Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

SLP のアーキテクチャー

この節では、SLP の基本的な処理を示し、SLP の管理で使用されるエージェントとプロセスについて説明します。

SLP は、次のサービスを自動的に行い、設定はほとんどあるいはまったく必要ありません。

また、SLP の動作を管理、調整するために、必要に応じて次のことを実行できます。

SLP 設計の概要

SLP ライブラリは、サービスをネットワークで検出するための情報を、サービスを通知するネットワーク対応のエージェントに与えます。SLP エージェントは、サービスの種類と場所に関する最新情報を保持します。これらのエージェントはプロキシ登録を使用することで、SLP が直接使用できないサービスを通知することもできます。詳細は、第 10 章レガシーサービスの組み込みを参照してください。

クライアントアプリケーションは、SLP ライブラリに依頼して、サービスを通知するエージェントに直接要求を出してもらいます。

SLP エージェントとプロセス

次の表では、SLP エージェントについて説明します。ここで使用する用語の詳細な定義は、用語集を参照してください。

表 7–1 SLP エージェント

SLP エージェント 

説明 

 

ディレクトリエージェント (DA) 

サービスエージェント (SA) が登録する SLP 通知をキャッシュするプロセス。DA は、要求に応じて、サービス通知をユーザーエージェント (UA) に転送します。 

 

サービスエージェント (SA) 

サービス通知を配信するためやサービスをディレクトリエージェント (DA) に登録するために、サービスの代理として動作する SLP エージェント。 

 

ユーザーエージェント (UA) 

サービス通知情報を取得するために、ユーザーやアプリケーションの代理として動作する SLP エージェント。 

 

スコープ 

サービスに対する管理上または論理上のグループ。 

 

次の図は、SLP アーキテクチャーを実装する、基本的なエージェントおよびプロセスを示しています。図は、SLP のデフォルトの配置を表しています。特別な構成はまったく行われていません。UA と SA の 2 つのエージェントだけが 必要です。SLP フレームワークでは、UA がサービス要求を SA にマルチキャストすることを許可しています。SA は、UA に対して応答をユニキャストします。たとえば、UA がサービス要求メッセージを送信すると、SA はサービス応答メッセージを返します。サービス応答には、クライアントの要求と一致するサービスの場所が含まれています。属性やサービスタイプに関する要求や応答も可能です。詳細は、第 11 章SLP (リファレンス)を参照してください。

図 7–1 SLP の基本的なエージェントとプロセス

図については本文で説明します。

次の図は、フレームワークに DA が配置された場合の、SLP アーキテクチャーを実装する基本的なエージェントとプロセスを示しています。

図 7–2 DA を使って実装される SLP アーキテクチャーのエージェントとプロセス

図については本文で説明します。

DA を配置すると、ネットワークにはより少ないメッセージが送られるので、UA は情報をすばやく受け取ることができます。DA は、ネットワークのサイズが増大する場合やマルチキャストルーティングがサポートされていない場合に必要です。DA は登録されたサービス通知のキャッシュの役割を果たします。SA は DA に対して、通知するすべてのサービスを一覧表示した登録メッセージ (SrvReg) を送り、その応答として確認応答 (SrvAck) を受け取ります。サービス通知は DA によって更新されるか、通知に設定された有効期限に従って期限切れになります。UA が DA を検出すると、UA は要求を SA にマルチキャストするのではなく、DA にユニキャストします。

Solaris SLP メッセージの詳細は、第 11 章SLP (リファレンス)を参照してください。