コンパクトディスク (CD) またはデジタル多用途ディスク (DVD) のエクスポートは、通常のディスクと同じ方法で実行できます。CD または DVD をゲストドメインにエクスポートするには、CD または DVD デバイスのスライス 2 をフルディスクとして、つまり slice オプションを指定しないでエクスポートします。
CD または DVD ドライブ自体をエクスポートすることはできません。エクスポートできるのは、CD または DVD ドライブ内の CD または DVD のみです。このため、CD または DVD はエクスポート前にドライブ内に存在している必要があります。また、CD または DVD をエクスポートできるようにするには、その CD または DVD がサービスドメインで使用中になっていない必要があります。特に、ボリューム管理ファイルシステムの volfs(7FS) サービスが CD または DVD を使用していてはいけません。volfs によるデバイスの使用を解除する方法については、「CD または DVD をサービスドメインからゲストドメインにエクスポートする」 を参照してください。
ファイルまたはボリュームに CD または DVD の ISO (国際標準化機構) イメージが格納されている場合に、そのファイルまたはボリュームをフルディスクとしてエクスポートすると、ゲストドメインで CD または DVD として表示されます。
CD、DVD、または ISO イメージをエクスポートすると、自動的にゲストドメインで読み取り専用デバイスとして表示されます。ただし、ゲストドメインから CD の制御操作を実行することはできません。つまり、ゲストドメインから CD の起動、停止、または取り出しは実行できません。エクスポートされた CD、DVD、または ISO イメージを起動可能な場合は、対応する仮想ディスクでゲストドメインを起動できます。
たとえば、Solaris OS インストール DVD をエクスポートした場合は、その DVD に対応する仮想ディスク上のゲストドメインを起動し、その DVD からゲストドメインをインストールすることができます。これを行うには、ゲストドメインで ok プロンプトが表示されたときに次のコマンドを使用します。
ok boot /virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@n:f |
n は、エクスポートされた DVD を表す仮想ディスクのインデックスです。
Solaris OS インストール DVD をエクスポートし、その DVD に対応する仮想ディスク上でゲストドメインを起動してゲストドメインをインストールする場合、インストール中に DVD を変更することはできません。このため、異なる CD または DVD を要求するインストール手順は省略する必要がある場合があります。または、要求されたメディアにアクセスするための代替パスを指定する必要があります。
サービスドメインから、ボリューム管理デーモンの vold(1M) が動作中でオンラインかどうかを確認します。
service# svcs volfs STATE STIME FMRI online 12:28:12 svc:/system/filesystem/volfs:default |
次のいずれかを実行します。
ボリューム管理デーモンが動作中またはオンラインでない場合は、手順 5 に進みます。
手順 1 の例に示すように、ボリューム管理デーモンが動作中でオンラインの場合は、次の手順を実行します。
/etc/vold.conf ファイルを編集して、次の文字列で始まる行をコメントアウトします。
use cdrom drive.... |
vold.conf(4) マニュアルページを参照してください。
CD または DVD ドライブに CD または DVD を挿入します。
サービスドメインから、ボリューム管理ファイルシステムサービスを再起動します。
service# svcadm refresh volfs service# svcadm restart volfs |
サービスドメインから、CD-ROM デバイスのディスクパスを検出します。
service# cdrw -l Looking for CD devices... Node Connected Device Device type ----------------------+--------------------------------+----------------- /dev/rdsk/c1t0d0s2 | MATSHITA CD-RW CW-8124 DZ13 | CD Reader/Writer |
CD または DVD ディスクデバイスをフルディスクとしてエクスポートします。
primary# ldm add-vdsdev /dev/dsk/c1t0d0s2 cdrom@primary-vds0 |
エクスポートされた CD または DVD をゲストドメインに割り当てます。
次の例は、エクスポートされた CD または DVD をドメイン ldg1 に割り当てる方法を示しています。
primary# ldm add-vdisk cdrom cdrom@primary-vds0 ldg1 |
CD または DVD は複数回エクスポートし、異なるゲストドメインに割り当てることができます。詳細は、「仮想ディスクバックエンドを複数回エクスポートする」 を参照してください。
ここでは、primary ドメインから ISO イメージをエクスポートし、それを使用してゲストドメインをインストールする手順について説明します。この手順では、primary ドメインとゲストドメインの両方が構成されていることを前提としています。
たとえば、次のように ldm list を実行すると、primary ドメインと ldom1 ドメインの両方が構成されていることが表示されます。
# ldm list NAME STATE FLAGS CONS VCPU MEMORY UTIL UPTIME primary active -n-cv SP 4 4G 0.3% 15m ldom1 active -t--- 5000 4 1G 25% 8m |
仮想ディスクサーバーデバイスを追加して、ISO イメージをエクスポートします。
この例では、ISO イメージは /export/images/sol-10-u5-ga-sparc-dvd.iso です。
# ldm add-vdsdev /export/images/sol-10-u5-ga-sparc-dvd.iso dvd-iso@primary-vds0 |
ゲストドメインを停止します。
この例では、論理ドメインは ldom1 です。
# ldm stop-domain ldom1 LDom ldom1 stopped |
ISO イメージの仮想ディスクを論理ドメインに追加します。
この例では、論理ドメインは ldom1 です。
# ldm add-vdisk s10-dvd dvd-iso@primary-vds0 ldom1 |
ゲストドメインを再起動します。
この例では、論理ドメインは ldom1 です。
# ldm start-domain ldom1 LDom ldom1 started # ldm list NAME STATE FLAGS CONS VCPU MEMORY UTIL UPTIME primary active -n-cv SP 4 4G 0.4% 25m ldom1 active -t--- 5000 4 1G 0.0% 0s |
この例では、ldm list コマンドにより、ldom1 ドメインが起動されたばかりであることが表示されています。
ゲストドメインに接続します。
# telnet localhost 5000 Trying 127.0.0.1... Connected to localhost. Escape character is '^]'. Connecting to console "ldom1" in group "ldom1" .... Press ~? for control options .. |
ISO イメージが仮想ディスクとして追加されていることを確認します。
{0} ok show-disks a) /virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@1 b) /virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@0 q) NO SELECTION Enter Selection, q to quit: q |
この例では、新しく追加されたデバイスは /virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@1 です。
ゲストドメインを起動して、ISO イメージからインストールします。
この例では、/virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@1 ディスクの f スライスから起動します。
{0} ok boot /virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@1:f |