この章では、ufsdump コマンドを使用したファイルシステムのバックアップ手順について説明します。
手順の詳細は、「UFS ファイルとファイルシステムのバックアップ (作業マップ)」.を参照してください。
バックアップの実行方法の概要については、第 23 章UFS ファイルシステムのバックアップと復元 (概要)を参照してください。
個々のファイルをフロッピーディスクにバックアップする方法については、第 28 章UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)を参照してください。
ufsdump コマンドの追加情報については、第 27 章UFS バックアップおよび復元コマンド (参照情報)を参照してください。
作業 |
説明 |
参照先 |
---|---|---|
1. ファイルシステムのバックアップの準備をします。 |
バックアップで使用するファイルシステム、バックアップタイプ、テープデバイスを確認します。 | |
2. ファイルシステムのバックアップに必要なテープの数を決定します。 |
ファイルシステムの完全バックアップに必要なテープの数を決定します。 | |
3. ファイルシステムのバックアップを実行します。 |
ファイルシステムの完全バックアップを実行して、全ファイルの基準コピーを取得します。 日単位で変更されたファイルのコピーを保持することが、サイトで重要かどうかに基づいて、ファイルシステムの増分バックアップを実行します。 |
ファイルシステムのバックアップの準備は、計画 (第 23 章UFS ファイルシステムのバックアップと復元 (概要)を参照) から始め、さらに、次の項目を選択します。
バックアップを作成するファイルシステム
実行するバックアップのタイプ (完全または増分)
バックアップのスケジュール
テープドライブ
詳細は、第 23 章UFS ファイルシステムのバックアップと復元 (概要)を参照してください。
この節では、ファイルシステムのバックアップを作成する前に実行する必要のある、次の 2 つの作業について説明します。
バックアップを作成するファイルシステムの名前を検索する
完全バックアップの作成に必要なテープの本数を決定する
/etc/vfstab ファイルの内容を表示します。
$ more /etc/vfstab |
mount point 列に表示されるファイルシステム名を調べます。
ファイルシステムのバックアップを作成する際、mount point 列に表示されたディレクトリ名を使用します。
この例では、バックアップ対象のファイルシステムはルート (/)、/usr、および /export/home です。
# more /etc/vfstab #device device mount FS fsck mount mount #to mount to fsck point type pass at boot options # fd - /dev/fd fd - no - /proc - /proc proc - no - /dev/dsk/c0t0d0s1 - - swap - no - /dev/dsk/c0t0d0s0 /dev/rdsk/c0t0d0s0 / ufs 1 no - /dev/dsk/c0t0d0s6 /dev/rdsk/c0t0d0s6 /usr ufs 1 no - /dev/dsk/c0t0d0s7 /dev/rdsk/c0t0d0s7 /export/home ufs 2 yes - /devices - /devices devfs - no - sharefs - /etc/dfs/sharetab sharefs - no - ctfs - /system/contract ctfs - no - objfs - /system/object objfs - no - swap - /tmp tmpfs - yes - |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
バックアップのサイズをバイト単位で予測します。
# ufsdump [0]S file-system |
ファイルシステムの 1 回目のバックアップ時には、S オプションを使用して、バックアップに必要な予想バイト数を表示します。
ファイルシステムの 2 回目以降のバックアップ時には、0S オプションを使用して、バックアップに必要な予想バイト数を表示します。
予測サイズをテープの容量で割り、必要なテープの数を決定します。
テープの容量の一覧は、表 23–5 を参照してください。
次の例では、150M バイトのテープにファイルシステムが入ります。
# ufsdump S /export/home 178176 |
バックアップを実行する際の一般的なガイドラインは次のとおりです。
シングルユーザーモードを使用するか、ファイルシステムをマウント解除します (ファイルシステムのスナップショットを作成している場合を除く)。UFS スナップショットの詳細は、第 25 章UFS スナップショットの使用 (手順)を参照してください。
ディレクトリレベルの処理 (ファイルの作成、削除、名前変更など) とファイルレベルの処理が同時に行われているときにファイルシステムのバックアップを実行すると、バックアップに組み込まれないデータがあるので注意してください。
単一のシステムで ufsdump コマンドを実行し、リモートシェルまたはリモートログインを通じてネットワーク上のシステムグループのバックアップをリモート実行できます。また、出力をテープデバイスがあるシステムに転送できます。通常、テープデバイスは ufsdump コマンドを実行するシステム上にありますが、ほかの場所にあってもかまいません。
ファイルのバックアップをリモートデバイスに作成するには、ufsdump コマンドの出力を dd コマンドにパイプする方法もあります。dd コマンドの使用方法については、第 28 章UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)を参照してください。
ネットワーク上でリモートバックアップを実行する場合、テープデバイスを持つシステムの /.rhosts ファイル中には、デバイスを使用する各クライアントのエントリが入っている必要があります。また、バックアップを実行する各システムの /.rhosts ファイルには、バックアップを開始するシステムのエントリが入っている必要があります。
ufsdump コマンドを使用してファイルシステムのバックアップを作成する一般的な手順を示します。この例では、オプションと引数の使用方法を示しています。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
システムをレベル S (シングルユーザーモード) に移行します。
次に例を示します。
# shutdown -g30 -y |
(省略可能) ファイルシステムの整合性を検査します。
次に例を示します。
# fsck -m /dev/rdsk/c0t0d0s7 |
fsck -m コマンドを実行すると、ファイルシステムの整合性が検査されます。たとえば、電源障害が発生すると、ファイルが不整合になることがあります。fsck コマンドの詳細は、第 21 章UFS ファイルシステムの整合性検査 (手順)を参照してください。
ファイルシステムをリモートテープドライブにバックアップする場合は、次の手順を実行します。
テープドライブのデバイス名を確認します。
デフォルトのテープドライブは、/dev/rmt/0 です。
書き込み可能なテープをテープドライブに挿入します。
システムのバックアップを実行します。
# ufsdump options arguments filenames |
ファイルシステムやディレクトリ、またはファイルシステム内のファイルをバックアップできます。ファイルを個別にバックアップする方法については、tar(1) または cpio(1) のマニュアルページを参照してください。
次の例では、もっとも一般的な ufsdump オプションおよび引数の使用方法を示します。
その他の ufsdump オプションおよび引数については、第 27 章UFS バックアップおよび復元コマンド (参照情報)を参照してください。
プロンプトが表示されたら、テープを取り出して、次のテープを挿入します。
各テープにボリューム番号、ダンプレベル、日付、システム名、ディスクスライス、ファイルシステム名を記入したラベルを貼ります。
Control + D キーを押してシステムをレベル 3 の動作に戻します。
バックアップが正常に実行されたことを確認します。
# ufsrestore tf device-name |
次の例では、ルート (/) ファイルシステムの完全バックアップを実行する方法を示します。この例では、バックアップの実行前にシステムをシングルユーザーモードにしています。次の ufsdump オプションが含まれます。
0 は、レベル 0 のダンプ (完全バックアップ) であることを示します。
u は、このバックアップの実行日に /etc/dumpdates ファイルが更新されることを示します。
c は、カートリッジテープデバイスを示します。
f /dev/rmt/0 は、テープデバイスを示します。
/ はバックアップするファイルシステムを示します。
次に例を示します。
# init 0 ok boot -s . . . # ufsdump 0ucf /dev/rmt/0 / DUMP: Date of this level 0 dump: Mon Jul 12 10:00:50 2010 DUMP: Date of last level 0 dump: the epoch DUMP: Dumping /dev/rdsk/c0t0d0s0 (starbug:/) to /dev/rmt/0. DUMP: Mapping (Pass I) [regular files] DUMP: Mapping (Pass II) [directories] DUMP: Writing 63 Kilobyte records DUMP: Estimated 1843276 blocks (900.04MB). DUMP: Dumping (Pass III) [directories] DUMP: Dumping (Pass IV) [regular files] DUMP: 1843252 blocks (900.03MB) on 1 volume at 6602 KB/sec DUMP: DUMP IS DONE DUMP: Level 0 dump on Mon Jul 12 10:22:50 MDT 2010 # ufsrestore tf /dev/rmt/0 2 . 3 ./lost+found 4 ./usr 5 ./var 6 ./export 7 ./bin 8 ./dev . . . # (Press Control-D to bring system to run level 3) |
次の例は、ルート (/) ファイルシステムのシングルユーザーモードでの増分バックアップの方法を示します。次の ufsdump オプションが含まれます。
9 は、レベル 9 のダンプ (増分バックアップ) であることを示します。
u は、このバックアップの実行日に /etc/dumpdates ファイルが更新されることを示します。
c は、カートリッジテープデバイスを示します。
f /dev/rmt/0 は、テープデバイスを示します。
/ はバックアップするファイルシステムを示します。
# init 0 ok boot -s # ufsdump 9ucf /dev/rmt/0 / DUMP: Date of this level 9 dump: Mon Jul 12 10:52:50 2010 DUMP: Date of last level 0 dump: Mon Jul 12 10:50:50 2010 DUMP: Dumping /dev/rdsk/c0t0d0s0 (starbug:/) to /dev/rmt/0. DUMP: Mapping (Pass I) [regular files] DUMP: Mapping (Pass II) [directories] DUMP: Mapping (Pass II) [directories] DUMP: Mapping (Pass II) [directories] DUMP: Writing 63 Kilobyte records DUMP: Estimated 422 blocks (211KB). DUMP: Dumping (Pass III) [directories] DUMP: Dumping (Pass IV) [regular files] DUMP: 376 blocks (188KB) on 1 volume at 1843 KB/sec DUMP: DUMP IS DONE DUMP: Level 9 dump on Mon Jul 12 10:55:50 2010 # ufsrestore tf /dev/rmt/0 2 . 9 ./etc 304 ./etc/dumpdates 1117 ./devices 1118 ./devices/pseudo 3381 ./devices/pseudo/pts@0:1 . . . |
# init 0 ok boot -s # ufsdump 9ucf /dev/rmt/0 / DUMP: Date of this level 9 dump: Mon Jul 12 10:33:14 2010 DUMP: Date of last level 0 dump: the epoch DUMP: Dumping /dev/rdsk/c2t1d0s0 (v880-brm-03:/root) to /dev/rmt/0. DUMP: Mapping (Pass I) [regular files] DUMP: Mapping (Pass II) [directories] DUMP: Writing 63 Kilobyte records DUMP: Estimated 120694 blocks (58.93MB). DUMP: Dumping (Pass III) [directories] DUMP: Dumping (Pass IV) [regular files] DUMP: 120580 blocks (58.88MB) on 1 volume at 9026 KB/sec DUMP: DUMP IS DONE DUMP: Level 9 dump on Mon Jul 12 10:33:14 2010 # ufsrestore tf /dev/rmt/0 2 . 9 ./etc 304 ./etc/dumpdates 1117 ./devices 1118 ./devices/pseudo 3381 ./devices/pseudo/pts@0:1 . . . |
次の例では、/export/home/kryten ホームディレクトリの完全バックアップを実行する方法を示します。次の ufsdump オプションが含まれます。
0 は、レベル 0 のダンプ (完全バックアップ) であることを示します。
u は、このバックアップの実行日に /etc/dumpdates ファイルが更新されることを示します。
c は、カートリッジテープデバイスを示します。
f /dev/rmt/0 は、テープデバイスを示します。
/export/home/kryten は、バックアップするディレクトリを示します。
# ufsdump 0ucf /dev/rmt/0 /export/home/kryten DUMP: Date of this level 0 dump: Wed Jul 10:35:18 2010 DUMP: Date of last level 0 dump: the epoch DUMP: Dumping /dev/rdsk/c0t0d0s7 (starbug:/export/home) to /dev/rmt/0. DUMP: Mapping (Pass I) [regular files] DUMP: Mapping (Pass II) [directories] DUMP: Writing 63 Kilobyte records DUMP: Estimated 105158 blocks (51.35MB). DUMP: Dumping (Pass III) [directories] DUMP: Dumping (Pass IV) [regular files] DUMP: 105082 blocks (51.31MB) on 1 volume at 5025 KB/sec DUMP: DUMP IS DONE DUMP: Level 9 dump on Mon Jul 12 10:38:14 2010 # ufsrestore tf /dev/rmt/0 232 ./kryten 233 ./kryten/filea 234 ./kryten/fileb 235 ./kryten/filec 236 ./kryten/letters 237 ./kryten/letters/letter1 238 ./kryten/letters/letter2 239 ./kryten/letters/letter3 240 ./kryten/reports 241 ./kryten/reports/reportA 242 ./kryten/reports/reportB 243 ./kryten/reports/reportC |
次の例は、Solaris 10 システム (mars) 上のローカルの /export/home ファイルシステムをリモートの Solaris 10 システム (earth) へ、シングルユーザーモードで完全バックアップする方法を示します。リモートアクセスが有効になるようにシステムを設定する必要があります。次の ufsdump オプションが含まれます。
0 は、レベル 0 のダンプ (完全バックアップ) であることを示します。
u は、このバックアップの実行日に /etc/dumpdates ファイルが更新されることを示します。
c は、カートリッジテープデバイスを示します。
f earth:/dev/rmt/0 は、リモートシステム名およびテープデバイスを示します。
/export/home は、バックアップするファイルシステムを示します。
# ufsdump 0ucf earth:/dev/rmt/0 /export/home DUMP: Date of this level 0 dump: Mon Jul 12 10:36:30 MDT 2010 DUMP: Date of last level 0 dump: the epoch DUMP: Dumping /dev/rdsk/c0t0d0s7 (mars:/export/home) to earth:/dev/rmt/0. DUMP: Mapping (Pass I) [regular files] DUMP: Mapping (Pass II) [directories] DUMP: Writing 63 Kilobyte records DUMP: Estimated 105172 blocks (51.35MB). DUMP: Dumping (Pass III) [directories] DUMP: Dumping (Pass IV) [regular files] DUMP: 105082 blocks (51.31MB) on 1 volume at 4425 KB/sec DUMP: DUMP IS DONE DUMP: Level 0 dump on Mon Jul 12 10:39:30 MDT 2010 # ufsrestore tf earth:/dev/rmt/0 2 . 3 ./lost+found 4 ./kryten 5 ./kryten/filea 6 ./kryten/fileb 7 ./kryten/filec 8 ./kryten/letters 9 ./kryten/letters/letter1 10 ./kryten/letters/letter2 11 ./kryten/letters/letter3 12 ./kryten/reports . . . |