Solaris ボリュームマネージャの管理

保守作業を決定するサブミラーの状態

Solaris ボリュームマネージャの metastat コマンドによって、RAID-1 ボリュームとサブミラーの状態情報が報告されます。この状態情報に基づいて、RAID-1 ボリュームに対して保守作業が必要かどうかを判断できます。次の表で、RAID-1 ボリュームに対して metastat コマンドを実行したときに表示される、サブミラーの状態について説明します。

表 10–3 サブミラーの状態

状態 

意味 

正常 (Okay) 

サブミラーにはエラーがなく正常に動作しています。 

再同期中 (Resyncing) 

サブミラーで再同期処理が実行されている。エラーが発生したが、すでに訂正され、オンラインに戻されたか、あるいは、新しいサブミラーが接続されています。 

保守が必要 (Needs Maintenace) 

サブミラー内のスライスに入出力エラーまたはオープンエラーが発生しました。スライスに対するすべての読み取りと書き込みはすでに停止されています。 

metastat コマンドはさらに、サブミラーのスライスごとに次の情報を提供します。

Device

ストライプ内のスライスのデバイス名

Start Block

スライスの開始ブロック

Dbase

スライスに状態データベースの複製が含まれているかどうか

State

スライスの状態

Hot Spare

スライスは障害スライスのホットスペアとして使用中

サブミラーの状態が伝えるのは、サブミラーの総合的な状態情報だけです。ミラーのエラーに対処する場合は、通常、スライスの状態がもっとも重視しなければならない情報です。サブミラーが「保守が必要 (Needs Maintenance)」の状態になっている場合、スライスの状態を参照して詳細を調べる必要があります。

スライスの状態が「保守 (Maintenance)」の場合と「最後にエラー (Last Erred)」の場合では、障害から回復するための処置が異なります。「保守 (Maintenance)」状態のスライスだけが複数ある場合は、どのような順序でスライスを修理してもかまいません。しかし、「保守 (Maintenance)」状態のスライスと「最後にエラー (Last Erred)」状態のスライスの両方が混在する場合は、先に「保守 (Maintenance)」状態のスライスを修理する必要があります。「保守 (Maintenance)」状態のスライスを修理したあとで、「最後にエラー (Last Erred)」状態のスライスを修理します。詳細については、「RAID-1 および RAID-5 ボリューム内のコンポーネントの交換と有効化の概要」を参照してください。

次の表に、サブミラーのスライスの状態と実行可能な処置を示します。

表 10–4 サブミラーのスライスの状態

状態 

意味 

処置 

正常 (Okay) 

スライスはエラーがなく正常に動作しています。 

必要ない 

再同期中 (Resyncing) 

スライスの再同期処理が進行しています。エラーが発生したが、すでに訂正され、オンラインに戻されたか、あるいは、新しいサブミラーが接続されています。 

必要であれば、再同期処理が終了するまでサブミラーの状態を監視します。 

保守 (Maintenance) 

スライスで 入出力エラーかオープンエラーが発生しました。このコンポーネントに対するすべての読み取りと書き込みはすでに停止されています。 

障害が発生したスライスを有効にするか、交換します。「サブミラー内のスライスを有効にするには」または「サブミラー内のスライスを交換するには」を参照してください。metastat コマンドを実行すると、metareplace コマンドを使って行うべき処置を示す invoke 回復メッセージが表示されます。metareplace -e コマンドを使用することもできます。

最後にエラー (Last Erred) 

スライスで 入出力エラーかオープンエラーが発生しました。しかし、別のスライスに障害があるため、データは他のスライスには複製されません。したがって、入出力は引き続きこのスライスに対して行われます。この入出力がエラーになると、ミラー入出力は失敗します。 

まず、「保守 (Maintenance)」状態のスライスを有効にするか、交換します。「サブミラー内のスライスを有効にするには」または 「サブミラー内のスライスを交換するには」を参照してください。通常は、このエラーがあるとデータが失われるため、ミラーの修復後にミラーを検証する必要があります。ファイルシステムの場合は、fsck コマンドを実行してからデータをチェックします。アプリケーションやデータベースでは、独自の方法でデバイスを検証できなければなりません。