Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

第 3 章 システムの時刻関連サービス

多くのデータベースと認証サービスでは、ネットワーク内でシステムクロックを同期させる必要があります。この章の内容は次のとおりです。

時刻の同期 (概要)

Solaris 2.6 以降、Solaris ソフトウェアには Delaware 大学の NTP (Network Time Protocol) 公開ドメインソフトウェアが添付されています。xntpd デーモンは、UNIX システムの時刻をインターネット標準時刻サーバーの時刻と合うように調整し、保守します。xntpd デーモンは、RFC 1305 に規定されている NTP version 3 標準に完全に準拠して実装されています。

xntpd デーモンは、システムの起動時に /etc/inet/ntp.conf ファイルを読み込みます。構成オプションの詳細は、xntpd(1M) のマニュアルページを参照してください。

ネットワーク内で NTP を使用するときには、次のことを考慮してください。

cron を使用して rdate コマンドを実行することにより、時刻の同期を取ることもできます。

NTP の管理 (作業)

NTP サービスを設定および使用するための手順を示します。

ProcedureNTP サーバーを設定する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ntp.conf ファイルを作成します。

    xntpd デーモンを正しく実行するには、最初に ntp.conf ファイルを作成する必要があります。ntp.server ファイルをテンプレートとして使用できます。


    # cd /etc/inet
    # cp ntp.server ntp.conf
    
  3. xntpd デーモンを起動します。


    # svcadm enable network/ntp
    

ProcedureNTP クライアントを設定する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ntp.conf ファイルを作成します。

    xntpd デーモンを有効にするには、最初に ntp.conf ファイルを作成する必要があります。


    # cd /etc/inet
    # cp ntp.client ntp.conf
    
  3. xntpd デーモンを起動します。


    # svcadm enable network/ntp
    

他の時刻関連コマンドの使用 (作業)

次の手順を使用すると、NTP を設定しなくても、必要に応じて現在の時刻を更新できます。

Procedure他のシステムの日時と同期させる方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. rdate コマンドを使用して、日付と時刻を設定し直し、他のシステムとの同期を取ります。


    # rdate another-system
    
    another-system

    ほかのシステムの名前

  3. date コマンドを使用して、システムの日時が正しく設定し直されていることを確認してください。

    出力は、指定したシステムと同じ日付と時刻を示します。


例 3–1 他のシステムの日時と同期させる方法

次の例は、rdate を使用してシステムの日時を別のシステムの日時と同期させる方法を示します。次の例は、数時間遅れていたシステム earth の日付と時刻をサーバー starbug の日付と時刻に一致させます。


earth# date
Tue Jun  5 11:08:27 MDT 2001
earth# rdate starbug
Tue Jun  5 14:06:37 2001
earth# date
Tue Jun  5 14:06:40 MDT 2001

NTP (リファレンス)

NTP サービスを実行するには、次のファイルが必要です。

表 3–1 NTP ファイル

ファイル名 

機能 

/etc/inet/ntp.conf

NTP 用のすべての構成オプションが記述されているファイル。 

/etc/inet/ntp.client

NTP クライアント用のサンプル構成ファイル。 

/etc/inet/ntp.server

NTP サーバー用のサンプル構成ファイル。 

/etc/inet/ntp.keys

NTP 認証キーを含むファイル。 

/usr/lib/inet/xntpd

NTP デーモン。詳細は、xntpd(1M) のマニュアルページを参照してください。

/usr/sbin/ntpdate

NTP に基づいてローカルな日付と時刻を設定するユーティリティー。詳細は、ntpdate(1M) のマニュアルページを参照してください。

/usr/sbin/ntpq

NTP 照会プログラム。詳細は、ntpq(1M) のマニュアルページを参照してください。

/usr/sbin/ntptrace

マスターの NTP サーバーまで NTP ホストを追跡するプログラム。詳細は、ntptrace(1M) のマニュアルページを参照してください。

/usr/sbin/xntpdc

xntpd デーモン用の NTP 照会プログラム。詳細は、xntpdc(1M) のマニュアルページを参照してください。

/var/ntp/ntpstats

NTP の統計情報を保持するディレクトリ。 

/var/ntp/ntp.drift

NTP サーバー上で初期周波数オフセットを設定するファイル。