スワップ空間のサイズを決定する上でもっとも重要な要素は、システムのソフトウェアアプリケーションの要件です。たとえば、コンピュータ支援設計シミュレータ、データベース管理製品、トランザクションモニター、地質分析システムなどの大型アプリケーションは、200 - 1000M バイトのスワップ空間を消費することがあります。
アプリケーションのスワップ空間の要件については、アプリケーションベンダーに問い合わせてください。
アプリケーションベンダーに問い合わせてもスワップ空間の要件を判断できない場合は、次のシステムタイプ別のガイドラインに従ってスワップ空間を割り当ててください。
システムタイプ |
スワップ空間のサイズ |
専用ダンプデバイスのサイズ |
---|---|---|
約 4G バイトの物理メモリーを備えたシステム |
1G バイト |
1G バイト |
約 8G バイトの物理メモリーを備えた中型のサーバー |
2G バイト |
2G バイト |
約 16 - 128G バイトの物理メモリーを備えたハイエンドサーバー |
4G バイト |
4G バイト |
128G バイトを超える物理メモリーを備えたハイエンドサーバー |
物理メモリーサイズの 1/4 |
物理メモリーサイズの 1/4 |
クラッシュダンプの内容は圧縮されるため、ダンプデバイスを物理メモリーと同じサイズにする必要はありません。デフォルトでは、ダンプ内容の値はカーネルページに設定されます。ただし、すべてのメモリーページをダンプするようにダンプ内容の値が設定されている場合は、ダンプサイズを物理メモリーの半分以上に増やすことを検討してください。
上記の一般的なガイドラインのほかに、次の場合に UFS ベースのシステムにスワップ空間やディスク領域を割り当てることを検討してください。
専用ダンプデバイス。
/var/crash ディレクトリ。デフォルトのシステムクラッシュダンプの内容は、カーネルメモリーページのみであり、ダンプは圧縮後に書き込まれます。複数のシステムクラッシュダンプを保持するのでない限り、このディレクトリのサイズをダンプデバイスのサイズに設定することを検討してください。
大型アプリケーション (コンパイラなど) が /tmp ディレクトリを使用するかどうかを決定します。次に、TMPFS によって使用される追加のスワップ空間を割り当てます。TMPFS については、「スワップ空間と TMPFS ファイルシステム」を参照してください。
ZFS ルートファイルシステムの初期インストール、または UFS ファイルシステムから ZFS ルートファイルシステムへの Solaris Live Upgrade の実行時に、スワップ領域が ZFS ルートプール内の ZFS ボリュームに、通常は 512M バイトから 2G バイトの範囲で自動的に作成されます。Solaris Live Upgrade を使用して UFS から ZFS に移行する場合は、既存のスワップ領域のサイズに基づいてスワップボリュームが作成されます。
ZFS ルートプールでは、スワップデバイスが固定サイズのスライスに事前に割り当てられることはないため、あとでスワップサイズを変更するのは非常に簡単です。
アプリケーションのスワップ要件を評価してから、初期インストール時またはインストール後に必要に応じて、デフォルトのスワップサイズを使用することも、スワップボリュームのサイズを調整することもできます。
初期インストール時のデフォルトのダンプボリュームサイズは、dumpadm の情報と物理メモリーのサイズに基づいて、カーネルにより計算されます。Live Upgrade を実行して UFS ルートファイルシステムから ZFS ルートファイルシステムに移行する際、デフォルトのダンプボリュームサイズが ZFS BE の物理メモリーの半分のサイズ (512M バイトから 2G バイト) に設定されます。
ZFS 環境では、ファイルシステムはプールの領域を消費するため、/var/crash ディレクトリは、保存するクラッシュダンプの数に応じて必要な容量を消費します。