Sun Identity Manager 8.1 リソースリファレンス

第 25 章 Oracle ERP

Oracle ERP リソースアダプタは、com.waveset.adapter.OracleERPResourceAdapter クラスで定義されます。このアダプタは、Oracle E-Business Suite (EBS) をサポートします。


注 –

Identity Manager は、Oracle データベースをサポートする Oracle リソースアダプタも提供します。このアダプタについては、第 24 章Oracleを参照してください。


アダプタの詳細

リソースを設定する際の注意事項

なし

Identity Manager のインストールに関する注意事項

Oracle ERP リソースアダプタは、カスタムアダプタです。インストールプロセスを完了するには、次の手順を実行する必要があります。

ProcedureOracle ERP リソースアダプタをインストールする

  1. Oracle リソースを Identity Manager のリソースリストに追加するには、「管理するリソースの設定」ページの「カスタムリソース」セクションに次の値を追加する必要があります。


    com.waveset.adapter.OracleERPResourceAdapter
  2. thin ドライバを使用して Oracle Real Application Cluster (RAC) に接続する場合は、「リソースパラメータ」ページの「接続 URL」に、次の形式で値を指定します。


    jdbc:oracle:thin:@(DESCRIPTION=(LOAD_BALANCE=on)
    (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=host01)(PORT=1521))
    (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=host02)(PORT=1521))
    (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=host03)(PORT=1521))
    (CONNECT_DATA=(SERVICE_NAME=PROD)))
  3. Oracle Real Application Cluster を使用しない環境で JDBC thin ドライバを使用する場合は、JDBC thin ドライバクラスが含まれる JAR ファイルを $WSHOME$/WEB-INF/lib ディレクトリにコピーします。JAR ファイルは、使用しているアプリケーションサーバーの JDK バージョンと互換性がある必要があります。

  4. ほかのドライバを使用する場合は、「リソースパラメータ」ページにドライバと接続 URL を指定します。

    Oracle ERP アダプタは、ほかの変更を必要とせずに、Oracle E-Business Suite (EBS) バージョン 11.5.9 をサポートします。ただし、EBS バージョン 11.5.10 および 12 をサポートするには、次の変更が必要です。

  5. スキーママップから responsibilities アカウント属性を削除し、directResponsibilities 属性と indirectResponsibilities 属性を追加します。

  6. 次のプロパティーを Oracle ERP ユーザーフォームの FormRef 属性に追加します。

    • RESOURCE_NAME。ERP リソース名を指定します。

      • VERSION。ERP リソースのバージョンを指定します。使用できる値は、11.5.9、11.5.10、12 です。

      • RESP_DESCR_COL_EXISTS。fnd_user_resp_groups_direct テーブルに、説明の列が存在するかどうかを定義します。このプロパティーは、バージョンが 11.5.10 または 12 の場合に必要です。指定できる値は TRUE と FALSE です。

        たとえば Tabbed User Form は、EBS バージョン 12 をサポートするために次のような方法で変更する必要の可能性があります。


        <FormRef name=’Oracle ERP User Form’>
           <Property name=’RESOURCE_NAME’ value=’Oracle ERP R12’/>
           <Property name=’VERSION’ value=’12’/>
           <Property name=’RESP_DESCR_COL_EXISTS’ value=’TRUE’/>
        </FormRef>

使用上の注意

ここでは、Oracle ERP アダプタに適用できる次のリソースパラメータについて説明します。

Oracle アプリケーションのユーザー管理セキュリティー

ユーザーのセキュリティーは、Oracle アプリケーション内部の次の 3 レベルで制御されます。

Oracle ERP アダプタは、機能的セキュリティーのみをサポートします。このため、このアダプタでは Oracle のデータオブジェクト、オブジェクトインスタンス、インスタンスセットの作成、更新、削除を一覧表示することはできません。また、ロールオブジェクト、ロール階層、またはロールカテゴリも作成および管理できません。

Oracle クライアント暗号化タイプ

このパラメータには、Oracle がサポートする有効な暗号化アルゴリズム名 (RC4_56、RC4_128 など) のリストを指定します。このリストが空の場合、そのリリースで Oracle がサポートするすべてのアルゴリズムが使用されます。クライアント/サーバーは、Oracle クライアント暗号化レベルの設定に従って、これらのうちどのアルゴリズムを使用するかについてネゴシエーションを行います。


注 –

このタイプの暗号化をサポートするように Oracle サーバーも設定してください。

サポートされるアルゴリズムについては、『Oracle Advanced Security 管理者ガイド』を参照してください。thin JDBC クライアント用の有効な値のリストについては、「SQLNET.ENCRYPTION_TYPES_CLIENT」セクションを参照してください。


Oracle クライアント暗号化レベル

この値は、サーバー/クライアントがネゴシエーションを行って適用するセキュリティーのレベルを決定します。デフォルト値 (空白のままの場合) は、ACCEPTED です。有効な値は、REJECTED、ACCEPTED、REQUESTED、および REQUIRED です。このパラメータの使用法については、『Oracle Advanced Security 管理者ガイド』および SQLNET.ENCRYPTION_CLIENT の値を参照してください。

また、このタイプの暗号化をサポートするように Oracle サーバーを設定してください。

Oracle E-Business Suite (EBS) 管理ユーザー責任

この値は、Identity Manager Oracle EBS 管理ユーザーが EBS アプリケーションの初期化ルーチンを呼び出すために使用する EBS 責任を決定します。有効な責任のリストは、fnd_responsibility_vl テーブルにあります。詳細については、Oracle EBS のマニュアルも参照してください。

Identity Manager Oracle EBS 管理ユーザーが有効な EBS システムアカウントを持ち、このパラメータの値と一致する責任を持っている場合は、接続中に作成された Oracle セッションで Oracle EBS の監査メカニズムを使用してユーザーのアクションが監査されます。たとえば、fnd_user テーブルオブジェクトの created_by フィールドと last_updated_by フィールドは、Identity Manager Oracle EBS 管理ユーザーのユーザー ID で正しく更新されます。

セキュリティー設定属性の追加

securingAttrs アカウント属性は、Oracle E-business Suite のセキュリティー設定属性機能をサポートします。Identity Manager の「ユーザーの作成」ページでセキュリティー設定属性を設定するには、次の手順を実行します。

Procedureセキュリティー設定属性を「ユーザーの作成」ページで設定する

  1. 「Add Securing Attribute」チェックボックスを選択します。

  2. 「Enter Securing Attribute Search Pattern」テキストボックスに、使用可能な属性の選択肢を絞り込むための検索パターンを入力します。ワイルドカードとして「%」を使用します。次に、「Load Securing Attributes」ボタンをクリックします。これで「Oracle Securing Attributes」選択ボックスに属性が読み込まれます。

  3. ドロップダウンメニューから属性を選択すると、その属性が「Securing Attributes」テーブルに追加されます。

    テーブルから削除する属性を選択して「Remove Selected Securing Attribute」ボタンをクリックすることにより、セキュリティー設定属性を削除できます。

ユーザーの有効化

Oracle EBS ユーザーを有効にするには、owner 属性の値を指定する必要があります。有効化フォームに特定の値が追加されて有効化ビューを介して送信されないかぎり、デフォルトで値 CUST が使用されます。次のコーディング例では、デフォルトの所有者を MYOWNER に変更しています。

<Field name=’resourceAccounts.currentResourceAccounts[MyOracleERP].
attributes.owner’ type=’string’>
   <Display class=’Text’>
      <Property name=’title’ value=’Owner’/>
   </Display>
   <Default>
      <s>MYOWNER</s>
   </Default>
</Field>

ユーザー責任の取得

listResourceObjects の呼び出しを使用して、ユーザーの責任およびその他の Oracle EBS オブジェクトを取得できます。次の表に、サポートされるオブジェクトタイプに関する情報を示します。

Object  

サポートされるオプション  

Comments  

auditorResps

idactiveRespsOnly

ユーザーの監査責任のリストを返します。 

id は、そのリソース ID の責任が返されることを示す文字列です。 

activeRespsOnly を true に設定すると、アクティブな責任のみが返されます。デフォルトは false です。 

responsibilities

idactiveRespsOnly

ユーザーの責任を返します。11.5.9 でのみ有効です。 

directResponsibilities

idactiveRespsOnly

ユーザーの直接的な責任を返します。11.5.10 でのみ有効です。 

indirectResponsibilities

idactiveRespsOnly

ユーザーの間接的な責任を返します。11.5.10 でのみ有効です。 

responsibilityNames

なし 

ユーザーに割り当てられた責任名のリストを返します。 

applications

responsibilityName

責任名が指定されていない場合は、ユーザーに割り当てられたすべてのアプリケーションが返されます。 

securityGroups

application

アプリケーションが指定されていない場合は、ユーザーに割り当てられたすべてのセキュリティーグループが返されます。 

account

activeAccountsOnly

ユーザーのアカウントのリストを返します。true に設定すると、アクティブなアカウントのみが返されます。デフォルトは false です。 

securingAttrs

searchPattern

指定された検索パターンと一致するセキュリティー設定属性のリストを返します。パターンが指定されなかった場合は、すべてのセキュリティー設定属性が返されます。 

次のコーディング例では、ユーザーフォームにアクティブな責任を返すフィールドを追加しています。USER_NAME と RESOURCE_NAME を有効な値で置き換える必要があります。auditorResps は、responsibilities、directResponsibilities、または indirectResponsibilites で置き換えます。


<Field name=’respNames’ type=’string’>
   <Display class=’Text’>
      <Property name=’title’ value=’Oracle ERP Responsibilities’/>
   </Display>
   <Expansion>
      <invoke name=’listResourceObjects’ class=’com.waveset.ui.FormUtil’>
         <ref>display.session</ref>
         <s>auditorResps</s>
         <s>RESOURCE_NAME</s>
         <map>
            <s>id</s>
            <s>USER_NAME</s>
            <s>activeRespsOnly</s>
            <s>true</s>
            <s>attrsToGet</s>
            <list>
               <s>name</s>
            </list>
         </map>
         <s>null</s>
      </invoke>
   </Expansion>
</Field>

責任の監査

ユーザーに割り当てられた責任のサブ項目 (フォームや機能) を監視するには、auditorObject をスキーママップに追加します。auditorObject は、responsibility オブジェクトのセットを含む複雑な属性です。次の属性は、常に責任オブジェクトに返されます。


注 –

readOnly 属性と ReadWrite 属性は、fnd_form_functions テーブルの PARAMETERS 列で次のいずれかのクエリーを行うことによって識別します。

「SOB または組織、あるいはその両方を返す」リソースパラメータを TRUE に設定すると、次の属性も返されます。

responsibilitysetOfBooksNamesetOfBooksIdorganizationalUnitId、および organizationalUnitName 属性を除いて、属性名はスキーママップに追加されるアカウント属性名に一致します。アカウント属性には、ユーザーに割り当てられる値の集合が含まれます。responsibility オブジェクトに含まれている属性は、その責任に固有のものです。

auditorResps[] ビューは、responsibility 属性へのアクセスを提供します。次に示すフォームの部分は、ユーザーに割り当てられたすべてのアクティブな責任 (およびそれらの属性) を返します。


<defvar name=’audObj’>
   <invoke name=’get’>
      <ref>accounts[Oracle ERP 11i VIS].auditorObject</ref>
   </invoke>
</defvar>
<!-- this returns list of responsibility objects -->
<defvar name=’respList’>
   <invoke name=’get’>
      <ref>audObj</ref>
      <s>auditorResps[*]</s>
   </invoke>
</defvar>

たとえば、次のようにします。


リソースアクションの使用

Oracle ERP アダプタは、リソースアクションをサポートします。これらのアクションを有効にするには、Javascript または BeanShell で記述されたスクリプトを設定する必要があります。このアダプタは、次のプロビジョニングアクションの実行後または実行前に、これらのスクリプトを呼び出します。

どのアクションスクリプトも、java.util.Map クラスで定義されているように、actionContext マップを受け取ります。マップに格納できる内容は、アクションごとに異なります。

スクリプトは、それ自体に渡された JDBC 接続を閉じることはできません。アダプタが適切な時期に自動的に接続を閉じます。

リソースアクションの実装については、第 50 章リソースへのアクションの追加を参照してください。サンプルスクリプトは、$WSHOME/sample/OracleERPActions.xml にあります。

create 前アクションと後アクション

アクションに渡される actionContext マップには次のエントリが含まれます。

キー  

値の型  

値の説明  

conn

java.sql.Connection 

顧客のデータベースへの JDBC 接続 

adapter

com.waveset.adapter.OracleERPResourceAdapter 

アダプタインスタンス 

action

java.lang.String 

createUser」という文字列

timing

java.lang.String 

before または after である必要があります

id

java.lang.String 

作成するユーザーのアカウント ID 

password

java.lang.String 

存在する場合、この値は、新しいユーザーの復号化されたパスワードです。 

attributes

java.util.Map 

新しいユーザーに設定する属性のマップ。 

  • キーは、設定する属性を識別します

  • 値は、その属性に設定する復号化された値を指定します。

errors

java.util.List 

最初は、この値は空のリストです。 

処理中にエラーが発生した場合、スクリプトによってこのリストに java.lang.String オブジェクトを追加できます。

trace

com.sun.idm.logging.trace.Trace 

実行のトレースに使用されるオブジェクト 

スクリプトは、このクラスのメソッドを使用することで、顧客の環境でデバッグ可能なものとなります。 

エラー処理

スクリプト内から例外がスローされた場合は、失敗とみなされます。

スクリプトでエラーが発生した場合、スクリプトによって errors キーに適切な文字列を追加することもできます。errors リストに項目が存在する場合は、作成の失敗とみなされます。

update 前アクションと後アクション

アクションに渡される actionContext マップには次のエントリが含まれます。

キー  

値の型  

値の説明  

conn

java.sql.Connection 

データベースへの JDBC 接続 

adapter

com.wavset.adapter.OracleERPResourceAdapter 

アダプタインスタンス 

action

java.lang.String 

updateUser」という文字列

timing

java.lang.String 

before または after である必要があります

id 

java.lang.String 

更新するユーザーのアカウント ID。 

password

java.lang.String 

存在する場合、この値はユーザーの新しいパスワードの復号化された値です。 

attributes

java.util.Map 

既存のユーザーに設定する属性のマップ。 

  • キーは、設定する属性を識別します

  • 値は、その属性に設定する復号化された値です。

    キーがない場合は、その属性が更新されないということです。

errors

java.util.List 

最初は、この値は空のリストです。 

処理中にエラーが発生した場合、スクリプトによってこのリストに java.lang.String オブジェクトを追加できます。

trace

com.sun.idm.logging.trace.Trace 

実行のトレースに使用されるオブジェクト。 

スクリプトは、このクラスのメソッドを使用することで、顧客の環境でデバッグ可能なものとなります。 

エラー処理

スクリプト内から例外がスローされた場合は、失敗とみなされます。

スクリプトでエラーが発生した場合、スクリプトが errors キーに適切な文字列を追加することもできます。errors リストに項目が存在する場合は、更新の失敗とみなされます。

delete 前アクションと後アクション

アクションに渡される actionContext マップには次のエントリが含まれます。

キー  

値の型  

値の説明  

conn

java.sql.Connection 

データベースへの JDBC 接続 

adapter

com.wavset.adapter.OracleERPResourceAdapter 

アダプタインスタンス 

action

java.lang.String 

deleteUser」という文字列

timing

java.lang.String 

before または after である必要があります

id

java.lang.String 

削除するユーザーのアカウント ID 

errors

java.util.List 

最初は、この値は空のリストです。 

処理中にエラーが発生した場合、スクリプトによってこのリストに java.lang.String オブジェクトを追加できます。

trace

com.sun.idm.logging.trace.Trace 

実行のトレースに使用されるオブジェクト。 

スクリプトは、このクラスのメソッドを使用することで、顧客の環境でデバッグ可能なものとなります。 

エラー処理

スクリプト内から例外がスローされた場合は、失敗とみなされます。

スクリプトでエラーが発生した場合、スクリプトによって errors キーに適切な文字列を追加できます。errors リストに項目が存在する場合は、削除の失敗とみなされます。

enable 前アクションと後アクション

アクションに渡される actionContext マップには次のエントリが含まれます。

キー  

値の型  

値の説明  

conn 

java.sql.Connection 

データベースへの JDBC 接続 

adapter 

com.wavset.adapter.OracleERPResourceAdapter 

アダプタインスタンス 

action 

java.lang.String 

enableUser」という文字列

timing 

java.lang.String 

before または after である必要があります

id 

java.lang.String 

無効にするユーザーアカウント ID 

errors 

java.util.List 

最初は、この値は空のリストです。 

処理中にエラーが発生した場合、スクリプトによってこのリストに java.lang.String オブジェクトを追加できます。

trace 

com.sun.idm.logging.trace.Trace 

実行のトレースに使用されるオブジェクト。 

スクリプトは、このクラスのメソッドを使用することで、顧客の環境でデバッグ可能なものとなります。 

エラー処理

スクリプト内から例外がスローされた場合は、失敗とみなされます。

スクリプトでエラーが発生した場合、スクリプトが errors キーに適切な文字列を追加することもできます。errors リストに項目が存在する場合は、失敗とみなされます。

disable 前アクションと後アクション

アクションに渡される actionContext マップには次のエントリが含まれます。

キー  

値の型  

値の説明  

conn

java.sql.Connection 

データベースへの JDBC 接続 

adapter

com.wavset.adapter.OracleERPResourceAdapter 

アダプタインスタンス 

action

java.lang.String 

disableUser」という文字列

timing

java.lang.String 

before または after である必要があります

id

java.lang.String 

無効にするユーザーアカウント ID 

errors

java.util.List 

最初は、この値は空のリストです。 

処理中にエラーが発生した場合、スクリプトによってこのリストに java.lang.String オブジェクトを追加できます。

trace

com.sun.idm.logging.trace.Trace 

実行のトレースに使用されるオブジェクト。 

スクリプトは、このクラスのメソッドを使用することで、顧客の環境でデバッグ可能なものとなります。 

エラー処理

スクリプト内から例外がスローされた場合は、失敗とみなされます。

スクリプトでエラーが発生した場合、スクリプトが errors キーに適切な文字列を追加することもできます。errors リストに項目が存在する場合は、失敗とみなされます。

getUser 後アクション

getUser アクションは、標準的なアダプタから取得されるカスタムアカウント属性だけでなく、追加のカスタムアカウント属性をデータベースから取得する必要がある場合に便利です。このアクションを有効にするには、「GetUser After アクション」というラベルの付いたリソースパラメータを設定することにより、このリソースアクションの名前を指定します。

アクションに渡される actionContext マップには次のエントリが含まれます。

キー  

値の型  

値の説明  

conn

java.sql.Connection 

データベースへの JDBC 接続 

adapter

com.wavset.adapter.OracleERPResourceAdapter 

アダプタインスタンス 

action

java.lang.String 

getUser」という文字列

id

java.lang.String 

取得するユーザーアカウント ID。 

current属性

java.util.Map 

既存のユーザーに設定する属性のマップ。 

  • キーは、設定する属性を識別します

  • 値は、その属性に設定する復号化された値です。

changed属性

java.util.Map 

これは、空のマップとして渡されます。 

スクリプトでは、次の目的のために、オプションでこのマップにデータを設定することができます。 

  • 新しいアカウント属性を Identity Manager のユーザービューに追加する場合、または

  • Identity Manager のユーザービューでアカウント属性の値を変更する場合

    キーは、アカウント属性の名前 (スキーママップの右側で登録される) です。値は、アカウント属性に設定する値です。

errors

java.util.List 

最初は、この値は空のリストです。 

処理中にエラーが発生した場合、スクリプトによってこのリストに java.lang.String オブジェクトを追加できます。

trace

com.sun.idm.logging.trace.Trace 

実行のトレースに使用されるオブジェクト。 

スクリプトは、このクラスのメソッドを使用することで、顧客の環境でデバッグ可能なものとなります。 

エラー処理

スクリプト内から例外がスローされた場合は、失敗とみなされます。

スクリプトでエラーが発生した場合、スクリプトによって errors キーに適切な文字列を追加できます。errors リストに項目が存在する場合は、取得の失敗とみなされます。

セキュリティーに関する注意事項

ここでは、サポートされる接続と特権の要件について説明します。

サポートされる接続

Identity Manager は、次のいずれかのドライバを使用して Oracle アダプタと通信できます。

Oracle アプリケーションのストアドプロシージャーでは、プロビジョニングで使用される一部のストアドプロシージャーに暗号化されていないパスワードを渡す必要があるため、Identity Manager と Oracle アプリケーションリソースの間に暗号化された通信を実装するようにしてください。

特定のバージョンの Oracle RDBMS およびドライバが提供する暗号化のサポートレベルを検証するには、Oracle のマニュアル『Oracle Advanced Security 管理者ガイド』および使用している JDBC ドライバのマニュアルをお読みください。

Oracle EBS のアクセス権

Oracle E-Business Suite では、次のテーブルとストアドプロシージャーに対するアクセス権が必要です。


注 –

管理者は、すべてのテーブルに対して select コマンドを実行できる必要があります。また、管理者は apps.fnd_user テーブルを更新できる必要があります。


テーブル  

ストアドプロシージャー  

apps.ak_attributes 

apps.ak_attributes_tl 

apps.ak_web_user_sec_attr_values 

apps.fnd_application 

apps.fnd_application_tl 

apps.fnd_application_vl 

apps.fnd_profile 

apps.fnd_responsibility 

apps.fnd_responsibility_vl 

apps.fnd_security_groups 

apps.fnd_security_groups_tl 

apps.app_exception.raise_exception 

apps.fnd_global.apps_initialize 

apps.fnd_global.user_id 

apps.fnd_message.get 

apps.fnd_message.get_token 

apps.fnd_message.set_name 

apps.fnd_message.set_token 

apps.fnd_profile.get 

apps.fnd_user_pkg.AddResp 

apps.fnd_user_pkg.CreateUser 

apps.fnd_user_pkg.DisableUser 

apps.fnd_security_groups_vl 

apps.fnd_user 

apps.fnd_user_resp_groups 

apps.icx_parameters 

apps.fnd_user_pkg.DelResp 

apps.fnd_user_pkg.UpdateUser 

apps.fnd_user_pkg.user_synch 

apps.fnd_user_pkg.validatelogin 

apps.fnd_user_resp_groups_api.assignment_exists 

apps.fnd_user_resp_groups_api.insert_assignment 

apps.fnd_user_resp_groups_api.update_assignment 

apps.fnd_web_sec.change_password 

apps.fnd_web_soc.create_user 

apps.fnd_web_sec.validation_login 

apps.icx_user_sec_attr_pub.create_user_sec_attr 

apps.icx_user_sec_attr_pub.delete_user_sec_attr 


注 –

アダプタは、さらにほかのテーブルやストアドプロシージャーにアクセスする可能性もあります。詳細は、Oracle E-business Suite のマニュアルを参照してください。


Oracle によれば、Oracle EBS システム (fnd_user_pkg ストアドプロシージャーを含む) は、ORACLE EBS システムを APPS ユーザーとして管理するのに使用するように設計されました。Oracle は、代替管理ユーザーの作成を推奨していません。ただし、APPS 以外のユーザーで Oracle EBS を管理する必要がある場合は、Oracle にお問い合わせください。

代替管理ユーザーには、APPS ユーザーがすべての Oracle データ (テーブル、ビュー、ストアドプロシージャーを含む) に対して持っているのと同じアクセス権を与えてください。

また、そのユーザーにシノニムを設定して、APPS ユーザーがアクセス権を持っているテーブルにアクセスできるようにする必要があります。別のユーザーを使用し、そのユーザーに必要な許可とシノニムがまだない場合は、次のエラーが発生する可能性があります。

Error: ORA-00942: table or view does not exist

エラーを修正するには、必要な許可とシノニムを与えます。次のディレクトリに、サンプルの SQL*Plus スクリプトがあります。

$WSHOME/sample/other/CreateLHERPAdminUser.oracle.

このスクリプトは、必要に応じて変更して、代替 Oracle EBS 管理ユーザーを作成するために使用できます。使用手順は、スクリプトの先頭部分のコメントに記載されています。

パススルー認証の場合のみ、次の SQL コマンドを実行するために権限が必要です。

create or replace function wavesetValidateFunc1 (username IN varchar2, 
  password IN varchar2)
RETURN varchar2 IS ret_val boolean;
BEGIN ret_val := apps.FND_USER_PKG.ValidateLogin(username, password);
IF ret_val = TRUE THEN RETURN ’valid’;
ELSE RETURN NULL;
END IF;
END wavesetValidateFunc1;

プロビジョニングに関する注意事項

次の表に、このアダプタのプロビジョニング機能の概要を示します。このアダプタは、サポートされるプロビジョニング操作中に直接的なテーブル更新を発行しません。

機能  

サポート状況  

ユーザーの作成。 

あり 

開始日と終了日の設定。 

あり 

パスワードアクセス制限の設定。 

あり 

パスワード有効期限の設定。 

あり 

パスワードの変更またはリセット。 

はい。 

ユーザーレコードに対する従業員 ID (HRMS リンク) の設定。 

あり 

ユーザーアカウントの Email 属性および Fax 属性の設定。 

あり 

ユーザーレコードに対する顧客 ID またはサプライヤ ID の設定。 

あり 

ユーザーに対する 1 つ以上の直接的な責任の割り当て。 

あり 

ユーザーアカウントに対するセキュリティー設定属性の割り当て。 

あり 

ユーザーに割り当てられた責任の削除または編集。 

はい。 

注意: 責任は、実際には削除されるのではなく、期限切れ (無効) になります。 

アカウントの無効化。 

あり 

アカウントの再有効化。 

あり 

アカウントの削除。 

はい。アカウントは、実際には期限切れ (無効) になります。 

パススルー認証。 

あり 

データ読み込みメソッド: 調整、ファイルへの抽出、リソースから読み込み、ファイルから読み込み。 

調整 

リソースから読み込み 

FND_USER テーブルのプロビジョニング。 

あり 

Oracle HRMS のプロビジョニング。 

なし 

create における FND_USER レコードの Oracle HRMS へのリンク。 

あり 

メニュー定義または個々の責任の管理。 

なし 

間接的な責任の割り当て。 

省略可能。間接的な責任は読み取れますが、割り当てられません。 

ユーザーセッション制限の設定 (ICX: Session Timeout、ICX: Limit Time、ICX: Limit Connect)。 

なし 

RBAC オブジェクトと割り当て。 

なし 

特定のデータオブジェクト、データオブジェクトインスタンス、またはインスタンスセットに対するアクセス権セットの許可の使用。 

なし 

前アクションと後アクション。 

あり 

アカウントの名前の変更。 

なし 

アカウント属性

デフォルトの属性

次の表に、デフォルトの Oracle ERP アカウント属性を示します。すべての属性が省略可能です。

リソースユーザー属性  

データ型  

説明  

owner

string 

アカウントを作成した管理者。 

start_date

string 

アカウントが有効になる日付。 

end_date

string 

アカウントが期限切れになる日付。 

アカウントを無効にするには、日付を過去の日付に設定します。 

有効期限がないことを示すには、NULL 値を指定します。

Oracle EBS サーバーのローカル時間を使用してユーザーの有効期限を指定するには、end_date とともに sysdate または SYSDATE キーワードを使用します。

description

string 

ユーザーの説明 (フルネームなど)。 

password_date

string 

最後にパスワードを変更した日付スタンプ。 

Oracle ERP アダプタは、password_lifespan_days 属性の値を評価するときに、この日付スタンプを使用できます。たとえば、password_lifespan_days 属性に 90 を設定した場合、Oracle ERP は最後のパスワード変更日付 (password_date) に 90 日を加算して、パスワードが期限切れかどうかを判定します。 

Oracle ERP アダプタは、パスワードの変更を行うたびに password_date を現在の日付に設定します。 

password_accesses_left

string 

ユーザーが現在のパスワードを使用できる回数。 

password_lifespan_accesses

string 

パスワードの有効期間中のアクセス数 

password_lifespan_days

string 

パスワードの有効期間の合計日数。 

employee_id

string 

アプリケーションユーザー名が割り当てられた従業員の ID。 

employee_number

string 

per_people_f テーブルの employee_number を表します。

create で値を入力すると、アダプタは per_people_f テーブルでユーザーレコードを検索し、person_id を取得して create API に渡し、fnd_user テーブルの employee_id 列に person_id を挿入しようとします。

create で employee_number を入力しなかった場合、リンクは行われません。 

create で employee_number を入力し、その番号が見つからない場合、アダプタは例外をスローします。 

employee_number がアダプタのスキーマにある場合、アダプタは、getUseremployee_number を返そうとします。

person_fullname

string 

ユーザーのフルネーム。 

npw_number

string 

不確定の従業員番号。per_people_f テーブルの npw_number を表します。

create で値を入力すると、アダプタは per_people_f テーブルでユーザーレコードを検索し、person_id を取得して create API に渡し、fnd_user テーブルの employee_id 列に person_id を挿入しようとします。

create で npw_number を入力しなかった場合、リンクは行われません。

create で npw_number を入力し、その番号が見つからない場合、アダプタは例外をスローします。

npw_number がアダプタのスキーマにある場合、アダプタは、getUsernpw_number を返そうとします。

注意: employee_number 属性および npw_number 属性は相互排他です。両方を create で入力した場合は、employee_number が優先します。

email_address

string 

ユーザーの電子メールアドレス。 

fax

string 

ユーザーのファックス番号。 

customer_id

string 

ユーザーの顧客 ID。 

supplier_id

string 

ユーザーのサプライヤ ID。 

responsibilities

string 

ユーザーに割り当てられた責任の名前。Oracle EBS 11.5.9 でのみ有効です。 

Oracle EBS サーバーのローカル時間を使用して責任の有効期限を指定するには、to_date とともに sysdate または SYSDATE キーワードを使用します。

responsibilityKeys

string 

ユーザーの責任のリストに関連付けられたキー。 

securingAttrs

string 

セキュリティー設定属性のサポートを追加します。 

expirePassword

boolean 

パスワードが期限切れになるかどうかを示します。 

directResponsibilities

string 

ユーザーの直接的な責任を返します。11.5.10 でのみ有効です。 

indirectResponsibilities

string 

ユーザーの間接的な責任を返します。11.5.10 でのみ有効です。 

追加属性

Oracle ERP アダプタでは、Identity Manager が責任の変更を監査するために使用できる複数の読み取り専用属性を追加できます。auditorResps 属性に返される値は、そのユーザーのアクティブな責任です。次の表に示す auditorObject 以外のすべての属性は、各責任のサブ項目から、存在する可能性があるメニューや機能をすべて差し引いた集合です。

auditorObject 属性も追加できます。この属性については、「責任の監査」を参照してください。

次の表に、スキーママップに追加できる属性の一覧を示します。

属性  

説明  

auditorResps

ユーザーのアクティブな責任のリスト。 

formIds

すべてのフォーム ID を連結します。readOnlyFormIds および readWriteOnlyFormIds によって返される値を含んでいます。 

formNames

すべてのフォーム名を連結します。readOnlyFormNames および readWriteOnlyFormNames によって返される値を含んでいます。 

functionIds

すべての機能 ID を連結します 

functionNames

すべての機能名を連結します 

menuIds

すべてのメニュー ID を連結します 

readOnlyFormIds

すべての読み取り専用フォーム ID を連結します 

readOnlyFormNames

すべての読み取り専用フォーム名を連結します 

readOnlyFunctionNames

すべての読み取り専用機能名を連結します 

readOnlyUserFormNames

すべての読み取り専用ユーザーフォーム名を連結します 

readWriteOnlyFormIds

すべての読み取り/書き込み専用フォーム ID を連結します 

readWriteOnlyFormNames

すべての読み取り/書き込み専用フォーム名を連結します 

readWriteOnlyFunctionNames

すべての読み取り/書き込み専用機能名を連結します 

readWriteOnlyUserFormNames

すべての読み取り/書き込み専用ユーザーフォーム名を連結します 

userFormNames

すべてのユーザーフォーム名を連結します。readOnlyUserFormNames および readWriteOnlyUserFormNames によって返される値を含んでいます。 

userFunctionNames

すべてのユーザー機能名を連結します 

userMenuNames

すべてのユーザーメニュー名を連結します。 

Oracle ERP アダプタでは、create および update の前アクションおよび後アクションを使用することにより、またはカスタムの getUser アクションを使用することにより、任意の追加カスタム属性をサポートできます。詳細は、「リソースアクションの使用」を参照してください。

リソースオブジェクトの管理

Identity Manager は、次のネイティブオブジェクトをサポートします。

リソースオブェクト  

サポートされる機能  

管理対象オブジェクト  

responsibilityNames 

更新 

name、userMenuNames、menuIds、userFunctionNames、functionIds、formIds、formNames、userFormNames、readOnlyFormIds、readWriteOnlyFormIds、readOnlyFormNames、readOnlyUserFormNames、readWriteOnlyFormNames、readWriteOnlyUserFormNames、functionNames、readOnlyFunctionNames、readWriteOnlyFunctionNames 

アイデンティティーテンプレート

$accountId$

サンプルフォーム

組み込みのフォーム

なし

その他の利用可能なフォーム

OracleERPUserForm.xml

トラブルシューティング

Identity Manager のデバッグページを使用して、次のクラスでトレースオプションを設定します。