、次のとおりです。

クラスタの作成

このセクションでは、2 つの Application Server インスタンスを含むクラスタの作成方法について説明します。

Procedure管理コンソールを使用してクラスタを作成するには

説明を簡単にするために、クラスタは完全に 1 つのマシン内で実行されているものとします。ここで示す手順では、DAS が稼動しているのと同じホスト上にサンプルのクラスタを作成します。

始める前に

「ノードエージェントを起動するには」の説明に従って、あらかじめノードエージェントを起動しておく必要があります。クラスタの作成時にインスタンスを指定する場合は、インスタンスを実行するマシンで、実行しているノードエージェントと指定するインスタンスを関連付けます。ノードエージェントが実行されていない場合、インスタンスは起動しません。ノードエージェントとインスタンスの名前は、1 つのドメインで作成されるクラスタ間で一意のものとする必要があります。

  1. まだログインしていない場合は、管理コンソール (http:// localhost:portnumber) にログインします。

    localhost 変数を、ドメイン管理サーバーを実行するシステム名に置き換えます。portnumber を、クラスタまたはエンタープライズドメインのポート番号に置き換えます。

  2. 「共通操作」で、「新しいクラスタを作成します」をクリックし、「新しいクラスタ」ページを表示します。

  3. 新しいクラスタの名前として、cluster1 と入力します。

  4. 利用可能な設定テンプレートのドロップダウンリストから default-config 設定を選択して、「選択している設定のコピーを作成します」を選択します。

  5. 「作成するサーバーインスタンス」の下の「新規」ボタンを 2 回クリックして、クラスタ用の 2 つのインスタンスを指定する 2 つのエントリを作成します。

  6. インスタンス名として「instance1」および「 instance2」を入力します。

    または、作成して起動したノードエージェントの名前を指定することもできます。ノードエージェントを作成して起動するには、asadmin create-node-agent(1) コマンドを使用します。

  7. 「了解」をクリックします。

    「クラスタが正しく作成されました」ページが表示され、左側の区画のツリーに cluster1 が表示されます。このクラスタ用に、設定テンプレート default-config のコピーが作成され、cluster1-config という名前が割り当てられます。

  8. cluster1 クラスタを起動します。

ProcedureCLI コマンドを使用してクラスタを作成するには

  1. 次の asadmin コマンドを実行することで、cluster1 という名前のクラスタを作成します。asadmin create-cluster --user admin --passwordfile adminpassword.txt --host localhost -port 4848 cluster1

  2. 次のコマンドを実行することで、cluster1-nodeagent という名前のノードエージェントを作成します。asadmin create-node-agent --user admin --passwordfile adminpassword.txt --host localhost --port 4848 cluster1-nodeagent

  3. 次のコマンドを実行することで、このノードエージェントを起動します。asadmin start-node-agent --user admin --passwordfile adminpassword.txt --host localhost --port 4848 cluster1-nodeagent

  4. 次のコマンドを実行することで、クラスタの下に 2 つのインスタンスを作成します。

    • asadmin create-instance --user admin --passwordfile adminpassword.txt --host localhost -port 4848 --cluster cluster1 --nodeagent cluster1-nodeagent --systemproperties "JMX_SYSTEM_CONNECTOR_PORT=8687:IIOP_LISTENER_PORT=3330:IIOP_SSL_LISTENER_PORT=4440:IIOP_SSL_ MUTUALAUTH_PORT=5550:HTTP_LISTENER_PORT=1110:HTTP_SSL_LISTENER_PORT=2220" instance1

    • asadmin create-instance --user admin --passwordfile adminpassword.txt --host localhost -port 4848 --cluster cluster1 --nodeagent cluster1-nodeagent --systemproperties "JMX_SYSTEM_CONNECTOR_PORT=8688:IIOP_LISTENER_PORT=3331:IIOP_SSL_LISTENER_PORT=4441:IIOP_SSL_ MUTUALAUTH_PORT=5551:HTTP_LISTENER_PORT=1111:HTTP_SSL_LISTENER_PORT=2221" instance2

  5. 次のコマンドを実行することで、クラスタを起動します。asadmin start-cluster --user admin --passwordfile adminpassword.txt --host localhost --port 4848 cluster1

    クラスタの作成および設定方法については、『Sun Java System Application Server 9.1 高可用性 (HA) 管理ガイド』の第 6 章「Application Server クラスタの使用」を参照してください。

    ノードエージェントの作成および設定方法については、『Sun Java System Application Server 9.1 高可用性 (HA) 管理ガイド』の第 8 章「ノードエージェントの設定」を参照してください。

クラスタ化されたサーバーインスタンスのポートの表示

Procedureクラスタ化されたサーバーインスタンスのポートを表示するには

前のセクション (「クラスタの作成」) で作成したクラスタ化されたサーバーインスタンスのポート番号を表示して、デフォルト値を上書きすることができます。デフォルトでは、instance1 の HTTP ポートは 38081 で、instance2 の HTTP ポートは 38080 です。クラスタの作成時に、これらのポートがビジー状態の場合、あるいはこれらのポートが他のインスタンスまたはクラスタに割り当てられている場合は、異なるポート番号が割り当てられます。

ポート番号を表示して、オプションでデフォルト値を上書きするには、次の手順を実行します。

  1. 左側の区画でクラスタを展開し、cluster1 をクリックして、クラスタの「一般情報」ページを表示します。

  2. 「インスタンス」タブをクリックして、作成したインスタンス instance1instance2 を表示します。

    1. instance1 をクリックして、このインスタンスを調べます。

      「HTTP ポート」フィールドに、インスタンスに関連付けられた HTTP ポートと HTTPS ポートが表示されます。

    2. instance2 に対して、同じ手順を繰り返します。

次の手順

ここでは、1 つのマシンで、1 つのクラスタを作成しました。各マシンにソフトウェアをインストールし、ノードエージェントを実行している限り、同じ基本手順を使用して、複数のマシンにまたがるクラスタを作成することもできます。