実行可能コードの各行のソースコードメトリックスは、固定幅の列に表示されます。メトリックスは、関数リストのものと同じです。実験のデフォルト値は、.er.rc ファイルを使って変更できます。詳細は、「デフォルト値を設定するコマンド」を参照してください。また、表示されるメトリックスとしきい値の強調表示も、「データ表示方法の設定」ダイアログボックスを使ってアナライザで変更できます。詳細は、「データ表示オプションの設定」を参照してください。
注釈付きソースコードは、ソース行レベルでのアプリケーションのメトリックスを示します。注釈付きソースは、アプリケーションの呼び出しスタックに記録された PC (プログラムカウント) を読み取り、各 PC をソース行にマッピングすることによって作成されます。注釈付きソースファイルを作成するために、アナライザは、最初に特定のオブジェクトモジュール (.o ファイル) またはロードオブジェクト内に生成されたすべての関数を特定し、各関数のすべての PC のデータをスキャンします。注釈付きソースを作成するには、アナライザが、すべてのオブジェクトモジュールまたはロードオブジェクトを検出して読み取り、PC からソース行へのマッピングを特定できる必要があります。また、表示するソースファイルを読み取って、注釈付きのコピーを作成できる必要もあります。アナライザはソースファイル、オブジェクトファイル、および実行可能ファイルを次のデフォルトの場所で順に検索し、正しいベース名のファイルが見つかると検索を停止します。
実験の保管ディレクトリ
現在の作業ディレクトリ
実行可能ファイルまたはコンパイルオブジェクトに記録されている絶対パス名
デフォルト値は、addpath または setpath 指令により、またはアナライザの「データ表示方法の設定」ダイアログボックスで変更できます。
addpath または setpath によって設定されたパスのリストを使用してファイルを検出できない場合は、pathmap コマンドを使用して 1 つ以上のパス再マッピングを指定できます。pathmap コマンドでは、old-prefix と new-prefix を指定できます。ソースファイル、オブジェクトファイル、または共有オブジェクトのパス名が old-prefix で指定した接頭辞で始まる場合、古い接頭辞は new-prefix で指定した接頭辞に置き換えられます。結果のパスは、ファイルの検索に使用されます。複数の pathmap コマンドが提供されており、それぞれが、ファイルが見つかるまで試行されます。
コンパイル処理では、要求される最適化レベルに応じて多くの段階があり、変換によって命令とソース行のマッピングに混乱が生じることがあります。最適化によっては、ソース行の情報が完全に失われたり、混乱が生じたりすることがあります。コンパイラは、さまざまな発見手法によって命令のソース行を追跡しますが、こうした手法は絶対ではありません。
命令のメトリックスについては、実行対象の命令を待っている間に発生したメトリックスとして解釈する必要があります。イベントが記録されるときに実行中である命令がリーフ PC と同じソース行に存在している場合、メトリックスはこのソース行を実行した結果であると解釈できます。ただし、実行中の命令とリーフ PC が存在しているソース行がそれぞれ異なる場合、リーフ PC が存在しているソース行のメトリックスの少なくとも一部は、実行中命令のソース行が実行待ちしていた間に集計されたメトリックスであると解釈する必要があります。この一例としては、1 つのソース行で計算された値が次のソース行で使用される場合が挙げられます。
メトリックスの解釈方法がもっとも問題となるのは、キャッシュミスやリソース待ち行列ストールなど、実行が大幅に遅延している場合や、命令が直前の命令の結果を待っている場合です。このような場合、ソース行のメトリックスが異常に高く見えることがあります。コード内のほかのソース行を調べて、こういった高メトリック値の原因である行を突きとめてください。
表 7–1 に、注釈付きソースコードの行に表示可能な 4 種類のメトリックスを示します。
表 7–1 注釈付きソースコードのメトリックス