インターネットプロトコルネットワークマルチパス (IPMP) は、複数のネットワークインタフェースカード間の耐障害性と負荷分散を提供します。IPMP を使用すると、1 つ以上のインタフェースを IP マルチパスグループとして構成できます。IPMP を構成すると、システムは IPMP グループ内のインタフェースで障害が発生していないかを自動的に監視します。グループ内のインタフェースに障害が発生したり、保守のために削除されたりすると、IPMP は障害の発生したインタフェースの IP アドレスを自動的に移行して、フェイルオーバーを行います。論理ドメイン環境では、物理ネットワークインタフェースまたは仮想ネットワークインタフェースのいずれかで IPMP を使用したフェイルオーバーを構成できます。
IPMP グループに仮想ネットワークデバイスを構成することで、論理ドメインに耐障害性を持たせるように構成できます。アクティブ/スタンバイ構成で、仮想ネットワークデバイスを使用して IPMP グループを設定する場合は、グループでプローブベースの検出を使用するようにグループを設定します。Logical Domains 1.2 ソフトウェアでは、現在、仮想ネットワークデバイスに対するリンクベースの検出とフェイルオーバーはサポートされていません。
次の図に、サービスドメインで個別の仮想スイッチインスタンス (vsw0 および vsw1) に接続された 2 つの仮想ネットワーク (vnet0 および vnet1) を示します。これらは、同様に、2 つの異なる物理インタフェース (e1000g0 および e1000g1) を使用します。物理インタフェースに障害が発生した場合、LDom_A の IP 層が、プローブベースの検出を使用して対応する vnet の障害と接続の損失を検出し、vnet の二次デバイスに自動的にフェールオーバーします。
次の図に示すように、各仮想ネットワークデバイス (vnet0 および vnet1) を異なるサービスドメインの仮想スイッチインスタンスに接続すると、論理ドメインでの信頼性をさらに高めることができます。この場合、ネットワークハードウェアの障害に加えて、LDom_A が仮想ネットワークの障害を検出し、サービスドメインがクラッシュまたは停止したあとでフェイルオーバーを引き起こすことができます。
IPMP グループの構成と使用法の詳細は、Solaris 10 の『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』を参照してください。
ネットワーク内の IPMP インタフェースに対応するルーターに明示的なルートが構成されていない場合、IPMP プローブベースの検出を目的どおりに動作させるには、ターゲットシステムへの明示的なホストルートを 1 つ以上構成する必要があります。このようにしない場合、プローブ検出がネットワーク障害を検出できないことがあります。
ホストルートを構成します。
# route add -host destination-IP gateway-IP -static |
次に例を示します。
# route add -host 192.168.102.1 192.168.102.1 -static |
詳細は、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「ターゲットシステムの構成」を参照してください。
サービスドメインの物理インタフェースを IPMP グループとして構成すると、論理ドメイン環境でのネットワーク障害の検出と復旧を設定することもできます。これを行うには、サービスドメインの仮想スイッチをネットワークデバイスとして構成し、サービスドメイン自体を IP ルーターとして動作するように構成します。IP ルーティングの設定については、Solaris 10 の『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』を参照してください。
いったん仮想スイッチが構成されると、仮想ネットワークから発生し外部のマシンに送信される予定のすべてのパケットは、物理デバイスを使用して直接送信されるのではなく、IP 層に送信されます。物理インタフェースに障害が発生した場合、IP 層は障害を検出し、自動的に二次インタフェースを使用してパケットをふたたび経路指定します。
物理インタフェースは直接 IPMP グループに構成されているため、グループは、リンクベースまたはプローブベースのいずれかの検出用に設定できます。次の図に、IPMP グループの一部として構成された 2 つのネットワークインタフェース (e1000g0 および e1000g1) を示します。仮想スイッチインスタンス (vsw0) は、IP 層にパケットを送信するネットワークデバイスとして plumb されています。