Solaris ボリュームマネージャの管理

ProcedureRAID-5 ボリューム内のコンポーネントを置き換えるには

この作業では、1 つのスライスに障害が発生した RAID-5 ボリュームでそのスライスを交換します。


注意 – 注意 –

複数のスライスでエラーが発生している状態で、障害のあるスライスを 1 つだけ交換すると、不正なデータが生成されることがあります。この場合、データの整合性に疑問が生じます。


metareplace コマンドを障害が発生していないデバイス上で実行すれば、ディスクスライスなどのコンポーネントを交換できます。この方法は、RAID-5 ボリュームの性能を調整するときなどに便利です。

  1. すべてのデータの最新のバックアップを取っているか確認します。また、この操作にはスーパーユーザー権限が必要です。

  2. 次のどちらかの方法で RAID-5 ボリュームのどのスライスを交換するか判断します。

    • Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開きます。さらに RAID-5 ボリュームを開きます。「コンポーネント (Components)」区画を開きます。個々のコンポーネントの状態を調べます。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。

    • metastat コマンドを使用します。


      # metastat volume
      
      volume

      RAID-5 ボリュームの名前を指定します。

    「保守が必要 (Needs Maintenance)」というキーワードを探して、RAID-5 ボリュームの状態を調べます。「保守 (Maintenance)」というキーワードを探して、障害のあるスライスを特定します。

  3. 次のどちらかの方法で、障害のあるスライスを別のスライスで置き換えます。

    • Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開きます。さらに RAID-5 ボリュームを開きます。「コンポーネント (Components)」区画を開きます。障害の発生したコンポーネントを選択します。「コンポーネントを置換 (Replace Component)」をクリックし、画面の指示に従います。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。

    • 次の形式の metareplace コマンドを実行します。


      # metareplace volume-name failed-component new-component
      
      • volume-name は、障害コンポーネントが含まれている RAID-5 ボリュームの名前です。

      • failed-component は、置き換えられるコンポーネントの名前です。

      • new-component は、障害のあるコンポーネントの代わりにボリュームに追加するコンポーネントの名前です。

      詳細については、metareplace(1M) のマニュアルページを参照してください。

  4. 手順 2 のどちらかの方法で、新しいスライスの状態を確認します。

    スライスは、「再同期中 (Resyncing)」状態か「正常 (Okay)」状態になるはずです。


例 15–5 RAID-5 コンポーネントを置き換える


# metastat d1
d1: RAID
State: Needs Maintenance
    Invoke: metareplace d1 c0t14d0s6 <new device>
    Interlace: 32 blocks
    Size: 8087040 blocks
Original device:
    Size: 8087520 blocks
	Device              Start Block  Dbase State        Hot Spare
	c0t9d0s6                 330     No    Okay        
	c0t13d0s6                330     No    Okay        
	c0t10d0s6                330     No    Okay        
	c0t11d0s6                330     No    Okay        
	c0t12d0s6                330     No    Okay        
	c0t14d0s6                330     No    Maintenance
 
# metareplace d1 c0t14d0s6 c0t4d0s6
d1: device c0t14d0s6 is replaced with c0t4d0s6
# metastat d1
d1: RAID
    State: Resyncing
    Resync in progress: 98% done
    Interlace: 32 blocks
    Size: 8087040 blocks
Original device:
    Size: 8087520 blocks
	Device              Start Block  Dbase State        Hot Spare
	c0t9d0s6                 330     No    Okay        
	c0t13d0s6                330     No    Okay        
	c0t10d0s6                330     No    Okay        
	c0t11d0s6                330     No    Okay        
	c0t12d0s6                330     No    Okay
	c0t4d0s6                 330     No    Resyncing

この例では、metastat コマンドで RAID-5 ボリューム d1 内の障害の発生したスライスを表示します。交換用として使用可能なスライスを特定してから metareplace コマンドを実行します。このコマンドには、まず障害が発生したスライスを指定し、次に交換用のスライスを指定します。

使用可能なスライスがない場合は、metareplace コマンドに -e オプションを付けて実行し、障害のあるデバイスを再同期することによって、予想されるソフトエラーからの回復を試みます。この手順の詳細については、「RAID-5 ボリューム内のコンポーネントを有効にするには」を参照してください。複数のエラーがある場合は、まず「保守(Maintenance)」状態のスライスを交換するか有効にする必要があります。そのあとで、「最後にエラー (Last Erred)」状態のスライスを修理します。metareplace コマンドの実行後、 metastat コマンドを使用すると、再同期の進捗状況を監視できます。交換中は、ボリュームの状態と新しいスライスは「再同期中 (Resyncing)」状態となります。この状態の間は、ボリュームを使い続けることが できます。