ここでは、次の項目について sendmail の Solaris 版と一般的な Berkeley バージョンを比較します。
Solaris 10 以降のリリースで sendmail のコンパイルに使用されるフラグは、次のとおりです。構成にほかのフラグが必要な場合は、そのソースをダウンロードし、バイナリにコンパイルし直してください。このプロセスについては、http://www.sendmail.org を参照してください。
表 14–1 一般的な sendmail フラグ
フラグ |
説明 |
---|---|
SOLARIS=21000 |
Solaris 10 のサポート。 |
MILTER |
メールフィルタ API のサポート。sendmail の version 8.13 では、このフラグはデフォルトで有効になっています。「MILTER (sendmail のメールフィルタ API)」を参照してください。 |
NETINET6 |
IPv6 のサポート。このフラグは、conf.h から Makefile に移動されました。 |
表 14–2 マップとデータベースの種類
フラグ |
説明 |
---|---|
NDBM |
ndbm データベースのサポート |
NEWDB |
Berkeley DB データベースのサポート |
USERDB |
ユーザーデータベースのサポート |
NIS |
nis データベースのサポート |
NISPLUS |
nisplus データベースのサポート |
LDAPMAP |
LDAP のマップのサポート |
MAP_REGEX |
正規表現のマップのサポート |
表 14–3 Solaris のフラグ
フラグ |
説明 |
---|---|
SUN_EXTENSIONS |
sun_compat.o に含まれる Sun の拡張をサポートします。 |
SUN_INIT_DOMAIN |
下位互換性を確保するために、NIS ドメイン名をサポートしてローカルホスト名を完全指定します。詳細は、http://www.sendmail.org のベンダー固有の情報を参照してください。 |
SUN_SIMPLIFIED_LDAP |
Sun 固有の簡略化された LDAP API をサポートします。詳細は、http://www.sendmail.org のベンダー固有の情報を参照してください。 |
VENDOR_DEFAULT=VENDOR_SUN |
Sun をデフォルトのベンダーに選択します。 |
次の表に、Solaris 10 に添付されるバージョンの sendmail のコンパイルに使用されない一般的なフラグを示します。
表 14–4 sendmail の Solaris 版に使用されない一般的なフラグ
フラグ |
説明 |
---|---|
SASL |
Simple Authentication and Security Layer (RFC 2554) |
STARTTLS |
Transaction Level Security (RFC 2487) |
sendmail のコンパイルに使用するフラグのリストを参照するには、次のコマンドを使用します。
% /usr/lib/sendmail -bt -d0.10 < /dev/null |
上記のコマンドでは、Sun 固有のフラグは表示されません。
MILTER (sendmail のメールフィルタ API ) によって、サードパーティー製のプログラムが、メタ情報と本文にフィルタをかけるために処理されるときに、メールメッセージにアクセスできるようになります。フィルタを作成する必要や、作成したフィルタを使用するように sendmailを構成する必要はありません。この API は、sendmail の version 8.13 ではデフォルトで有効になっています。
詳細は、次を参照してください。
Solaris リリースには、sendmail.org による汎用リリースで提供されているコマンドの同義語がすべて組み込まれているわけではありません。次の表は、すべてのコマンドの別名を示したリストです。この表には、コマンドが Solaris リリースに組み込まれているかどうか、および sendmail を使って同じ動作を生成する方法も示しています。
表 14–5 代替 sendmail コマンド
代替名 |
Solaris への組み込み |
sendmail を使用したオプション |
---|---|---|
hoststat |
いいえ |
sendmail -bh |
mailq |
はい |
sendmail -bp |
newaliases |
はい |
sendmail -bi |
purgestat |
いいえ |
sendmail -bH |
smtpd |
いいえ |
sendmail -bd |
Solaris 10 以降のリリースに含まれている sendmail のバージョンには、sendmail.cf ファイルのバージョンを定義するための構成オプションが含まれます。現在のバージョンの sendmail でも以前のバージョンの構成ファイルを使用できます。バージョンレベルには 0 から 10 の値を設定できます。また、ベンダーの定義もできます。Berkeley または Sun をベンダーとして選択できます。ベンダーを定義しないでバージョンレベルだけを設定した場合は、Sun がデフォルトとして使用されます。次の表に有効なオプションを示します。
表 14–6 構成ファイルのバージョン値
フィールド |
説明 |
---|---|
V7/Sun |
sendmail の version 8.8 で使用された設定。 |
V8/Sun |
sendmail の version 8.9 で使用された設定。この設定は、Solaris 8 に含まれていました。 |
V9/Sun |
sendmail の version 8.10 と 8.11 で使用された設定。 |
V10/Sun |
sendmail の version 8.12 と 8.13 で使用される設定。version 8.12 は、Solaris 9 のデフォルトです。Solaris 10 以降のリリースでは、version 8.13 がデフォルトです。 |
V1/Sun は使用しないでください。詳細は、http://www.sendmail.org/vendor/sun/differences.html#4 を参照してください。
作業手順については、第 13 章メールサービス (手順)の 「sendmail 構成を変更する」を参照してください。