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Sun ONE Messaging Server 6.0 リファレンスマニュアル

第 5 章
Messaging Multiplexor の構成

この章では、Messaging Multiplexor の設定について説明します。この章には、以下の節があります。


Messenger Express などの HTTP ユーザーメールボックスを構成するには、『Sun ONE Messaging Server 管理者ガイド』、「Multiplexor サポートを設定して管理する」の章を参照してください。



暗号化 (SSL) オプション

Sun ONE Messaging Multiplexor は、Messaging Server とメールクライアント間の暗号化 (SSL) 通信および非暗号化通信をサポートしています。

SSL が有効になっている場合、MMP IMAP は、標準 IMAP ポートの STARTTLS とポート 993 の IMAP+SSL をサポートします。また、MMP をポート 995 で POP+SSL をリッスンするように設定することも可能です。

SSL を IMAP サービスまたは POP サービスに対して有効にするには、それぞれ ImapProxyAService.cfg および PopProxyAService.cfg ファイルを編集します。また、各 IMAP サーバーまたは POP サーバーがセキュアサーバーであるかどうかに関わらず、AService.cfg ファイルの default:ServiceList オプションを編集し、ファイル内ですべての IMAP および POP サーバーポートのリストを含める必要があります。

SMTP プロキシサービスに対して SSL 暗号化を有効にするには、SmtpProxyAService.cfg ファイルを編集します。

SSL 設定パラメータ (表 5-1) はコメントアウトされているため、デフォルト設定では SSL が無効になっています。証明書は、『Sun ONE Messaging Server 管理者ガイド』の説明にしたがってインストールします。SSL を有効にするには、コメントアウトを外し、以下のパラメータを設定します。

表 5-1 SSL の設定パラメータ 

パラメータ

説明

SSLBacksidePort

SSL を使用するために、Messaging Multiplexor がストアサーバー上で接続しようとするポート番号。このパラメータが設定されていない場合は、ストアに接続する際に SSL が使用されない

デフォルト値はないが、POP にはポート 993、IMAP にはポート 995 を使用する

このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

SSLCacheDir

SSL セッションのキャッシュディレクトリ

推奨されるディレクトリの値は、msg_svr_base/config

SSLCertFile

これに代わって、オプション SSLCertPrefix を使用する

SSLCertNicknames

サーバー証明書として提供する、SSL 証明書データベース内の証明書のニックネーム

推奨される値は Server-Cert

SSLCertPrefix

SSL 証明書データベースファイルへの、ファイル名プレフィックス。証明書データベースファイルは、SSLCacheDir 設定で指定したディレクトリにある必要がある。推奨される値は ""

SSLEnable

SSL を有効にするかどうかを指定する。「True」または「Yes」または「1」に設定すると、Multiplexor は STARTTLS (IMAP、SMTP 用) または STLS (POP 用) コマンドを有効にする。別のポートの SSL を有効にするには、SSLPorts オプションに加えてこのオプションも設定する必要がある

SSL が有効になっている場合は、以下に示す変数がすべて設定されていなければならない。空のパラメータを指定するには、空の引用符 ("") を使用する

SSLPorts
SSLCertPrefix
SSLKeyPrefix
SSLKeyPasswdFile
SSLCertNicknames

デフォルトは no (SSL が有効ではない)

SSLKeyPrefix

キーデータベースファイルの場所 (このサーバーの証明書を入手するときに定義する)。Messaging Multiplexor を使用するには、SSL サーバー証明書に対応するプライベートキーが必要。ここには、Messaging Multiplexor インストールディレクトリの絶対パス (相対パスではない) を指定する

推奨される値は msg_svr_base/config/key3.db

このファイルは、Multiplexor とその他の承認されたサーバー以外は読み取りができないよう、必ず保護する

SSLKeyPasswdFile

プライベートキーファイルへのアクセスを保護するパスワードのファイルの場所。キーがパスワードで保護されていない場合は、パスワードを null にすることができる

デフォルトは msg_svr_base/config/sslpassword.conf

SSLPorts

SSL がオンになるポート (受け入れられた SSL 接続)。構文は、以下のとおり

[ IP ":"] PORT [ "|" [ IP ":"] PORT ]

例 : 993|127.0.0.1:1993 は、ポート 993 の IP およびポート 1993 のローカルホストへの接続が、受け入れられた時点で SSL を取得することを意味する

デフォルト値はないが、POP にはポート 993、IMAP にはポート 995 の使用が推奨されているポートを設定しても、そのポートが ServiceList (「Multiplexor の設定パラメータ」を参照) に含まれていなければ、実際に Messaging Multiplexor はそのポートへの接続を受け入れない。このパラメータが設定されておらず、SSLEnable が「true」または「yes」に設定されている場合は、IMAP STARTTLS だけが有効になる

SSLSecmodFile

セキュリティモジュールデータベースファイルの場所。SSL 符号化方式のハードウェアアクセラレータを使用している場合は、このファイルによってアクセラレータに関する記述が Messaging Multiplexor に渡される

推奨される値は secmod.db


Multiplexor の設定

この節では、Messaging Multiplexor の設定方法について説明します。

Multiplexor の設定ファイル

Messaging Multiplexor を設定するには、表 5-2 に示す Messaging Multiplexor 設定ファイルの設定パラメータを手動で編集する必要があります。

表 5-2 Messaging Multiplexor の設定ファイル 

ファイル

説明

PopProxyAService.cfg

POP サービス用の設定変数を指定する設定ファイル

PopProxyAService-def.cfg

POP サービスの設定テンプレート。PopProxyAService.cfg ファイルが存在しない場合、PopProxyAService-def.cfg テンプレートがコピーされて新しい PopProxyAService.cfg ファイルが作成される

ImapProxyAService.cfg

IMAP サービス用の設定変数を指定する設定ファイル

ImapProxyAService-def.cfg

IMAP サービスの設定テンプレート。ImapProxyAService.cfg ファイルが存在しない場合、ImapProxyAService-def.cfg テンプレートがコピーされて新しい ImapProxyAService.cfg ファイルが作成される

AService.cfg

起動するサービス、および POP サービスと IMAP サービスが共有するオプションを指定する設定ファイル

AService-def.cfg

起動するサービス、および POP サービスと IMAP サービスが共有するオプションを指定する設定テンプレート。AService.cfg ファイルが存在しない場合、AService-def.cfg テンプレートがコピーされて新しい AService.cfg ファイルが作成される

SmtpProxyAService.cfg

SMTP プロキシサービス用の設定変数を指定するオプションの設定ファイル。POP before SMTP を有効にする場合は必須。POP before SMTP を有効にしない場合でも、SSL ハードウェアのサポートを最大にするのに役立つ。POP before SMTP の詳細については、『Sun ONE Messaging Server 管理者ガイド』を参照

SmtpProxyAService-def.cfg

SMTP プロキシサービス用の設定変数を指定する設定テンプレート。SmtpProxyAService.cfg ファイルが存在しない場合、SmtpProxyAService-def.cfg テンプレートがコピーされて新しい SmtpProxyAService.cfg ファイルが作成される

例として、LogDir パラメータおよび LogLevel パラメータは、すべての設定ファイルで使用されています。これらのパラメータは、ImapProxyAService.cfg ファイルでは IMAP 関連イベントのロギングパラメータを設定する目的で使われており、PopProxyAService.cfg ファイルでは POP 関連イベントのロギングパラメータを設定するために使われています。ただし、AService.cfg ファイルの中で、LogDir および LogLevel は、POP サービスまたは IMAP サービスの起動に失敗した場合など、Messaging Multiplexor に関する全般的な問題を記録するために使用されています。

以下の設定パラメータは、AService.cfg ファイルの中で定義されています。

これらのパラメータの説明については、「Multiplexor の設定パラメータ」を参照してください。

Messaging Multiplexor の設定ファイルは、msg_svr_base/mmp-hostname ディレクトリに保存されています。msg_svr_base は Messaging Server をインストールしたディレクトリ、mmp-ホスト名は MMP インスタンスにちなんで名付けられたサブディレクトリを表します。

Multiplexor の設定パラメータ

Messaging Multiplexor の設定ファイルにあるさまざまな設定パラメータを指定して、Messaging Multiplexor の動作を制御することができます。

表 5-3 に、設定可能なパラメータを説明します。


異なるインスタンスの設定パラメータを同じ設定ファイル内で指定するために、すべてのパラメータの先頭に、デフォルトのセクションであることを示す「default:」が付けられています。詳細については、表 5-3ServiceList パラメータを参照してください。


表 5-3 Multiplexor の設定パラメータ 

変数

説明

AuthCacheSize
AuthCacheTTL

Messaging Multiplexor が 事前認証の結果をキャッシュできるようになる。AuthCacheSize パラメータはキャッシュエントリの数を、AuthCacheTTL はエントリが保存される時間 (秒数) をそれぞれ定義する。値を小さくするとパフォーマンスが低下するが、サーバーパスワードの変更の認識速度が早くなる。値を大きくするとパフォーマンスが向上するが、サーバーパスワードの変更の認識速度が遅くなる

AuthCacheSize の設定を大きくすると、パフォーマンスが向上するが、多くのメモリを使用する。設定を小さくするとパフォーマンスが低下するが、使用するメモリ量が減る

AuchCacheTTL は、キャッシュエントリがキャッシュに保持され続ける時間を制御する。LDAP でエントリに加えた変更は、そのエントリの TTL の有効期限が切れないと、MMP からは認識されない。パスワードの変更を MMP に少なくとも 15 分おきには認識させたい場合は、この値を 900 に設定すること

これらの変数は、PreAuth が yes に設定されているときだけ使用される

デフォルトではそれぞれ、AuthCacheSize が 10,000、AuthCacheTTL が 900 になっている

このオプションは SMTP プロキシには適用されない

AuthenticationLdapAttributes

検索し AuthenticationServer オプションで指定したサードパーティ認証サーバーに渡すための、スペースで区切られた追加 LDAP 属性のリスト

AuthenticationServer

MMP とともに使用するサードパーティ認証サービスの、ホスト名とポート番号を指定する。MMP と同じマシン上でサードパーティの認証サービスが利用可能な場合、推奨される値は 127.0.0.1:56。開発者用の手順および SDK は、ディレクトリ msg_svr_base/examples/tpauth を参照

設定しない場合、MMP は LDAP 経由で認証する。PreAuth オプションが yes に設定されない限り、このパラメータは無視される。このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

AuthService
AuthServiceTTL

AuthService が yes に設定されており、かつ AuthServiceTTL がゼロ以外の数値である場合は、POP before SMTP リレーの認証のために Messaging Multiplexor は、現在誰が Messaging Multiplexor にログインしているのかに関するクエリを受け入れる。AuthServiceTTL は、認証記録が有効である期間を秒で表す

デフォルトではそれぞれ、AuthService が no で、AuthServiceTTL が -1 になっている

AuthService パラメータをグローバルにオンにする必要はまったくと言ってよいほどない。この設定は仮想ドメインで行う必要がある。AuthService パラメータを yes に設定すると、POP プロトコルで xqueryauth ip-address コマンドでの AuthService キャッシュのプローブが許可される

POP before SMTP サービスの場合、AuthServiceTTL を、PopProxyAService.cfg ファイルで 0 より大きい値に設定する必要がある。他のすべての MMP プロキシ (SMTP および IMAP) の場合、AuthServiceTTL は、省略するか -1 に設定する必要がある。デフォルトでは、AuthServiceTTL パラメータは PopProxyAService.cfg 設定ファイルだけにある

BacksidePort

メッセージストアサーバーに接続するポート。このパラメータにより、Messaging Multiplexor とストアサーバーを同一のマシンで実行できるようになる。この場合、ストアサーバーは別のポートを使用する。この方法は、フラットな設定すなわち Messaging Multiplexor をすべてのマシン上で実行したい場合に使用するとよいだろう

このオプションは SMTP プロキシには適用されない。SmtpRelays パラメータは SMTP プロキシと同等の機能を備えている

デフォルトではそれぞれ、POP3 が 110、IMAP が 143 に設定されている (標準ポート)

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見出しの置換文字列。Messaging Multiplexor は、グリーティング行に指定された文字列を使用する

デフォルトの見出し文字列には、ソフトウェア名とバージョン情報が含まれている

BeTheUser および BeTheGroup

接続を待機し始めると、BeTheUser が Messaging Multiplexor のユーザー ID、BeTheGroup が Messaging Multiplexor のグループ ID になる。これらの値は Messaging Server configure インストールプログラムにより設定される。これらの変数は UNIX 専用で、Windows プラットフォームでは無視される

BeTheUser パラメータおよび BeTheGroup パラメータは、AService.cfg 設定ファイルだけにある

BGMax
BGPenalty
BGMaxBadness
BGDecay
BGLinear
BGExcluded

BadGuys 設定パラメータ。特定のクライアント IP アドレスからの認証が失敗すると、それ以降その IP アドレスから認証を試みると「BadGuys」として扱われ、遅延される。認証の失敗の後に認証に成功すると、成功した認証は遅れるが、IP アドレスは以降の試行では「BadGuy」として扱われなくなる

BGMax は、同時にトラッキングする BadGuys の最大数を表す。デフォルトは 10,000

BGPenalty は、認証に失敗した場合に BadGuy の文に追加される秒単位の時間。デフォルトは 2

BGMaxBadness は、認証の失敗に対する最大ペナルティの長さを秒単位で表す。デフォルトは 60

BGDecay は、BadGuy のペナルティが許されるまでの時間を秒単位で表す。デフォルトは 900

BGLinear は、BadGuy のペナルティが時間とともに直線的に減少するのか、あるいは期限が切れたときに突然なくなるのかを定義するためのもの。デフルトは no でペナルティは期限が切れたときに突然なくなる

BGExcluded は、除外された IP/ マスクペアのリスト、またはこれらのペアを調べるために読み取るファイルの名前を表す。これらのクライアントアドレスは、認証が失敗してもペナルティは受けない (デフォルト値はない)

BadGuys パラメータは、PreAuth が yes に設定されているときだけ使用される。これらのパラメータは SMTP プロキシには適用されない

BindDN
BindPass

Directory Server への認証に使われる識別名およびパスワード。BindDN には、 BaseDN にアクセスするために LdapURL で指定された権限が必要

Messaging Server デフォルトディレクトリの ACI では、Directory Server に対してユーザーを認証するためのバインドが必要となる。

これらのオプションは ImapProxyAservice.cfgPopProxyAservice.cfg の設定ファイルにある。これらのパラメータは SMTP プロキシには適用されない

CanonicalVirtualDomainDelim

標準の仮想ドメインデリミタ。Messaging Multiplexor によって使用される文字で、メッセージストアサーバーおよび LDAP サーバーに対して通信を行うときにユーザー ID とその後に続く仮想ドメインとを区別する

デフォルトは @ で、LDAP およびメッセージストアサーバーに渡されるユーザー ID は userid@virtual.domain という形式になる

このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

Capability

能力置換文字列。Messaging Multiplexor は、デフォルト (独自) の能力ではなく Capability に指定された文字列を使って、クライアントまたはその背後にあるサーバーが何をできるのかを IMAP クライアントに伝える。この変数は、POP3 では効果がない

バックエンド IMAP サーバーがすべて、同じバージョンのメッセージングサーバーインストーラからの Sun ONE サーバーである場合は、この文字列を変更する必要はない。それ以外の場合は、すべてのバックエンド IMAP サーバーがサポートする機能のみが含まれるよう機能リストを必ず指定する。各種類のバックエンドサーバーのポート 143 に telnet し、c capability コマンドを入力すると、適切な文字列を決定できる。これにより、すべてのバックエンド IMAP サーバーでサポートされている機能のみがリストされる

デフォルトの能力を示す文字列は以下のとおり (改行はない)

"IMAP4 IMAP4rev1 ACL QUOTA LITERAL+ NAMESPACE UIDPLUS CHILDREN BINARY LANGUAGE XSENDER X-NETSCAPE XSERVERINFO"

Messaging Server 5.2 のバックエンドのメールストアを使用する場合、BINARY オプションを省略する必要がある。

このパラメータは SMTP プロキシには適用されないEhloKeywords パラメータは SMTP プロキシとほぼ同等の機能を備えている

CertmapDN

UserGroupDN と同等であり、新しい名称の UserGroupDN が優先されるため、このオプションは廃止される

CertMapFile

SSL のクライアントの証明書に基づく認証に使用するファイルである、証明書マップファイル

デフォルトはない

推奨される値は msg_svr_base/config/certmap.conf

ClientLookup

yes に設定されている場合、クライアント IP アドレスで DNS 逆引き検索を実行する。逆引き検索は無条件で実行されるため、SMTP リレーサーバーでこれを実行する必要はない。このオプションはホストドメインごとに設定できる

ClientLookup パラメータによって SMTP のパフォーマンスは向上するが、POP または IMAP とともに使用するときには利点がない。ホスト名が、グローバルな TCPAccess フィルタで使用される場合、ドメインごと、またはユーザーアクセスフィルタごとに使用される場合、DNS 検索はこの設定とは無関係に実行される

このオプションのデフォルトは no

例 :
default:ClientLookup yes

ConnLimits

単一のクライアント IP アドレスから許可される同時接続の数を制限する

次の形式で記述され、各エントリはコンマで区切られる

IP "|" MASK ":" NUM

または、これらのエントリを 1 つ以上含む特定ファイルのパスおよび名前。エントリはそれぞれ別の行に記述する。これらのエントリは、最も特定化された IP-MASK のペアを先頭にし、より特定化されているものから順に配置する必要がある

デフォルトは 0.0.0.0|0.0.0.0:20

CRAMs

APOP と CRAM-MD5 を含む CRAM (Challenge-Response Authentication Mechanism) を有効にするかどうかを示すブール代数値。これを機能させるには、LDAP に平文形式で保存されているパスワードと、userPassword 属性への読み取りアクセスを持つ BindDN が必要

デフォルトは no。このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

DefaultDomain

POP ユーザーと IMAP ユーザーは、認証を行うとき、通常は資格のないユーザー ID を指定する。このユーザー ID にはドメイン部がない。DefaultDomain パラメータの値は、資格のないユーザー ID に付け加えられる。このパラメータを MMP 仮想ドメインパラメータとして使用すると、複数の IP アドレスを持つ MMP サーバーで複数のホストドメインに対する資格のないユーザー ID をサポートできる。また、サービス全体のパラメータとして設定することもできる

このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

EhloKeywords

クライアントとデフォルトのセットに渡すプロキシの EHLO 拡張キーワードのリスト。MMP は、SMTP リレーによって返される EHLO リストから、認識されない EHLO キーワードを削除する。EhloKeywords は、リストから削除されない追加の EHLO キーワードを指定する。デフォルトは空だが、SMTP プロキシは以下のキーワードをサポートする。これらのキーワードをこのオプションにリストする必要はない。8BITMIMEPIPELININGENHANCEDSTATUSCODESEXPNHELPXLOOPETRNSIZESTARTTLSAUTH

以下に、めったに使用されない TURN 拡張を用いるサイトでの使用例を示す

デフォルト : EhloKeywords TURN

このパラメータは SmtpProxyAService.cfg ファイルだけにある

FailoverTimeout

SMTP リレーへの接続に失敗すると、MMP は、フェイルオーバーのタイムアウトに相当する時間 (分) 、その SMTP リレーを試行できないようにする。たとえば、フェイルオーバーのタイムアウトが 10 秒のときに、リレーが失敗すると MMP は 10 分間、そのリレーを試そうとしない

デフォルトは 10 秒

HostedDomains

HostedDomains をサポートするかどうかを表すブール代数値

Sun ONE Messaging Server のディレクトリスキーマ (Sun ONE LDAP Schema, v1 または Sun ONE LDAP Schema, v2) を使用している場合、デフォルトの「Yes」に設定する必要がある

no に設定すると、MMP は、サーバーが 1 つのドメインだけをサポートし、それぞれ固有の UID を持つ、サーバーがサポートするすべてのユーザーを含むディレクトリサブツリーを LdapUrl がポイントする。小さな企業であっても名称変更や企業買収などにより複数ドメインが必要になる可能性があるため、HostedDomains を「no」に設定することは勧められない

yes に設定した場合、MMP は msg_svr_base/config/option.dat ファイルにある次の MTA オプションを遵守する

LDAP_SCHEMALEVEL
LDAP_DOMAIN_FILTER_SCHEMA1
LDAP_DOMAIN_FILTER_SCHEMA2
LDAP_ATTR_DOMAIN1_SCHEMA2
LDAP_ATTR_DOMAIN2_SCHEMA2
LDAP_GLOBAL_CONFIG_TEMPLATES
LDAP_ATTR_DOMAIN_SEARCH_FILTER
LDAP_DOMAIN_ATTR_BASEDN
LDAP_DOMAIN_ATTR_CANONICAL
LDAP_DOMAIN_ATTR_ALIAS

これらの設定は、Sun ONE LDAP Schema, v2 を MMP とともに使用可能にするために使用される場合もある

デフォルトは「Yes」。このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

LdapCacheSize
LdapCacheTTL

Messaging Multiplexor はユーザーの検索結果をキャッシュすることができる。LdapCacheSize パラメータはキャッシュエントリの数を、LdapCacheTTL はエントリが保存される時間 (秒数) をそれぞれ定義する。値を小さくするとパフォーマンスが低下するが、LDAP ユーザー設定の変更の認識速度が速くなる。値を大きくするとパフォーマンスが向上するが、LDAP ユーザー設定の変更の認識速度が遅くなる

デフォルトは LdapCacheSize が 10,000 で、LdapCacheTTL が 900

これらのパラメータは SMTP プロキシには適用されない

LdapRefreshInterval

MMP が LDAP サーバーとの接続を開いたままにする秒数。更新間隔が過ぎたことを MMP が検知すると、MMP は LDAP 接続を閉じ新しい接続を開く

デフォルトは 2100 (35 分)

LdapUrl

HostedDomainsyes (デフォルト) に設定されている場合の、サイトの DC ディレクトリツリーにおける最上位へのポインタ。HostedDomains が no に設定されている場合、サーバーがサポートするすべてのユーザーを含むディレクトリサブツリーを LdapUrl がポイントすると想定するMessaging Multiplexor を正確に動作させるためには、このパラメータを必ず設定しなければならない

SSL (LDAPS) はサポートされているが、SSL の設定が正しく、SSL を使用できる状態になっていなければならない。フェイルオーバーを有効にするには、URL のホスト部分をスペースで区切ったホストのリストにする。URL にスペースが含まれる場合は、URL 全体を二重引用符で囲む

例 :
"ldap://ldap1 ldap2/o=internet"

デフォルトは ldap://ローカルホスト/o=internet

このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

LogDir
LogLevel

LogDir は、Messaging Multiplexor がログファイルを作成するディレクトリ。存在しないディレクトリを指定すると、ログファイルは作成されない。ログファイルの名前は、サービスを区別できるように付けられる。たとえば、IMAP のログファイルは ImapProxy_yyyymmdd.log という形式になる

LogLevel は、ログファイルに記録される情報の量を示す、ログの詳細レベルを表す。最高の詳細レベルを 10 として、0 から 10 までの数字を指定できる。レベルが高いほどログに記録される量も多くなる

LogDir および LogLevel は、次のすべての設定ファイルに含まれる。ImapProxyAService.cfgPopProxyAService.cfgAService.cfg、および SmtpProxyAService.cfg

LogDir のデフォルトは msg_svr_base/data/log で、LogLevel のデフォルトは 1

MailHostAttrs

スペースで区切られた、ユーザーのメールホストを識別する LDAP 属性のリスト。Messaging Multiplexor は、リストで指定された順に、検索によって返された各属性を試す

デフォルトは mailHost。このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

NumThreads

割り当てるワーカースレッドの最大数。マシンに複数の CPU が搭載されている場合は、ワーカースレッドとともに Messaging Multiplexor を実行することによりパフォーマンスを向上させることが可能。最適なワークスレッドの数はマシンに搭載されているプロセッサの数と同じになる。たとえば、CPU を 2 つ搭載したマシンの場合には 2 を指定する

このパラメータがあるのは、AService.cfg 設定ファイルだけである

デフォルトは 1

PopBeforeSmtpKludgeChannel

POP before SMTP 認証済み接続用に使用する MTA チャネルの名前。デフォルトは空で、POP before SMTP を有効にするユーザーに対する通常の設定は tcp_intranet

例 :
default:PopBeforeSmtpKludgeChannel tcp_intranet

このパラメータは SmtpProxyAService.cfg 設定ファイルだけにある

PreAuth

MMP による事前認証を有効にする。PreAuthyes に設定されているとき、ユーザーは、バックエンドのメールストアサーバーに対して接続が行われる前に、LDAP サーバーに対して認証される。PreAuthno に設定されているとき、MMP はバックエンドのメールストアサーバーに接続し、単に認証情報を再生する。PreAuth は追加の認証ステップのために全体的なパフォーマンスを低下させるが、バックエンドのメールストアサーバーを、承認されていないユーザーによるサービス拒否攻撃から保護する。MMP の POP-before-SMTP および BadGuys 機能では、PreAuth は必須

HostedDomains を使用する場合は、LDAP サーバーのドメインノードの mailAccessProxyPreAuth 属性によってこのオプションが上書きされる

デフォルトは no。このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

ReplayFormat

メッセージストアサーバーへ再生するユーザー ID の作成方法を示す Printf スタイル形式の文字列。有効なエスケープシーケンスは次のとおり

%U (ユーザーid のみ)
%V (仮想ドメインのみ)
%A[attr] (ユーザーの属性 "attr" の値)

たとえば、ユーザー ID が joedomain=siroe.com%A[uid]@%V は、次のようになる

joe@siroe.com

HostedDomains を使用する場合は、LDAP サーバーのドメインノードの mailAccessProxyReplay 属性によってこのオプションが上書きされる

デフォルトは %U。このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

RestrictPlainPasswords

yes に設定すると、SSL/TLS セキュリティレイヤーが有効でない限り、プレーンテキストのパスワードの使用を禁止する

デフォルトは no

SearchFormat

仮想ドメインが有効であるときに、ユーザーのメールホストに対するユーザー / グループ LDAP クエリを作成するための printf スタイル形式の文字列。有効なエスケープシーケンスは次のとおり

%s (ユーザーid + 仮想ドメイン)
%U (ユーザーid のみ)
%V (仮想ドメインのみ)
%C (クライアント IP アドレス)
%S (サーバー IP アドレス)
%D (クライアント証明書 DN)

デフォルト値は、HostedDomains が yes の場合は uid=%UHostedDomainsno の場合は uid=%s

HostedDomains を使用する場合は、LDAP サーバーのドメインノードの inetDomainSearchFilter 属性によってこのオプションが上書きされる

このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

ServerDownAlert

IMAP 専用。Messaging Multiplexor がユーザーストアサーバーに接続できないとき、IMAP ALERT メッセージとしてクライアントに返される文字列

デフォルトの文字列は「Your IMAP server appers to be temporarily out of service. (IMAP サーバーは一時的に使用できない状態になっているようです)」

ServiceList

どのサービスを開始するか、および Messaging Multiplexor がそれらのサービスをリッスンするポート / インタフェースを指定する。以下の形式で、すべてのサービスを一行に並べて記述する

DLLNAME [ "|" INSTANCENAME [ "|" SECTION ]] "@" HOSTPORT [ "|" HOSTPORT ]

DLLNAME は、ロードする AService DLL に対する絶対パスとファイル名 (DLL ファイルの拡張子 .so.dll などを取り除いたもの)。DLLNAME が 1 つも指定されていない場合、または指定されているものを読み込んだり初期化できない場合は、AService デーモンが終了する。カスタマ提供の DLL (共有ライブラリ) は使用できない

INSTANCENAME は、IMAP、POP、または SMTP サービスで使用する設定ファイルの名前を表す (.cfg 拡張子を取り除いたもの。デフォルトはそれぞれ ImapProxyAServicePopProxyAService、および SmtpProxyAService)。INSTANCENAME には、異なるインスタンスの設定パラメータを同じ設定ファイル内で指定できる SECTION パラメータを取ることもできる。SECTION の使用は推奨されておらず、将来のリリースで廃止される予定。デフォルトの SECTION は default

ServiceList パラメータがあるのは、AService.cfg 設定ファイルだけである

デフォルトの ServiceList エントリは以下のとおりで、すべて一行に記述されている

msg_svr_base/lib/ImapProxyAService@143|993 msg_svr_base/lib/PopProxyAService@110

SmtpProxyPassword

SMTP リレーサーバーでソースチャネルの変更を承認するために使われるパスワード。このオプションは必須で、デフォルトはなく、SMTP チャネルのオプションファイルの PROXY_PASSWORD オプションと一致する必要がある

例 :
default:SmtpProxyPassword password

このパラメータは SmtpProxyAService.cfg 設定ファイルだけにある

SmtpRelays

ラウンドロビンリレーに使用する SMTP リレーサーバーホスト名 (オプションのポート付き) の、スペースで区切られたリスト。これらのリレーは XPEHLO 拡張をサポートする必要がある。このオプションは必須で、デフォルトはない

例 :
default:SmtpRelays sesta:485 gonzo mothra

このパラメータは SmtpProxyAService.cfg 設定ファイルだけにある

SpoofMessageFile

POP3 Inbox のスプーフィングに使用するファイル。Messaging Multiplexor は、クライアントストアマシンに接続できない場合に POP3 サーバーの基本的な機能を模倣できる。そのとき、Messaging Multiplexor はユーザーのために Inbox を作成し、この 1 つのメッセージをその Inbox に入れる。このファイル内のメッセージの形式は RFC 822 に準拠していなければならない (最後の '.' を含む)

デフォルトでは、スプーフメッセージファイルはない

StoreAdmin
StoreAdminPass

StoreAdmin は、SSL クライアント証明書と RFC 2595 形式のプロキシ認証のサポートに必要なプロキシ認証に対するストア管理者のユーザー名を表す。StoreAdminStoreAdminPass にはデフォルトはない

このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

TCPAccess

Messaging Multiplexor の TCP アクセス制御を記述するラップスタイルのフィルタ (グローバル)

このオプションの構文の説明は、『Sun ONE Messaging Server 管理者ガイド』の「セキュリティとアクセス制御を設定する」の章にある「POP、IMAP、および HTTP サービスへのクライアントアクセスを設定する」を参照

デフォルトは NULL

TCPAccessAttr

ユーザーの TCP アクセス制御を記述したラップスタイルのフィルタを含むユーザーごとの属性

デフォルト mailAllowedServiceAccess

Timeout

秒単位のセッションタイムアウト。標準に準拠するため、このパラメータの値を IMAP に対して 1800 秒 (30 分) 以下、POP または SMTP に対して 600 秒 (10 分) 以下に設定することは避ける

デフォルトは 1800 秒

UserGroupDN

Sun ONE LDAP Schema, v2 モードでユーザー、グループおよびドメイン検索のための baseDN を指定する。Sun ONE LDAP Schema, v1 モードでクライアント証明書マッピング検索にも使用される

VirtualDomainDelim

受け入れられる仮想ドメインデリミタの文字列。この文字列内の文字はすべて、Messaging Multiplexor が受け取るユーザー ID のドメインデリミタとして扱われる。Messaging Multiplexor は最後からユーザー ID を検索する

デフォルトのデリミタは @。このパラメータは SMTP プロキシには適用されない

VirtualDomainFile

仮想ドメインマッピングを含んだファイルの名前

推奨される値は msg_svr_base/config/vdmap.cfg 仮想ドメインのサポートを有効にするには、設定ファイルのこの行をコメント解除する


Multiplexor の起動

Messaging Multiplexor のインスタンスを起動、停止、更新するには、msg_svr_base/sbin ディレクトリにある次のコマンドのうちの 1 つを使用する

表 5-4 MTA のコマンド  

オプション

説明

start-mmp

MMP を起動する。これは、別のインスタンスが起動されている場合でも可能

stop-mmp

最後に起動した MMP を停止する

refresh-mmp

実行中の MMP が、アクティブな接続を中断せずに設定情報を更新するようにする



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