Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

PAP 認証による構成例

「PAP 認証の設定」での作業は、PPP リンク上で PAP 認証を設定する方法を示しています。手順では、「ダイアルアップ PPP の構成例」で紹介した架空の Big Company 社の PAP 事例を使用します。

Big Company 社では、自社のユーザーが自宅で仕事できるようにしたいと考えています。システム管理者は、ダイアルインサーバーに接続するシリアル回線にセキュリティー対策をしたいと考えています。NIS パスワードデータベースを使用する UNIX スタイルのログインは、これまで Big Company 社のネットワークで問題なく機能を果たしてきました。システム管理者は、PPP リンクを介してネットワークに進入してくる呼び出しに UNIX スタイルの認証機構を設定したいと考えています。その結果、システム管理者は PAP 認証を使用する次のシナリオを実装します。

図 16–3 PAP 認証のシナリオ (自宅で仕事する) の例

この図は、PAP 認証のシナリオ例を示しています。このリンクについては次で詳しく説明します。

システム管理者は専用のダイアルイン DMZ を作成します。これは、ルーターによって会社のネットワークの後方部と分離されています。DMZ という用語は、軍事用語の「非武装地帯」に由来しています。DMZ はセキュリティー目的のために分離されたネットワークです。通常、DMZ には、Web サーバー、匿名 (anonymous) ftp サーバー、データベース、モデムサーバーなど、会社が一般に公開する資源が含まれています。ネットワーク設計者は通常、DMZ をファイアウォールと会社のインターネット接続の中間に設置します。

図 16–3 に示すように、DMZ に存在するのは、ダイアルインサーバーの myserver とルーターだけです。ダイアルインサーバーはリンクの設定時に、呼び出し側に PAP 資格 (ユーザー名とパスワードを含む) の提出を要求します。さらに、ダイアルインサーバーは PAP の login オプションも使用します。したがって、呼び出し側の PAP のユーザー名とパスワードは、ダイアルインサーバーのパスワードデータベースにある UNIX のユーザー名とパスワードに正確に一致する必要があります。

PPP リンクが設定されたら、呼び出し側のパケットはルーターに転送されます。ルーターはパケットを会社のネットワーク上かインターネット上の宛先に転送します。