Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

UFS スナップショットの概要

fssnap コマンドを使って、ファイルシステムをマウントした状態で、そのバックアップを作成できます。作成されるのは、ファイルシステムの読み取り専用スナップショットです。「スナップショット」は、バックアップ操作のためのファイルシステムの一時イメージです。

fssnap コマンドを実行すると、1 つの仮想デバイスと 1 つのバッキングストアファイルが作成されます。ユーザーは、既存の Solaris バックアップコマンドを使用して、実際のデバイスのように動作し実際のデバイスのように見える「仮想デバイス」をバックアップできます。「バッキングストアファイル」は、スナップショット作成後に変更されたデータのコピーを含むビットマップファイルです。

バッキングストアファイルを指定する際には、次の注意点に留意してください。

512G バイトを超える UFS ファイルシステムのスナップショットを作成する方法の詳細は、「マルチテラバイト UFS のスナップショットの作成」を参照してください。

なぜ UFS スナップショットを使用するか

UFS スナップショット機能により、ファイルシステムのバックアップがより利用しやすく、簡単になりました。この機能を利用すれば、ファイルシステムをマウントした状態でバックアップを作成できます。また、このときマルチユーザーモードを保持できます。さらに、長期保存が必要な場合は、tarcpio コマンドを使って、UFS スナップショットをテープにバックアップすることもできます。ufsdump コマンドでバックアップを実行する場合は、シングルユーザーモードにして、バックアップが完了するまでファイルシステムを非アクティブな状態にする必要があります。

fssnap コマンドは、企業レベルでないシステム管理者に、大規模な記憶容量を必要とせずに、Sun StorEdge Instant Image のような企業レベルのツールのパワーを提供します。

UFS スナップショットの機能は、Instant Image 製品の機能に似ています。UFS スナップショットは大規模なファイルシステムをコピーできますが、企業レベルのシステムには Instant Image の方が適しています。UFS スナップショットは、小さめのシステムに適しています。Instant Image は、取り込まれるファイルシステム全体のサイズに等しい容量を割り当てます。ただし、UFS スナップショットが作成するバッキングストアファイルは、必要なディスク容量だけを占有します。

次の表は、UFS スナップショットと Instant Image との特徴的な違いを示します。

UFS スナップショット 

Sun StorEdge Instant Image 

バッキングストアファイルのサイズは、スナップショットがとられた後のデータの変更量によります 

バッキングストアファイルのサイズは、コピーされるファイルシステム全体のサイズと同じです 

システムのリブート後は保持されません 

システムのリブート後も保持されます 

UFS ファイルシステムで動作します 

ルート (/) または /usr ファイルシステムでは使用できません

Solaris 8 1/01 以降のリリースで使用できます 

Sun StorEdge 製品の一部です 

UFS スナップショットのパフォーマンス上の問題

UFS スナップショットの初回作成時に、ファイルシステムのユーザーが短い一時停止に気づく場合があります。一時停止の時間は、取り込まれるファイルシステムのサイズに応じて増加します。スナップショットがアクティブな間、ファイルシステムの書き込み中、パフォーマンスに若干の影響が出る可能性があります。ただし、ファイルシステムの読み込み中には、このような影響はありません。