Solaris 10 の概要

System V IPC 構成

この機能は、Software Express パイロットプログラムで新しく追加されました。この機能は、Solaris 10 3/05 に組み込まれています。

Solaris ソフトウェアの System V IPC 機能は、すべて自動的に構成されます。または、これらの機能は資源制御によって制御されます。System V IPC 機能には、共有メモリー、メッセージキュー、セマフォーがあります。資源制御では、ローカルシステムまたはネームサービス環境の IPC をプロジェクト単位またはユーザー単位に設定できます。旧リリースの Solaris では、カーネルのチューニング可能パラメータで IPC 機能を制御していました。これらの機能のデフォルト値を変更するには、/etc/system ファイルを変更してシステムを再起動しなければなりませんでした。しかし、資源制御で IPC 機能を制御するようになったので、システムの稼働中に IPC機能の構成を変更できます。デフォルト値と自動的に割り当てられる資源が増えたことにより、従来はシステムを調整しないと機能しなかったアプリケーションのほとんどが、調整しなくても実行できるようになりました。

次の表は、『Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル』に記載されていた古い IPC 調整可能パラメータと、それらに代わる資源制御の一覧です。

資源制御 

旧式のチューニング可能パラメータ 

旧デフォルト値 

最大値 

新デフォルト値 

process.max-msg-qbytes

msginfo_msgmnb

4096 

ULONG_MAX

65536 

process.max-msg-messages

msginfo_msgtql

40 

UINT_MAX

8192 

process.max-sem-ops

seminfo_semopm

10 

INT_MAX

512 

process.max-sem-nsems

seminfo_semmsl

25 

SHRT_MAX

512 

project.max-shm-memory

shminfo_shmmax

0x800000 

UINT64_MAX

物理メモリーの 1/4 

project.max-shm-ids

shminfo_shmmni

100 

224

128 

project.max-msg-ids

msginfo_msgmni

50 

224

128 

project.max-sem-ids

seminfo_semmni

10 

224

128 

古いパラメータが、Solaris システムの /etc/system ファイルに入っていることがあります。その場合、これらのパラメータは、以前の Solaris リリースの場合と同様に、デフォルトの資源制御値の初期化に使用されます。ただし、古いパラメータはできるだけ使用しないでください。

関連のある次のパラメータは削除されました。今回の Solaris システムの /etc/system ファイルにこれらのパラメータが含まれている場合は、無視されます。

新しい資源制御の使用方法については、「System V IPC とその他の資源制御」を参照してください。