Solaris ボリュームマネージャの管理

RAID-1 ボリュームの削除 (ミラー化の解除)

Procedureファイルシステムのミラー化を解除するには

この手順では、システムの動作中にマウント解除できるファイルシステムのミラー化を解除します。ルート (/)、 /var/usrswap、またはシステムの稼働中はマウントを解除できないその他のファイルシステムのミラー化を解除する場合は、「マウント解除できないファイルシステムのミラー化を解除するには」を参照してください。

始める前に

「RAID-1 ボリュームの作成と保守」を確認します。

  1. すべてのデータの最新のバックアップを取っているか確認します。また、この操作には root 権限が必要です。

  2. 少なくとも 1 つのサブミラーが「正常 (Okay)」状態であることを確認します。


    # metastat mirror
    
  3. ファイルシステムをマウント解除します。


    # umount /file-system
    
  4. サブミラーを切り離します。このサブミラーは、この後もこのファイルシステムのために使用されます。


    # metadetach mirror submirror
    

    詳細は、metadetach(1M) のマニュアルページを参照してください。

  5. ミラーと残りのサブコンポーネントを削除します。


    # metaclear -r mirror
    

    詳細は、metaclear(1M) のマニュアルページを参照してください。

  6. 必要であれば、/etc/vfstab ファイルを編集して、手順 4 で切り離したコンポーネントを使用するように指定します。

  7. ファイルシステムを再びマウントします。


    # mount /file-system
    

例 11–20 /opt ファイルシステムのミラー化を解除する


# metastat d4
d4: Mirror
    Submirror 0: d2
      State: Okay        
    Submirror 1: d3
      State: Okay        
    Pass: 1
    Read option: roundrobin (default)
    Write option: parallel (default)
    Size: 2100735 blocks (1.0 GB)

d2: Submirror of d4
    State: Okay         
    Size: 2100735 blocks (1.0 GB)
    Stripe 0:
        Device     Start Block  Dbase        State Reloc Hot Spare
        c0t0d0s0          0     No            Okay   Yes 


d3: Submirror of d4
    State: Okay         
    Size: 2100735 blocks (1.0 GB)
    Stripe 0:
        Device     Start Block  Dbase        State Reloc Hot Spare
        c1t0d0s0          0     No            Okay   Yes 

...
# umount /opt
# metadetach d4 d2
d4: submirror d2 is detached
# metaclear -r d4
d4: Mirror is cleared
d3: Concat/Stripe is cleared
(Edit the /etc/vfstab file so that the entry for /opt is changed from d4 to the underlying slice or volume)
# mount /opt

この例の /opt ファイルシステムは 2 面ミラー d4 から構成されています。このミラーのサブミラーは d2d3 です。サブミラーはスライス /dev/dsk/c0t0d0s0/dev/dsk/c1t0d0s0 からなります。metastat コマンドを使用して、少なくとも 1 つのサブミラーが「正常 (Okay)」状態であることを確認します。(「正常 (Okay)」状態のサブミラーが存在しないミラーは、最初に修復する必要があります)。ファイルシステムのマウントを解除します。次に、サブミラー d2 を切り離します。metaclear -r コマンドで、ミラーともう 1 つのサブミラー d3 を削除します。

次に、該当するスライスを参照するように /etc/vfstab ファイル内の /opt 用のエントリを編集します。

この例では、/etc/vfstab ファイルに /opt ファイルシステム用の次のエントリが指定されています。


/dev/md/dsk/d4  /dev/md/rdsk/d4  /opt ufs  2  yes -

次のようにエントリを変更します。


/dev/md/dsk/d2  /dev/md/rdsk/d2  /opt ufs  2  yes -

サブミラー名を使用することによって、ファイルシステムをボリュームにマウントしたままにできます。最後に、/opt ファイルシステムを再びマウントします。

/etc/vfstab ファイル内で d4 の代わりに d2 を使用したことによって、このミラーのミラー化を解除しています。d2 は 1 つのスライスから構成されているため、このデバイスでボリュームをサポートしたくなければ、ファイルシステムをスライス名 (/dev/dsk/c0t0d0s0) にマウントできます。


Procedureマウント解除できないファイルシステムのミラー化を解除するには

次の作業で、ルート (/)、/usr/optswap を含め、通常のシステム稼働時にはマウントを解除できないファイルシステムのミラー化を解除します。

  1. すべてのデータの最新のバックアップを取っているか確認します。また、この操作には root 権限が必要です。

  2. 少なくとも 1 つのサブミラーが「正常 (Okay)」状態であることを確認します。


    # metastat mirror
    
  3. サブミラーを切り離します。このサブミラーは、引き続きファイルシステム用として使用します。


    # metadetach mirror submirror
    

    詳細は、metadetach(1M) のマニュアルページを参照してください。

  4. ミラー化を解除するファイルシステムに応じて、次のどちらかのコマンドを使用します。

    • /usr/opt、またはswap ファイルシステムの場合は、/etc/vfstab ファイルに指定されているファイルシステムエントリを変更し、Solaris ボリュームマネージャ以外のデバイス (スライス) が使用されるようにします。

    • ルート (/) ファイルシステムの場合のみ:metaroot コマンドを実行します。


      # metaroot rootslice
      

      詳細は、metaroot(1M) のマニュアルページを参照してください。

  5. システムをリブートします。


    # reboot
    
  6. 残りのミラーとサブミラーを削除します。


    # metaclear -r mirror
    

    詳細は、metaclear(1M) のマニュアルページを参照してください。


例 11–21 ルート (/) ファイルシステムのミラー化を解除する


# metastat d0
d0: Mirror
    Submirror 0: d10
      State: Okay        
    Submirror 1: d20
      State: Okay        
    Pass: 1
    Read option: roundrobin (default)
    Write option: parallel (default)
    Size: 2100735 blocks (1.0 GB)

d10: Submirror of d0
    State: Okay         
    Size: 2100735 blocks (1.0 GB)
    Stripe 0:
        Device     Start Block  Dbase        State Reloc Hot Spare
        c0t3d0s0          0     No            Okay   Yes 


d20: Submirror of d0
    State: Okay         
    Size: 2100735 blocks (1.0 GB)
    Stripe 0:
        Device     Start Block  Dbase        State Reloc Hot Spare
        c1t3d0s0          0     No            Okay   Yes 


# metadetach d0 d20
d0: submirror d20 is detached
# metaroot /dev/dsk/c0t3d0s0
# reboot
...
# metaclear -r d0
d0: Mirror is cleared
d10: Concat/Stripe is cleared
# metaclear d20
d20: Concat/Stripe is cleared

この例のルート (/) ファイルシステムは 2 面ミラー d0 です。このミラーのサブミラーは d10d20 です。サブミラーはスライス /dev/dsk/c0t3d0s0/dev/dsk/c1t3d0s0 からなります。metastat コマンドを使用して、少なくとも 1 つのサブミラーが「正常 (Okay)」状態であることを確認します。(「正常 (Okay)」状態のサブミラーが存在しないミラーは、最初に修復する必要があります)。次に、サブミラー d20 を切り離して、ミラー d0 を 1 面ミラーにします。

ルートスライス」は、ルート (/) ファイルシステムが含まれているスライスです。metaroot コマンドには、システムのブートに使用する rootslice を指定します。このコマンドによって /etc/system ファイルと /etc/vfstab ファイルが編集されます。このコマンドは、ルート (/) ファイルシステムのミラー化を指定した情報を削除します。

システムのリブート後、metaclear -r コマンドがミラーともう 1 つのサブミラー d10 を削除します。最後の metaclear コマンドは、サブミラー d20 を削除します。



例 11–22 swap ファイルシステムのミラー化を解除する


# metastat d1
d1: Mirror
    Submirror 0: d11
      State: Okay        
    Submirror 1: d21
      State: Okay        
...
# metadetach d1 d21
d1: submirror d21 is detached
(/etc/vfstab ファイルを編集して、swap のエントリをメタデバイスからスライス名に変更する)
# reboot
...
# metaclear -r d1
d1: Mirror is cleared
d11: Concat/Stripe is cleared
# metaclear d21
d21: Concat/stripe is cleared

この例の swap ファイルシステムは、2 面ミラー d1 からなります。このミラーのサブミラーは d11d21 です。サブミラーはスライス /dev/dsk/c0t3d0s1/dev/dsk/c1t3d0s1 からなります。metastat コマンドを使用して、少なくとも 1 つのサブミラーが「正常 (Okay)」状態であることを確認します。(「正常 (Okay)」状態のサブミラーが存在しないミラーは、最初に修復する必要があります)。次に、サブミラー d21 を切り離して、ミラー d1 を 1 面ミラーにします。次に、/etc/vfstab ファイルを編集して、swap のエントリが、サブミラー d21 のスライスを参照するように指定します。

この例では、/etc/vfstab ファイルに swap ファイルシステム用の次のエントリが指定されています。


/dev/md/dsk/d4  /dev/md/rdsk/d4  /opt ufs  2  yes -

/dev/md/dsk/d1 - - swap - no -

次のようにエントリを変更します。


/dev/dsk/c0t3d0s1 - - swap - no -

システムのリブート後、metaclear -r コマンドは、このミラーともう 1 つのサブミラー d11 を削除します。最後の metaclear コマンドは、サブミラー d21 を削除します。