Solaris のシステム管理 (IP サービス)

新しい DHCP データストアへの変換

Oracle Solaris DHCP は、DHCP 構成データをあるデータストアから別のデータストアに変換するユーティリティーを提供します。このような新しいデータストアへの変換が必要になる場合はいくつかあります。たとえば、多数の DHCP クライアントがあるために、DHCP サービスの性能や能力を高めたい場合があります。あるいは、DHCP サーバーの負荷を複数のサーバーで分担したい場合があります。データストアの各タイプの相対的な利点と欠点の比較については、「DHCP データストアの選択」を参照してください。


注 –

Solaris 8 7/01 リリースより前の Oracle Solaris リリースからアップグレードした場合は、この注をよくお読みください。

Oracle Solaris をインストールしたあとに Oracle Solaris DHCP ツールを実行すると、どのツールの場合でも、新しいデータストアへの変換を促すメッセージが表示されます。Solaris 8 7/01 リリースでファイルと NIS+ の両方でデータストアのフォーマットが変更されているので、この変換は必須です。新しいデータストアへの移行が行われないと、DHCP サーバーは引き続き古いデータストアを使用します。ただし、サーバーができることは、既存のクライアントのリースを延長することだけです。古いデータテーブルを使用していると、新しい DHCP クライアントを登録したり、DHCP 管理ツールを使用したりすることはできません。


変換ユーティリティーは、Sun 提供のデータストアを Sun 以外のデータストアに変換する際にも便利です。変換ユーティリティーは、既存のデータストアのエントリを調べて、同じデータを含む新しいエントリを新しいデータストアに追加します。データストアアクセスは、データストアごとに別個のモジュールとして実装されています。このモジュールアプローチのおかげで、変換ユーティリティーは、DHCP データを任意のデータストア形式から別のデータストア形式に変換できます。それぞれのデータストアには、DHCP サービスから使用できるモジュールが含まれていなければなりません。Sun 以外のデータストアをサポートするモジュールを作成する方法については、『Solaris DHCP サービス開発ガイド』を参照してください。

データストアの変換は、DHCP マネージャのデータストア変換ウィザードまたは dhcpconfig -C コマンドで実行できます。

次に、データストア変換ウィザードの初期ダイアログボックスを示します。

図 15–19 DHCP マネージャの「データストア変換ウィザード (Data Store Conversion Wizard)」ダイアログボックス

ダイアログボックスには、新しいデータストアへの変換に必要な手順が列挙されています。さらに、新しいデータストアオプションや、前方/後方矢印、「(Cancel)」、「ヘルプ (Help)」のボタンが表示されています。

変換を開始する前、古いデータストアのテーブル (dhcptab テーブルとネットワークテーブル) を保存するかどうかを指定する必要があります。次に、変換ユーティリティーは DHCP サーバーを停止し、データストアを変換し、変換が完了したあとに、サーバーを再起動します。古いテーブルを保存すると指定しない場合、変換が完了したあと、変換ユーティリティーは古いテーブルを削除します。変換の処理には、長い時間がかかることがあります。変換は背景で実行されますが、進捗状況を示す図が表示されます。

ProcedureDHCP データストアを変換する方法 (DHCP マネージャ)

  1. DHCP マネージャで、「サービス (Service)」メニューから「データストアの変換 (Convert Data Store)」を選択します。

    「DHCP マネージャを起動および停止する方法」を参照してください。

    データストア変換ウィザードが開きます。

  2. ウィザードの質問に答えます。

    質問に対する回答がわからない場合は、「ヘルプ (Help)」をクリックすると、各ダイアログボックスについての詳細な情報を見ることができます。

  3. 選択内容を確認し、「完了 (Finish)」をクリックしてデータストアを変換します。

    変換が完了すると、DHCP サーバーは再起動されます。サーバーは、直ちに新しいデータストアを使用します。

ProcedureDHCP データストアを変換する方法 (dhcpconfig -C)

  1. スーパーユーザーになるか、DHCP 管理プロファイルに割り当てられている役割またはユーザー名になります。

    DHCP 管理プロファイルの詳細については、「DHCP コマンドへのユーザーアクセスの設定」を参照してください。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 次の書式のコマンドを入力してデータストアを変換します。


    # /usr/sbin/dhcpconfig -C -r resource -p path
    
    resource

    新しいデータストアタイプ (SUNWbinfiles など)

    path

    データへのパス (/var/dhcpなど)

    変換後も元のデータ (古いデータストア) を保存しておきたい場合は、-k オプションを指定してください。たとえば、自分のデータストアを SUNWbinfiles に変換し、古いデータストアを保存する場合は、次のように入力します。


    # /usr/sbin/dhcpconfig -C -r SUNWbinfiles -p /var/dhcp -k

    dhcpconfig ユーティリティーについての詳細は、dhcpconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。