Logical Domains 1.2 管理ガイド

Logical Domains Manager

Logical Domains Manager は、論理ドメインの作成と管理、および物理リソースへの論理ドメインの割り当てを行うために使用します。Logical Domains Manager は、サーバーごとに 1 つだけ実行できます。

論理ドメインの役割

論理ドメインはすべて同じですが、論理ドメインに対して指定する役割に基づいてそれぞれ区別できます。論理ドメインが実行できる役割は、次のとおりです。

Logical Domains Manager は、Logical Domains でまだ構成されていない既存のシステムにインストールできます。この場合、OS の現在のインスタンスが制御ドメインになります。また、このシステムは、唯一のドメインとして制御ドメインを持つ Logical Domains システムとして構成されます。制御ドメインを構成したあと、システム全体をもっとも効率的に利用できるように、アプリケーションの負荷をほかのドメイン間で分散できます。これを行うには、ドメインを追加し、制御ドメインから新しいドメインにアプリケーションを移動します。

コマンド行インタフェース

Logical Domains Manager は、コマンド行インタフェース (CLI) を使用して、論理ドメインを作成および構成します。CLI には、単一のコマンド ldm があり、これは複数のサブコマンドを備えています。ldm(1M) マニュアルページを参照してください。

Logical Domains Manager CLIを使用するには、Logical Domains Manager デーモン (ldmd) が実行されている必要があります。

仮想入出力

Logical Domains 環境では、UltraSPARC® T2 Plus プロセッサ システム上に最大 128 のドメインをプロビジョニングすることができます。これらのシステムでは、I/O バスおよび物理 I/O スロットの数に制限があります。そのため、これらのシステムのすべてのドメインに対して、物理ディスクおよびネットワークデバイスへの排他的なアクセスを提供することはできません。PCI バスをドメインに割り当てて、物理デバイスへのアクセスを提供できます。この解決方法は、すべてのドメインにデバイスへの排他的なアクセスを提供するには不十分です。「I/O ドメインと PCI EXPRESS バス」 を参照してください。このように物理 I/O デバイスへの直接アクセスが不足している状況は、仮想化 I/O モデルを実装することで対処されます。

物理 I/O アクセスを行わない論理ドメインは、サービスドメインと通信する仮想 I/O デバイスを使用して構成されます。サービスドメインは、仮想デバイスサービスを実行して、物理デバイスまたはその機能にアクセスを提供します。このようなクライアントサーバーモデルで、仮想 I/O デバイスは、論理ドメインチャネル (LDC) と呼ばれるドメイン間通信チャネルを使用して、相互に、またはサービスの対象と通信します。仮想化 I/O 機能には、仮想ネットワーク、ストレージ、およびコンソールのサポートが含まれています。

仮想ネットワーク

Logical Domains は、仮想ネットワークデバイスおよび仮想ネットワークスイッチデバイスを使用して、仮想ネットワークを実装します。仮想ネットワーク (vnet) デバイスは、Ethernet デバイスをエミュレートし、ポイントツーポイントチャネルを使用してシステム内のほかの vnet デバイスと通信します。仮想スイッチ (vsw) デバイスは、主に仮想ネットワークのすべての受信パケットおよび送信パケットのマルチプレクサとして機能します。vsw デバイスは、サービスドメインの物理ネットワークアダプタに直接接続し、仮想ネットワークの代わりにパケットを送受信します。vsw デバイスは、単純なレイヤー 2 スイッチとしても機能し、システム内で vsw デバイスに接続された vnet デバイス間でパケットをスイッチします。

仮想ストレージ

仮想ストレージインフラストラクチャーは、クライアントサーバーモデルを使用して、論理ドメインに直接割り当てられていないブロックレベルのストレージに論理ドメインがアクセスできるようにします。このモデルは、次のコンポーネントを使用します。

クライアントドメインでは仮想ディスクは通常のディスクとして認識されますが、ほとんどのディスク操作は仮想ディスクサービスに転送され、サービスドメインで処理されます。

仮想コンソール

Logical Domains 環境では、primary ドメインからのコンソール I/O は、サービスプロセッサに転送されます。ほかのすべてのドメインからのコンソール I/O は、仮想コンソール端末集配信装置 (vcc) を実行しているサービスドメインにリダイレクトされます。通常、vcc を実行するドメインは、primary ドメインです。仮想コンソール端末集配信装置サービスは、すべてのドメインのコンソールトラフィックの端末集配信装置として機能します。また、仮想ネットワーク端末サーバーデーモン (vntsd) とのインタフェースを提供し、UNIX ソケットを使用して各コンソールへのアクセスを提供します。

動的再構成

動的再構成 (DR) は、オペレーティングシステムの動作中にリソースを追加または削除できる機能です。特定のリソースタイプの動的再構成が実行可能かどうかは、論理ドメインで動作している OS でのサポート状況によって異なります。

動的再構成は、次のリソースに対してサポートされています。

動的再構成機能を使用するには、変更するドメインで Logical Domains 動的再構成デーモン (drd) を実行する必要があります。drd(1M) マニュアルページを参照してください。

遅延再構成

即座に有効になる動的再構成処理とは対照的に、遅延再構成処理は、次の状況で有効になります。

Logical Domains Manager 1.2 ソフトウェアは、遅延再構成処理を制御ドメインに限定します。ほかのすべてのドメインの場合、リソースの動的再構成が可能でないかぎり、構成を変更するにはドメインを停止する必要があります。

Sun UltraSPARC T1 プロセッサを使用している場合で、Logical Domains Manager が先にインストールされて有効になっているとき、または構成が factory-default に復元されているときは、ldmd は構成モードで動作します。このモードでは、再構成要求は受け入れられてキューに入れられますが、処理されません。これにより、実行中のマシンの状態には影響を与えずに新しい構成が生成されて SP に格納されます。そのため、構成モードは、I/O ドメインの遅延再構成や再起動のような制限によって妨げられることがなくなります。

制御ドメインで遅延再構成が進行中の場合、その制御ドメインが再起動するまで、または停止して起動するまで、その制御ドメインに対するその他の再構成要求は延期されます。また、制御ドメインに対して未処理の遅延再構成がある場合、その他の論理ドメインに対する再構成要求は厳しく制限され、適切なエラーメッセージを表示して失敗します。

Logical Domains Manager の ldm cancel-operation reconf コマンドは、制御ドメインの遅延再構成処理を取り消します。遅延再構成処理は、ldm list-domain コマンドを使用して一覧表示できます。遅延再構成機能の使用法については、ldm(1M) マニュアルページを参照してください。


注 –

その他の ldm remove-* コマンドが仮想 I/O デバイスで遅延再構成処理をすでに実行している場合、ldm cancel-operation reconf コマンドを使用できません。このような状況では、ldm cancel-operation reconf コマンドは失敗します。


持続的な構成

ldm コマンドを使用して、論理ドメインの現在の構成をサービスプロセッサに格納できます。構成の追加、使用する構成の指定、構成の削除、および構成の表示を行うことができます。ldm(1M) マニュアルページを参照してください。

ALOM CMT Version 1.3 コマンドを使用して、起動する構成を選択することもできます。「LDoms と ALOM CMT の使用」 を参照してください。

構成の管理については、「Logical Domains 構成の管理」 を参照してください。