Logical Domains 1.2 管理ガイド

Logical Domains ソフトウェアでの VLAN のタグ付けの使用

Solaris 10 10/08 OS および LDoms 1.1 ソフトウェアのリリース以降は、Logical Domains ネットワークインフラストラクチャーで 802.1Q VLAN のタグ付けがサポートされます。


注 –

タグ付き VLAN は、以前のリリースの LDoms ネットワークコンポーネント用ではサポートされていません。


仮想スイッチ (vsw) および仮想ネットワーク (vnet) デバイスは、仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) 識別子 (ID) に基づいて Ethernet パケットのスイッチングをサポートし、Ethernet フレームの必要なタグ付けまたはタグなし処理を行います。

ゲストドメインの vnet デバイスには複数の VLAN インタフェースを作成できます。Solaris OS ifconfig(1M) コマンドを使用すると、ほかの物理ネットワークデバイスに VLAN インタフェースを構成する場合と同じ方法で、仮想ネットワークデバイスに VLAN インタフェースを作成できます。LDoms 環境では、この手順のほかに Logical Domains Manager CLI コマンドを使用して、対応する VLAN に vnet を割り当てる必要があります。Logical Domains Manager CLI コマンドの詳細は、ldm(1M) を参照してください。

同様に、サービスドメインの仮想スイッチデバイスに VLAN インタフェースを構成することができます。VLAN ID 2 ~ 4094 が有効です。VLAN ID 1 は default-vlan-id として予約されています。

ゲストドメインに vnet デバイスを作成する場合は、そのデバイスを必要な VLAN に割り当てる必要があります。それには、ldm add-vnet コマンドで pvid= 引数および vid= 引数を使用して、この vnet にポート VLAN ID および 0 個以上の VLAN ID を指定します。これによって、仮想スイッチは、LDoms ネットワークで複数の VLAN をサポートし、ネットワークで MAC アドレスと VLAN ID の両方を使用してパケットをスイッチングするように構成されます。

同様に、vsw デバイス自体が属することになる VLAN を、ネットワークインタフェースとして plumb するときに、ldm add-vsw コマンドで pvid= 引数および vid= 引数を使用して、vsw デバイス内に構成する必要があります。

デバイスが属する VLAN は、ldm set-vnet または ldm set-vsw コマンドを使用して変更できます。

ポート VLAN ID (PVID)

PVID は、仮想ネットワークデバイスをメンバーにする必要のある VLAN を、タグなしモードで示します。この場合、PVID で指定した VLAN の vnet デバイスのために必要なフレームのタグ付けまたはタグなし処理は、vsw デバイスによって行われます。仮想ネットワークからのタグなしのアウトバウンドフレームは、仮想スイッチによって PVID でタグ付けされます。この PVID でタグ付けされたインバウンドフレームは、仮想スイッチによってタグが削除されてから、vnet デバイスに送信されます。このため、PVID を vnet に暗黙に割り当てることは、仮想スイッチの対応する仮想ネットワークポートが、PVID で指定された VLAN に対してタグなしとしてマークされることを意味します。vnet デバイスに設定できる PVID は 1 つだけです。

対応する仮想ネットワークインタフェースは、VLAN ID なしで ifconfig(1M) コマンドを使用して、そのデバイスインスタンスだけを使用して構成した場合、仮想ネットワークの PVID によって指定された VLAN に暗黙に割り当てられます。

たとえば、次のコマンドを使用して vnet インスタンス 0 を plumb する場合に、この vnetpvid= 引数が 10 として指定されているときは、vnet0 インタフェースが VLAN 10 に属するように暗黙に割り当てられます。


# ifconfig vnet0 plumb

VLAN ID (VID)

VID は、仮想ネットワークデバイスまたは仮想スイッチをメンバーにする必要のある VLAN を、タグ付きモードで示します。仮想ネットワークデバイスは、その VID で指定されている VLAN でタグ付きフレームを送受信します。仮想スイッチは、仮想ネットワークデバイスと外部ネットワークの間で、指定の VID でタグ付けされたフレームを通過させます。

ProcedureVLAN を仮想スイッチおよび仮想ネットワークデバイスに割り当てる

  1. たとえば、仮想スイッチ (vsw) を 2 つの VLAN に割り当てます。VLAN 21 をタグなし、VLAN 20 をタグ付きとして構成します。たとえば、仮想ネットワーク (vnet) を 3 つの VLAN に割り当てます。VLAN 20 をタグなし、VLAN 21 および VLAN 22 をタグ付きとして構成します。


    # ldm add-vsw net-dev=e1000g0 pvid=21 vid=20 primary-vsw0 primary
    # ldm add-vnet pvid=20 vid=21,22 vnet01 primary-vsw0 ldom1
    
  2. VLAN インタフェースを plumb します。

    この例では、ドメイン内のこれらのデバイスのインスタンス番号は 0 で、VLAN はこれらのサブネットに対応づけられていることを前提としています。

    VLAN 

    サブネット 

    20 

    192.168.1.0 (ネットマスク: 255.255.255.0) 

    21 

    192.168.2.0 (ネットマスク: 255.255.255.0) 

    22 

    192.168.3.0 (ネットマスク: 255.255.255.0) 

    1. サービス (primary) ドメインで VLAN インタフェースを plumb します。


      primary# ifconfig vsw0 plumb
      primary# ifconfig vsw0 192.168.2.100 netmask 0xffffff00 broadcast + up
      primary# ifconfig vsw20000 plumb
      primary# ifconfig vsw20000 192.168.1.100 netmask 0xffffff00 broadcast + up
      
    2. ゲスト (ldom1) ドメインで VLAN インタフェースを plumb します。


      ldom1# ifconfig vnet0 plumb
      ldom1# ifconfig vnet0 192.168.1.101 netmask 0xffffff00 broadcast + up
      ldom1# ifconfig vnet21000 plumb
      ldom1# ifconfig vnet21000 192.168.2.101 netmask 0xffffff00 broadcast + up
      ldom1# ifconfig vnet22000 plumb
      ldom1# ifconfig vnet22000 192.168.3.101 netmask 0xffffff00 broadcast + up
      

      Solaris OS で VLAN インタフェースを構成する方法の詳細は、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』「仮想ローカルエリアネットワークの管理」を参照してください。