Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)

NFS version 4 におけるファイルシステムの名前空間

NFS version 4 サーバーは、擬似ファイルシステムを作成し管理します。擬似ファイルシステムにより、クライアントは、サーバー上のエクスポートされた全ファイルにシームレスにアクセスできます。NFS version 4 より前のバージョンには、擬似ファイルシステムがありません。クライアントは、アクセスする各共有サーバーのファイルシステムに強制的にマウントされます。次のような例を考えます。

図 6–2 サーバーのファイルシステムとクライアントのファイルシステムの表示

図については本文で説明します。

クライアントには payroll ディレクトリと nfs4x ディレクトリは表示されません。これらのディレクトリはエクスポートされておらず、エクスポートされたディレクトリには通じていないためです。ただし、local ディレクトリは、エクスポートされたディレクトリであるため、クライアントに表示されます。projects ディレクトリは、エクスポートされたディレクトリ nfs4 に通じているため、クライアントに表示されます。このように、明示的にエクスポートされていないサーバーの名前空間の部分は、擬似ファイルシステムで橋渡しされます。この擬似ファイルシステムは、エクスポートされたディレクトリ、およびサーバーのエクスポートに通じるディレクトリだけを表示します。

擬似ファイルシステムは、ディレクトリだけを含む構造で、サーバーによって作成されます。擬似ファイルシステムにより、クライアントはエクスポートされたファイルシステムの階層を検索できるようになります。このようにして、クライアントの擬似ファイルシステムの表示は、エクスポートされたファイルシステムに通じるパスに限定されます。

以前のバージョンの NFS では、クライアントは、サーバーのファイルシステムを検索するには、各ファイルシステムをマウントする必要がありました。しかし、NFS version 4 では、サーバーの名前空間が次のことを行います。

POSIX に関連する理由により、Solaris NFS version 4 クライアントは、サーバーのファイルシステムの境界を越えません。境界を越えようとすると、クライアントはディレクトリを空のように見せます。この状況に対処するには、サーバーのファイルシステムごとにマウントを行う必要があります。