Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

sendmail とその再ルーティングメカニズム

sendmail プログラムでは、メールルーティングに必要な 3 つのメカニズムをサポートしています。適切なメカニズムは、変更の種類によって決まります。

さらに、選択する再ルーティングメカニズムによって必要な管理レベルが異なります。次のオプションを考慮してください。

  1. 再ルーティングメカニズムの 1 つは「別名」です。

    別名を使用すれば、使用するファイルの種類に基づいて、サーバー全体またはネームサービス全体をベースにしてアドレス名をマップできます。

    次に、ネームサービスの別名の長所と短所を示します。

    • ネームサービス別名ファイルを使用すれば、メール再ルーティングの変更を単一のソースで管理できます。ただし、ネームサービスの別名指定では、再ルーティングの変更を伝達する際に遅延が起こります。

    • 通常、ネームサービスの管理は、特定のシステム管理者グループに制限されます。一般ユーザーは、このファイルを管理しません。

    次に、サーバー別名ファイルを使用する際の長所と短所を示します。

    • サーバー別名ファイルを使用すれば、指定されたサーバーの root になることができる任意のユーザーが再ルーティングを管理できます。

    • サーバー別名指定は、再ルーティングの変更を伝達する際の遅延はほとんどありません。

    • 変更はローカルサーバーだけに影響します。ほとんどのメールが単一のサーバーに送信される場合は、影響が少なくなります。ただし、この変更を多くのメールサーバーに伝達する必要がある場合は、ネームサービスの別名指定を使用します。

    • 一般ユーザーは、この変更を管理しません。

    詳細は、この章の 「メール別名ファイル」を参照してください。作業マップについては、第 13 章メールサービス (手順)「メール別名ファイルの管理 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 次のメカニズムは、「転送」です。

    このメカニズムでは、ユーザーがメールの再ルーティングを管理できます。ローカルユーザーは、受信メールを次の対象に再ルーティングできます。

    • 別のメールボックス

    • 別のメールプログラム

    • 別のメールホスト

    このメカニズムは、.forward ファイルによってサポートされます。.forward ファイルの詳細は、この章の .forward ファイル」を参照してください。作業マップについては、.forward ファイルの管理 (作業マップ)」第 13 章メールサービス (手順)を参照してください。

  3. 最後のメカニズムは、「取り込み」です。

    このメカニズムでは、root アクセス権を持たないユーザーも別名リストを保守できます。このメカニズムを提供するには、root ユーザーは、サーバー上の別名ファイル内に適切なエントリを作成する必要があります。このエントリが作成されると、ユーザーは必要に応じてメールをルーティングし直すことができるようになります。取り込みの詳細は、この章の /etc/mail/aliases ファイル」を参照してください。作業マップについては、第 13 章メールサービス (手順)「メール別名ファイルの管理 (作業マップ)」を参照してください。


    注 –

    /usr/bin/mailx のようなメールを読み取るプログラムは、プログラム自身の別名を持つことができ、それらはメッセージが sendmail に達する前に展開されます。sendmail の別名は、ローカルファイル、NIS、NIS+ など、さまざまなネームサービスソースからのものでもかまいません。検索順序は nsswitch.conf ファイルによって決定されます。nsswitch.conf(4) のマニュアルページを参照してください。