Sun ONE Calendar Server 6.0 インストールガイド (Solaris 版) |
第 2 章
Calendar Server 6.0 の設定Sun Java Enterprise System インストーラを使用して Sun ONE Calendar Server をインストールした後、次のようにして Calendar Server を設定する必要があります。
- Directory Server 設定 Perl スクリプト(comm_dssetup.pl) を実行して、Sun ONE Directory Server 5.x を設定する (Messaging Server 6.0 の設定中にスクリプトを実行しなかった場合)
- Calendar Server 設定プログラム (csconfigurator.sh) を実行して、サイト固有の要件を設定する
Directory Server 設定 Perl スクリプト(comm_dssetup.pl)Directory Server 設定 Perl スクリプト (comm_dssetup.pl) を使用すると、Sun ONE Directory Server 5.x を、Calendar Server 6.0 および Messaging Server 6.0 と連動するように設定できます。comm_dssetup.pl スクリプトは、新しいスキーマ、インデックス、および設定データを設定して、Directory Server を準備します。この節では、次の項目について説明します。
comm_dssetup.pl の機能
comm_dssetup.pl では特に次のオプションを指定できます。
- Calendar Server 6.0 および Messaging Server 6.0 で使用する Directory Server 5.x のディレクトリパスおよびインスタンス
- ディレクトリ管理者の識別名 (DN) およびパスワード
- Directory Server 5.x をユーザーおよびグループで使用するか。使用する場合、DC ツリーのベースサフィックスおよび組織ツリーのユーザーおよびグループベースサフィックスも指定する必要がある
- Sun ONE LDAP Schema バージョン 1 とバージョン 2 のどちらを使用するか
- DC ツリーのベースサフィックス。LDAP Schema バージョン 1 を選択した場合
- 選択したバージョンに応じて、スキーマを更新するか
- Directory Server インデックスを追加してディレクトリ検索の効率を向上させるか
comm_dssetup.pl を実行するための要件
comm_dssetup.pl を実行するための要件は次のとおりです。
- Sun ONE Directory Server 5.x がインストールされ、設定され、実行されていること
- Directory Server 5.x を実行しているサーバーで comm_dssetup.pl を実行すること
- LDAP Schema バージョン 2 を使用する場合は、Sun ONE Identity Server 6.1 がインストールされ、設定されていること
- comm_dssetup.pl をスーパーユーザー (root) として実行すること
- ディレクトリサーバーが複数のディレクトリインスタンスに分割されている場合は、すべてのインスタンスで comm_dssetup.pl を実行すること
- 複製されたディレクトリサーバーを実行している場合は、マスターディレクトリおよびレプリカ (スレーブ) ディレクトリに対して comm_dssetup.pl を実行すること
- Calendar Server 6.0 設定プログラムを実行する前に、comm_dssetup.pl を実行すること
comm_dssetup.pl の実行
comm_dssetup.pl を実行するには、次の手順に従います。
- Directory Server 5.xがインストールされているサーバーで、スーパーユーザー (root) としてログインするか、スーパーユーザーになります。
- 必要に応じて Directory Server 5.x を起動します。
- Calendar Server 6.0がこの同じサーバーにインストールされている場合は、/opt/SUNWics5/cal/sbin ディレクトリに移動します。
または、Calendar Server 6.0 がこのサーバーにインストールされていない場合は、Messaging Server 6.0 がインストールされているサーバーから dssetup.zip ファイルをコピーします (このファイルには comm_dssetup.pl スクリプトおよびサポートファイルが含まれている)。
- comm_dssetup.pl スクリプトをサイレントモードまたはインタラクティブモードで実行します。Directory Server 5.x に付属されている次の Perl をこのスクリプトの実行に使用することをお勧めします。
ds_svr_base/bin/slapd/admin/bin/perl
サイレントモード
comm_dssetup.pl をサイレントモードで実行するには、次の構文を使用します。表 2-1 で説明している必須の引数をすべて指定する必要があります。
表 2-1 Directory Server 設定スクリプト (comm_dssetup.pl) のオプション
オプション
説明
-i yes|no
「Do you want to configure new indexes?」に回答する
yes 新しい Directory Server インデックスを追加する。Calendar Server 6.0 では comm_dssetup.pl を実行すると、icsCalendar および icsCalendarOwned 属性にインデックスが追加される
no インデックスを追加しない
-c DirectoryServerRoot
Directory Server ルートパス名。
例 : /usr/sunone/servers-d DirectoryInstance
Directory Server インスタンスのサブディレクトリ。
例 : slapd-varrius-r DCTreeSuffix
DC ツリーのルートサフィックス。例 : o=internet
-u UserGroupSuffix
ユーザーおよびグループのルートサフィックス。例 : o=isp
-s yes|no
「Do you want to update the schema?」に回答する
yes スキーマを更新する。スキーマファイルのある config ディレクトリが存在しなければならない
no スキーマを更新しない
-D DirectoryManagerDN
Directory Manager の識別名 (DN)。空白文字を含む値が comm_dssetup.pl で正しく解釈されるように、値は二重引用符 (") で囲む必要がある
例 : "cn=Directory Manager"
-w DirectoryManagerPassword
ディレクトリ管理者 DN のパスワード
-b yes|no
「Will this directory server be used for users and groups?」に回答する
yes このディレクトリに設定データとユーザーおよびグループデータの両方を格納する
no このディレクトリに設定データのみ格納する
-t 1|1.5|2
Sun ONE LDAP Schema のバージョン
-m yes|no
「Do you want to modify the directory server?」に回答する
yes ユーザーの確認なしで、ディレクトリサーバーを変更する
no ディレクトリサーバーの変更には、ユーザーの確認が必要
-S PathtoSchemaFiles
スキーマファイルの存在するディレクトリへのパス。例 : ./schema
例
perl comm_dssetup.pl -i yes -c /var/mps/serverroot -d slapd-ketu -r o=internet -u o=usergroup" -s yes -D "cn=Directory Manager" -w password -b yes -t 1 -m yes
サイレントモードで comm_dssetup.pl を実行すると、Directory Server を実際に変更する前に、「インタラクティブモード」の手順 11. 設定の概要に似た概要が表示されます。
インタラクティブモード
comm_dssetup.pl スクリプトをインタラクティブモードで実行するには、あらゆる引数を使用せずに実行し、求められるたびに選択内容を入力します。
1. ようこそ画面と概要
# perl comm_dssetup.pl
Welcome to the Directory Server preparation tool for Sun ONE Messaging Server.
(Version 6.0 Revision 0.004)
This tool prepares your directory server for Sun ONE Messaging Server install.
The logfile is /var/tmp/dssetup_YYYYMMDDHHSS
Do you want to continue [y]:
続ける場合は Enter キーを押し、終了する場合は no と入力して Enter キーを押します。
注
ようこそメッセージは Sun ONE Messaging Server についてだけ言及していますが、comm_dssetup.pl は Sun ONE Calendar Server に対しても適用されます。
2. Directory Server のインストールルート
Please enter the full path to the directory where the Sun ONE Directory Server was installed.
Directory server root [/var/mps/serverroot]
Directory Server のインストールルートの位置を指定します。
3. Directory Server インスタンス
Please select a directory server instance from the following list:
[1] slapd-varrius
Which instance do you want [1]:
Directory Server インスタンスがサーバーに複数存在する場合は、Calendar Server で使用するように設定するインスタンスを選択します。
4. ディレクトリ管理者の識別名 (DN)
ディレクトリ管理者 DN (cn=Directory Manager) とは、組織ツリーのユーザーおよびグループデータの管理者です。このスクリプトで指定するディレクトリ管理者 DN は、Directory Server および Calendar Server に設定した DN と同じにしてください。
5. ユーザーおよびグループの Directory Server
「Yes」と答えた場合は、DC ツリーのベースサフィックスおよび組織ツリーのユーザーおよびグループベースサフィックスも指定する必要があります。
「No」と答えた場合は、このディレクトリインスタンスが設定データだけを格納するために使用されると仮定され、スキーマファイルの更新に関する質問に進みます。設定ディレクトリインスタンスに対してこのスクリプトを実行し終えたら、Calendar Server を設定する前に、ユーザーおよびグループデータを格納するディレクトリインスタンスに対してこのスクリプトを実行する必要があります。
6. ユーザーおよびグループのベースサフィックス
ユーザーおよびグループのベースサフィックスは、ユーザーおよびグループのエントリのネームスペースを保持する組織ツリーの最上位エントリです。選択したユーザーおよびグループのベースサフィックスは、Directory Server および Calendar Server で指定したベースサフィックスと同じにしてください。
Identity Server をインストールしてある場合は、Identity Server で指定したサフィックスが、この質問で指定するサフィックスと同じであるようにしてください。同じサフィックスを使用しない場合、Calendar Server は Identity Server を認識しません。
7. スキーマタイプ
There are 3 possible schema types:
1 - schema 1 for systems with iMS 5.x data
1.5 - schema 2 compatibility for systems with iMS 5.x data that has been converted with imsdirmig
2 - schema 2 native for systems using Identity Server
Please enter the Schema Type (1, 1.5, 2) [1]:
使用するスキーマのバージョンを選択します。
Sun ONE LDAP Schema バージョン 2 (オプション 1.5 または 2) を使用する場合は、Sun ONE Identity Server 6.1 がインストールされ、設定されている必要があります。そうでない場合、comm_dssetup.pl は終了します。終了したときは、Identity Server をインストールしてから、このスクリプトをもう一度実行する必要があります。
8. ドメインコンポーネント (DC) ツリーのベースサフィックス
手順 7. スキーマタイプでオプション 1 または 1.5 を選択した場合は、DC ツリーのベースサフィックスを指定するようにメッセージが表示されます。オプション 2 を選択した場合は、この質問は表示されません。
DC ツリーはローカル DNS 構造を反映しています。ユーザーおよびグループのデータエントリを含む組織ツリーのインデックスとして、システムによって使用されます。DC ツリーのベースサフィックスは、DC ツリーの最上位エントリの名前です。デフォルト (o=internet) を選択することも、別の名前を選択することもできます。
9. スキーマファイルの更新
「Yes」と答えた場合、comm_dssetup.pl では新しい要素をスキーマに追加します。Calendar Server または Messaging Server の新しいバージョンをインストールするたびに、新しいスキーマファイルでディレクトリを更新することをお勧めします。
10. 新しいインデックスの設定
手順 5. ユーザーおよびグループの Directory Server で「Yes」と答えた場合、新しいインデックスを設定するかどうかを確認されます。新しいインデックスを設定すると、ディレクトリ検索のパフォーマンスが向上します。
Calendar Server 6.0 では comm_dssetup.pl を実行すると、icsCalendar および icsCalendarOwned 属性にインデックスが追加されます。「Yes」と答えることをお勧めします。
11. 設定の概要
comm_dssetup.pl で Directory Server 設定を更新する前に、設定内容の概要が表示され、先に進むかどうか確認されます。
Here is a summary of the settings that you chose:
Server Root : /var/mps/serverroot/
Server Instance : slapd-varrius
Users/Groups Directory : Yes
Update Schema : yes
Schema Type : 1
DC Root : o=internet
User/Group Root : o=usergroup
Add New Indexes : yes
Schema Directory : ./schema **
Directory Manager DN : cn=Directory Manager
Now ready to generate a shell script and ldif file to modify the Directory.
No changes to the Directory Server will be made this time.
Do you want to continue [y]:
手順 7. スキーマタイプでオプション 2 (Sun ONE LDAP Schema バージョン 2 ネイティブモード) を選択した場合は、DC ルートの値はユーザー / グループルートで入力した値と同じになります。
設定内容を変更する場合は、「No」と入力し、スクリプトを再実行します。
先に進む場合は、comm_dssetup.pl によって、Directory Server インデックスおよびスキーマを更新するための次の LDIF ファイルおよびシェルスクリプトが作成されます。
/var/tmp/dssetup_timestamp.ldif
/var/tmp/dssetup_timestamp.shここで comm_dssetup.pl ではもう一度、先に進むか確認されます。dssetup_timestamp.sh スクリプトを実行する場合は「Yes」、終了する場合は「No」と入力します。終了する場合は、/var/tmp/dssetup_timestamp.sh スクリプトを後で実行する必要があります。
Calendar Server 設定プログラム (csconfigurator.sh)Calendar Server 6.0 設定プログラム (csconfigurator.sh) では、Calendar Server を設定できます。設定プログラムでは次のディレクトリに新しい ics.conf 設定ファイルを作成します。
/etc/opt/SUNWics5/config
設定プログラムでは最小限の設定を行います。設定プログラムの実行後、『Sun ONE Calendar Server 管理者ガイド』で説明するような設定を追加実行する必要がある場合があります。
設定プログラムではグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を使用します。プログラムをリモートで実行する場合は、DISPLAY 環境変数を正しく設定し、サーバーからの X-Windows 接続でコンピュータに表示されるようにする必要があります。たとえば xhost ユーティリティを使用するには、次のコマンドをコンピュータで実行します。xhost +
設定プログラムを実行するには、スーパーユーザー (root) としてログインするかスーパーユーザーになり、/opt/SUNWics5/cal/sbin ディレクトリに移動します。次に、以下のコマンドを発行します。
# sh ./csconfigurator.sh
設定プログラムでは、次の一連のパネルを表示します。
「ようこそ」パネル図 2-1 Calendar Server 設定プログラムの「ようこそ」パネル
「Next」をクリックして先に進むか、「Cancel」をクリックして終了します。
「Administration, User Preferences and Authentication」パネル図 2-2 Calendar Server 設定プログラムの「Administration, User Preferences and Authentication」パネル
「User Preferences Directory」のオプション
「Calendar Server Administrator」のオプション
先に進む場合は「Next」、前のパネルに戻るには「Back」、終了するには「Cancel」をクリックします。
「Email and Email Alarms」パネル図 2-3 Calendar Server 設定プログラムの「Email and Email Alarms」パネル
先に進む場合は「Next」、前のパネルに戻るには「Back」、終了するには「Cancel」をクリックします。
「Runtime Configuration」パネル図 2-4 Calendar Server 設定プログラムの「Runtime Configuration」パネル
- 「Service Port」 ユーザーに Web (HTTP) アクセスを提供するために Calendar Server が使用する Web ポート番号。デフォルト : 80
- 「Maximum Sessions」 同時に可能な Calendar Server セッションの最大数。デフォルト : 5000
- 「Maximum Threads」 同時に可能な Calendar Server スレッドの最大数。デフォルト : 20
- 「Number of Server Processes」 サーバーで実行される Calendar Server プロセスの最大数。デフォルト : Calendar Server をインストールしているサーバーの CPU 数
- 「Runtime User ID」 Calendar Server を実行する UNIX ユーザー名。この名前は root 以外でなければならない。アカウントが存在しない場合は、設定プログラムによって作成される。デフォルト : icsuser
- 「Runtime Group ID」 Calendar Server を実行する UNIX グループ。グループが存在しない場合は、設定プログラムによって作成される。デフォルト : icsgroup
- 「Calendar Server Startup」のオプション
先に進む場合は「Next」、前のパネルに戻るには「Back」、終了するには「Cancel」をクリックします。
「Select Directories」パネル図 2-5 Calendar Server 設定プログラムの「Select Directories」パネル
各ディレクトリについて、デフォルトのディレクトリを使用するか、別のディレクトリのフルパスを入力するか、あるいは「Browse...」をクリックしてディレクトリを選択します。次に、先に進む場合は「Next」、前のパネルに戻るには「Back」、終了するには「Cancel」をクリックします。
「Ready to Configure」パネル図 2-6 Calendar Server 設定プログラムの「Ready to Configure」パネル
Calendar Server を設定する場合は「Configure Now」、前のパネルに戻るには「Back」、終了するには「Cancel」をクリックします。
「Configuration Summary」パネル図 2-7 Calendar Server 設定プログラムの「概要」パネル
設定の概要の詳細を表示する場合は「Details...」、設定プログラムを終了する場合は「Close」をクリックします。