RAID-5 ボリュームの状態をチェックする際、ボリュームの状態を完全に理解するには、RAID-5 とスライスの両方の状態をチェックする必要があります。さらに、ボリュームの状態が「正常 (Okay)」でない場合は、データが失われた可能性についても知る必要があります。詳細については、「RAID-5 ボリュームの状態のチェック (概要)」を参照してください。
RAID-5 ボリュームの初期化や再同期化を中断することはできません。
次のどちらかの方法で RAID-5 ボリュームの状態をチェックします。
Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開き、ボリュームの状態を表示します。ボリュームを選択します。次に、「アクション (Action)」、「プロパティ (Properties)」の順に選択して、詳細情報を確認します。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。
metastat コマンドを使って RAID-5 ボリュームの状態を表示します。
# metastat [-s diskset] [volume] |
コマンドの実行対象となるディスクセットの名前を指定します。
表示するボリュームを指定します。
metastat コマンドは、RAID-5 ボリュームのスライスごとに次の情報を表示します。
ストライプ内のスライスのデバイス名
スライスの開始ブロック
スライスに状態データベースの複製が含まれているかどうか
スライスの状態。
スライスが障害スライスのホットスペアとして使用されているかどうか
次の例は、RAID-5 ボリュームに関する metastat コマンドの出力です。
# metastat d10 d10: RAID State: Okay Interlace: 32 blocks Size: 10080 blocks Original device: Size: 10496 blocks Device Start Block Dbase State Hot Spare c0t0d0s1 330 No Okay c1t2d0s1 330 No Okay c2t3d0s1 330 No Okay |
metastat コマンドの出力には、ボリュームが RAID-5 ボリュームであることが示されています。この情報は、ボリューム名の後ろの「RAID」で識別できます。RAID-5 ボリューム内のスライスごとに、次のような出力が表示されます。
ストライプ内のスライスの名前。
スライスが始まるブロック。
どのスライスにも状態データベースの複製が含まれていないという表示。
スライスの状態。この例では、すべてのスライスが「正常 (Okay)」状態です。
スライスが障害スライスのホットスペアかどうか。
一般に、コンポーネントの追加は、領域が不足している RAID-5 ボリュームに対する一時的な解決策です。性能上の理由から、「純粋な」RAID-5 ボリュームの使用をお勧めします。記憶領域を増やすために既存の RAID-5 ボリュームを拡張する必要がある場合は、この手順を使用してください。
32 ビットカーネルの Solaris ソフトウェアを実行する予定がある場合、または Solaris 9 4/03 リリースより前のバージョンの Solaris OS を使用する予定がある場合は、1T バイトを超えるボリュームを作成しないでください。Solaris ボリュームマネージャのマルチテラバイトボリュームサポートの詳細については、「Solaris ボリュームマネージャにおけるマルチテラバイトサポートの概要」を参照してください。
「RAID-5 ボリュームを作成するための背景情報」を確認します。
すべてのデータの最新のバックアップを取っているか確認します。また、この操作にはスーパーユーザー権限が必要です。
次のどちらかの方法で RAID-5 ボリュームに他のコンポーネントを追加します。
Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開き、次に RAID-5 ボリュームを開きます。「コンポーネント (Components)」区画を開きます。「コンポーネントの接続 (Attach Component)」を選択します。画面の指示に従います。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。
次の形式の metattach コマンドを実行します。
# metattach volume-name name-of-component-to-add |
拡張する RAID-5 ボリュームの名前を指定します。
RAID-5 ボリュームを接続するコンポーネントの名前を指定します。
次の例では、スライスc2t1d0s2 を既存の RAID-5 ボリューム d2 に追加しています。
# metattach d2 c2t1d0s2 d2: column is attached |
UFS ファイルシステムの場合は、RAID-5 ボリュームに対して growfs コマンドを実行します。「growfs コマンドによるボリュームとディスク領域の拡張」を参照してください。
データベースなど、アプリケーションによってはファイルシステムを使用しません。これらのアプリケーションでは、代わりに raw デバイスを使用します。この場合、アプリケーションは独自の方法で追加領域を拡張できなければなりません。
ディスクドライブに障害が発生した場合は、そのドライブの代わりにシステム上のほかのディスク (およびそのスライス) を使用することができます (「RAID-5 ボリューム内のコンポーネントを置き換えるには」を参照)。または、ディスクを修復し、ラベルを付け、-e オプションを指定して metareplace コマンドを実行することによって、ディスクをもう一度有効化することもできます。
すべてのデータの最新のバックアップを取っているか確認します。また、この操作にはスーパーユーザー権限が必要です。
次のどちらかの方法で、RAIDー5 ボリューム内の、障害が発生したコンポーネントを有効にします。
Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開き、次に RAID-5 ボリュームを開きます。「コンポーネント (Components)」区画を開きます。障害の発生したコンポーネントを選択します。「コンポーネントの有効化 (Enable Component)」をクリックします。画面の指示に従います。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。
次の形式の metareplace コマンドを実行します。
# metareplace -e volume-name component-name |
障害の発生したコンポーネントを使用可能な状態に戻し、そのコンポーネントに対して再同期を実行することを指定します。
障害コンポーネントが含まれているボリュームの名前を指定します。
障害の発生したコンポーネントの名前を指定します。
metareplace コマンドは、新しいコンポーネントと RAID-5 ボリュームの残りのコンポーネントとの再同期を自動的に開始します。
次の例では、RAID-5 ボリューム d20 内のスライス c2t0d0s2 にソフトエラーがあります。metareplace コマンドに -e オプションを指定して、このスライスを有効にします。
# metareplace -e d20 c2t0d0s2 |
この作業では、1 つのスライスに障害が発生した RAID-5 ボリュームでそのスライスを交換します。
複数のスライスでエラーが発生している状態で、障害のあるスライスを 1 つだけ交換すると、不正なデータが生成されることがあります。この場合、データの整合性に疑問が生じます。
metareplace コマンドを障害が発生していないデバイス上で実行すれば、ディスクスライスなどのコンポーネントを交換できます。この方法は、RAID-5 ボリュームの性能を調整するときなどに便利です。
すべてのデータの最新のバックアップを取っているか確認します。また、この操作にはスーパーユーザー権限が必要です。
次のどちらかの方法で RAID-5 ボリュームのどのスライスを交換するか判断します。
Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開きます。さらに RAID-5 ボリュームを開きます。「コンポーネント (Components)」区画を開きます。個々のコンポーネントの状態を調べます。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。
metastat コマンドを使用します。
# metastat volume |
RAID-5 ボリュームの名前を指定します。
「保守が必要 (Needs Maintenance)」というキーワードを探して、RAID-5 ボリュームの状態を調べます。「保守 (Maintenance)」というキーワードを探して、障害のあるスライスを特定します。
次のどちらかの方法で、障害のあるスライスを別のスライスで置き換えます。
Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開きます。さらに RAID-5 ボリュームを開きます。「コンポーネント (Components)」区画を開きます。障害の発生したコンポーネントを選択します。「コンポーネントを置換 (Replace Component)」をクリックし、画面の指示に従います。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。
次の形式の metareplace コマンドを実行します。
# metareplace volume-name failed-component new-component |
volume-name は、障害コンポーネントが含まれている RAID-5 ボリュームの名前です。
failed-component は、置き換えられるコンポーネントの名前です。
new-component は、障害のあるコンポーネントの代わりにボリュームに追加するコンポーネントの名前です。
詳細については、metareplace(1M) のマニュアルページを参照してください。
手順 2 のどちらかの方法で、新しいスライスの状態を確認します。
スライスは、「再同期中 (Resyncing)」状態か「正常 (Okay)」状態になるはずです。
# metastat d1 d1: RAID State: Needs Maintenance Invoke: metareplace d1 c0t14d0s6 <new device> Interlace: 32 blocks Size: 8087040 blocks Original device: Size: 8087520 blocks Device Start Block Dbase State Hot Spare c0t9d0s6 330 No Okay c0t13d0s6 330 No Okay c0t10d0s6 330 No Okay c0t11d0s6 330 No Okay c0t12d0s6 330 No Okay c0t14d0s6 330 No Maintenance # metareplace d1 c0t14d0s6 c0t4d0s6 d1: device c0t14d0s6 is replaced with c0t4d0s6 # metastat d1 d1: RAID State: Resyncing Resync in progress: 98% done Interlace: 32 blocks Size: 8087040 blocks Original device: Size: 8087520 blocks Device Start Block Dbase State Hot Spare c0t9d0s6 330 No Okay c0t13d0s6 330 No Okay c0t10d0s6 330 No Okay c0t11d0s6 330 No Okay c0t12d0s6 330 No Okay c0t4d0s6 330 No Resyncing |
この例では、metastat コマンドで RAID-5 ボリューム d1 内の障害の発生したスライスを表示します。交換用として使用可能なスライスを特定してから metareplace コマンドを実行します。このコマンドには、まず障害が発生したスライスを指定し、次に交換用のスライスを指定します。
使用可能なスライスがない場合は、metareplace コマンドに -e オプションを付けて実行し、障害のあるデバイスを再同期することによって、予想されるソフトエラーからの回復を試みます。この手順の詳細については、「RAID-5 ボリューム内のコンポーネントを有効にするには」を参照してください。複数のエラーがある場合は、まず「保守(Maintenance)」状態のスライスを交換するか有効にする必要があります。そのあとで、「最後にエラー (Last Erred)」状態のスライスを修理します。metareplace コマンドの実行後、 metastat コマンドを使用すると、再同期の進捗状況を監視できます。交換中は、ボリュームの状態と新しいスライスは「再同期中 (Resyncing)」状態となります。この状態の間は、ボリュームを使い続けることが できます。