Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : NIS+ 編)

NIS+ クライアントを設定する方法

  1. ドメインのマスターサーバーにログインする

    スーパーユーザーとして、または自分自身のユーザー名でログインします。どちらでログインするかは、どちらの NIS+ 主体がドメインの cred テーブルに資格を追加するための適切なアクセス権を所有しているのかに依存します。

  2. 新しいクライアントマシン用の DES 資格を作成します。

    nisaddcred コマンドを引数 -p-P を付けて実行します。構文は、次のとおりです。


    nisaddcred -p secure-RPC-netname principal-name des [domain]

    secure-RPC-netname は、接頭辞 unix に、クライアントのホスト名、@ 記号、およびクライアントのドメイン名を付けて構成しますが、最後にドットは付けません。principal-name は、クライアントのホスト名とドメイン名によって構成され、最後にドットを付けます。このクライアントの所属するドメインが、コマンドを入力したサーバーとは異なる場合、2 番目の引数の後にクライアントのドメイン名を追加します。

    この例では、doc.com. ドメイン内の client1 という名前のクライアントマシンに対する DES 資格を追加します。


    rootmaster% nisaddcred -p unix.client1@doc.com -P client1.doc.com. des
    Adding key pair for unix.client1@doc.com (client1.doc.com.).
    Enter client1.doc.com.'s root login passwd:
    Retype password:

    nisaddcred コマンドの詳細については、第 12 章「NIS+ 資格の管理」を参照してください。

  3. マスターサーバーで使用される Diffie-Hellman キー長を確認します。

    たとえば、以下のようになります。


    rootmaster% nisauthconf dh640-0 des
    
  4. クライアントにスーパーユーザーとしてログインします。

    これでクライアントマシンに資格ができたため、ユーザーはマスターサーバーからログアウトし、クライアント自体から作業を開始できます。この作業はローカルでもリモートでも可能です。

  5. クライアントに新しいドメイン名を設定します。

    クライアントのドメイン名を設定する (変更する) 方法については、「マシンのドメイン名を変更する」を参照し、次の手順 6 に戻ります。

  6. クライアントの nsswitch.conf ファイルをチェックします。

    クライアントが NIS+ バージョンの nsswitch.conf ファイルを使用していることを確認します。これによって、クライアント情報の 1 次ソースが NIS+ テーブルということが確認できます。NIS+ スイッチファイルの詳細については、例 1–1 を参照してください。

  7. nsswitch.conf ファイルに少しでも変更を加えた場合 (または新規にファイルにコピーした場合)、ここで nscd を再起動する必要があります。


    client1# svcadm restart /system/name-service-cache
    

    キーサーバーをこの時点で停止および再起動する必要はありません。手順 12 で行います。

  8. 手順 3 の情報を使用して、Diffie-Hellman キー長を設定します。

    たとえば、次のようにします。


    client# nisauthconf dh640-0 des
    
  9. NIS+ サービスを停止します。


    client1# svcadm disable network/rpc/nisplus:default
    client1# svcs \*nisplus\*
    disabled   Jan_12   svc:/network/rpc/nisplus:default
  10. NIS+ のファイルを削除しプロセスを終了します。

    現在作業しているマシンが、以前は NIS+ のサーバーまたはクライアントとして使用したものである場合、/var/nis 内にファイルがあればすべて削除します。この例では、/var/nis 内にコールドスタートファイルとディレクトリキャッシュファイルがまだ存在します。


    client1# ls /var/nis
    NIS_COLD_START NIS_SHARED_CACHE
    client1# rm -rf /var/nis/*
    

    /var/nis 内に残されたファイル、またはキャッシュマネージャによって保存されたディレクトリオブジェクトは、この手順によって完全に消去されます。したがって、この構成プロセスで生成された新しい情報と重複することはありません。/var/nis 内に管理スクリプトを 1 つでも格納していた場合、ルートドメインの設定が終わるまでは、それらを一時的にほかのどこかに格納しておくことをお勧めします。

  11. クライアントを初期設定します。

    クライアントを初期設定するには、次の 3 つの方法があります。ホスト名、コールドスタートファイル、ブロードキャストによる方法です。3 つの方法のうち、いずれかを選択して実行します。クライアントの初期設定が終了したら、手順 12 に進みます。

  12. /etc/.rootkey ファイルを削除し、keyserv デーモンを再起動します。

    この手順では、非公開鍵をキーサーバー上に格納します。


    client1# cp /etc/nsswitch.nisplus /etc/nsswitch.conf
    client1# svcs \*keyserv\*
    online     Jan_12   svc:/network/rpc/keyserv:default
    client1# svcadm disable network/rpc/keyserv
    client1# rm -f /etc/.rootkey
    client1# svcadm enable network/rpc/keyserv