Solaris のシステム管理 (IP サービス)

逆方向トンネリングを使用するモバイル IP

「モバイル IP の動作」では、インターネット上の経路制御は、データパケット発信元アドレスから独立したものと想定されています。しかし、中間ルーターは、トポロジとして正しい発信元アドレスを確認します。中間ルーターが確認する場合は、モバイルノードで逆方向トンネルを設定しなければなりません。モバイルノードの気付アドレスからホームエージェントへ逆方向トンネルを設定することで、IP データパケットについてトポロジとして正しいソースアドレスを確保できます。逆方向トンネルのサポートは、外来エージェントとホームエージェントによって通知されます。モバイルノードは、登録時に外来エージェントとホームエージェントの間に逆方向トンネルを要求できます。逆方向トンネルは、モバイルノードの気付アドレスで始まり、ホームエージェントで終わるトンネルです。次の図に逆方向トンネルを使用するモバイル IP トポロジを示します。

図 27–4 逆方向トンネルを使用するモバイル IP

この図では、モバイルノードが逆方向トンネルを使用して、通信ノードと通信を行う方法を示しています。

専用アドレスの制限付きサポート

専用アドレスを持ち、インターネットを経由してグローバルに経路制御できないモバイルノードには、逆方向トンネルが必要です。Solaris モバイル IP は、専用アドレスを持つモバイルノードをサポートします。Solaris モバイル IP がサポートしない機能については、「Solaris モバイル IP 実装の概要」 を参照してください。

外部との接続が必要でない場合、ネットワークでは専用アドレスを使います。専用アドレスは、インターネットを通る経路制御ができません。専用アドレスを持つモバイルノードは、データグラムをそのホームエージェントに逆方向トンネリングを設定することによって通信ノードとだけ通信できます。通常、モバイルノードがホームにあるときにデータグラムが配信される場合でも、ホームエージェントはデータグラムを通信ノードに配信します。次の図は、専用アドレスが指定された 2 つのモバイルノードのネットワークトポロジを示します。その 2 つのモバイルノードは、同じ外来エージェントに登録されたときに同じ気付アドレスを使用します。

図 27–5 同じ外部ネットワーク上にある、専用アドレスが指定されたモバイルノード

この図では、同じ外来エージェントに登録されたときに同じ気付アドレスを使用する、2 専用アドレスが指定された 2 つのモバイルノードのネットワークトポロジを示しています。

気付アドレスとホームエージェントの IP アドレスが公衆インターネットによって接続される異なるドメインに属する場合、それらのアドレスはグローバルに経路制御できるアドレスでなければなりません。

同じ外部ネットワーク上に、同じ IP アドレスを持つ、専用アドレスが指定された 2 つのモバイルノードを持つことは可能です。ただし、各モバイルノードが異なるホームエージェントを持っていなければなりません。さらに、各モバイルノードが共通の 1 つの外来エージェントの異なる通知サブネット上になければなりません。次の図は、このような状況を表わすネットワークトポロジを示しています。

図 27–6 異なる外部ネットワーク上にある、専用アドレスが指定されたモバイルノード

この図では、異なる外部ネットワークにある、専用アドレスが指定された 2 つのモバイルノードのネットワークトポロジを示しています。