Solaris のシステム管理 (IP サービス)

Procedureipsecinit.conf の新しいポリシーエントリ用に IKE 事前共有鍵を追加する方法

IPsec と IKE の実行中に IPsec ポリシーのエントリを追加した場合は、新しいポリシーおよび IKE ルールをカーネルに読み込む必要があります。Solaris 10 4/09 リリース以降では、新しい鍵を追加したあと policy サービスを再起動し、ike サービスを更新します。


注 –

Solaris 10 4/09 リリースより前のリリースでこの手順を実行するには、例 23–3 を参照してください。


始める前に

この手順では、次のように仮定しています。

  1. システムコンソール上で、Primary Administrator の役割を引き受けるか、スーパーユーザーになります。

    Primary Administrator 役割には、Primary Administrator プロファイルが含まれます。役割を作成してユーザーに役割を割り当てるには、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 2 章「Solaris 管理コンソールの操作 (手順)」を参照してください。


    注 –

    リモートログインすると、セキュリティー上重要なトラフィックが盗聴される恐れがあります。何らかの方法でリモートログインを保護していても、システムのセキュリティーがリモートログインセッションレベルに低下します。セキュリティー保護されたリモートログインには、ssh コマンドを使用してください。


  2. このシステムで乱数を生成し、64 から 448 ビットの鍵を作成します。

    詳細については、「Solaris System で乱数を生成するには」を参照してください。Solaris システムが ASCII 形式を必要とするオペレーティングシステムと通信する場合、事前共有鍵を生成する方法については、例 23–1 を参照してください。

  3. このキーを何らかの方法でリモートシステムの管理者に送信します。

    両者は、同じ事前共有鍵を同時に追加する必要があります。この鍵の安全性は転送機構の安全性と同じです。登録済みメールや保護済み FAX マシンなど、帯域外機構を使用することが最良です。ssh セッションを使用して両方のシステムを管理することもできます。

  4. enigmaada の鍵を管理するための IKE の規則を作成します。

    1. enigma システムで、次の規則を /etc/inet/ike/config ファイルに追加します。


      ### ike/config file on enigma, 192.168.116.16
       
      ## The rule to communicate with ada
      
      {label "enigma-to-ada"
       local_addr 192.168.116.16
       remote_addr 192.168.15.7
       p1_xform
       {auth_method preshared oakley_group 5 auth_alg sha1 encr_alg blowfish}
       p2_pfs 5
      	}
    2. ada システムで、次の規則を追加します。


      ### ike/config file on ada, 192.168.15.7
       
      ## The rule to communicate with enigma
      
      {label "ada-to-enigma"
       local_addr 192.168.15.7
       remote_addr 192.168.116.16
       p1_xform
       {auth_method preshared oakley_group 5 auth_alg sha1 encr_alg blowfish}
       p2_pfs 5
      }
  5. リブート時に IKE 事前共有鍵が利用できることを確認します。

    1. enigma システムで、次の情報を /etc/inet/secret/ike.preshared ファイルに追加します。


      # ike.preshared on enigma for the ada interface
      # 
      { localidtype IP
        localid 192.168.116.16
        remoteidtype IP
        remoteid 192.168.15.7
        # enigma and ada's shared key in hex (32 - 448 bits required)
        key 8d1fb4ee500e2bea071deb2e781cb48374411af5a9671714672bb1749ad9364d
      }
    2. ada システムで、次の情報を ike.preshared ファイルに追加します。


      # ike.preshared on ada for the enigma interface
      # 
      { localidtype IP
        localid 192.168.15.7
        remoteidtype IP
        remoteid 192.168.116.16
        # ada and enigma's shared key in hex (32 - 448 bits required)
        key 8d1fb4ee500e2bea071deb2e781cb48374411af5a9671714672bb1749ad9364d
      }
  6. 各システムで、IPsec ポリシーサービスを再起動して、追加したインタフェースをセキュリティー保護します。


    # svcadm restart policy
    
  7. 各システムで、ike サービスを更新します。


    # svcadm refresh ike
    
  8. 両システムが通信できることを確認します。

    詳細は、「事前共有鍵が同一であることを確認する方法」を参照してください。


例 23–3 新しい IPsec ポリシーエントリに IKE 事前共有鍵を追加する

次の例では、現在の Solaris リリースが稼働していない Solaris システムに管理者が事前共有鍵を追加しようとしています。管理者は前の手順に従って ike/config ファイルと ike.preshared ファイルを変更し、鍵を生成し、リモートシステムに接続します。管理者は各種のコマンドを使用して、新しい IPsec ポリシーおよび IKE ルールをカーネルに読み込みます。