就業日には毎日多数のファイルが作成、変更、または削除されます。ファイルが変更されるたびに、オペレーティングシステムは一連のファイルシステムの更新処理を実行します。これらの更新処理がディスクに確実に書き込まれると、ファイルシステムの整合性が保たれます。
ユーザープログラムが書き込みなどの、ファイルシステムを変更する処理を実行すると、書き込まれるデータはまずカーネルのインコアバッファーにコピーされます。一般に、ディスクの更新は非同期に処理されます。このため、ユーザープロセスは、書き込みシステムコールが値を返したあとすぐに処理を続けることができますが、実際のデータの書き込みは、ずいぶんあとに実行されることもあります。したがって、ディスク上にあるファイルシステムは、インコア情報で表されるファイルシステムの状態から常に遅延することになります。
別の目的にバッファーが必要になったり、カーネルが fsflush デーモンを自動的に (30 秒間隔で) 実行すると、インコア情報を反映するようにディスク情報が更新されます。システムがインコア情報を書き込まずに停止すると、ディスク上のファイルシステムの整合性がなくなります。
ファイルシステムの整合性は、さまざまな原因で失われることがあります。もっとも一般的な原因は、オペレータのエラーとハードウェア障害です。
システムを正しくシャットダウンしなかったり、マウントされているファイルシステムが正しくオフラインにされないと、「クリーンでない停止」が原因で問題が発生することがあります。クリーンでないシャットダウンを防ぐには、システムをシャットダウンしたり、ディスクをドライブから物理的に取り出したり、ディスクをオフライン状態にしたりする前に、ファイルシステムの現在の状態をディスクに書き込まなければなりません。つまり、「同期」させなければなりません。
このほか、ハードウェアの欠陥や、ディスクまたはコントローラのファームウェアの問題が原因で整合性が失われることもあります。ディスクドライブ上ではいつでもブロックが損傷を受ける可能性があります。あるいは、ディスクコントローラが正常に機能しなくなることもあります。