format ユーティリティーは、主にシステム管理者がディスクをパーティションに分割する場合に使われます。手順を次に示します。
どのスライスが必要かを決定します
各スライスまたはパーティションのサイズを決定します
format ユーティリティーを使用してディスクをパーティションに分割します
新しいパーティション情報を使用してディスクにラベルを付けます
パーティションごとにファイルシステムを作成します
ディスクをパーティションに分割するには、format ユーティリティーの partition メニューで modify コマンドを実行するのがもっとも簡単です。modify コマンドを使用すると、開始シリンダ境界を追跡しなくても、各パーティションのサイズを指定してパーティションを作成できます。modify コマンドを使用すると、「free hog」スライス内の残りのディスク領域も追跡できます。
ディスクラベルのうち重要な部分は「パーティションテーブル」です。パーティションテーブルは、ディスクのスライス、スライスの境界 (シリンダ単位)、スライスの合計サイズを表します。ディスクのパーティションテーブルは、format ユーティリティーを使用して表示できます。次の表に、パーティションテーブル関連の用語を示します。
表 10–6 パーティションテーブル関連の用語|
用語 |
値 |
説明 |
|---|---|---|
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数値 |
0–7 |
VTOC – 0 - 7 の番号が付いたパーティションまたはスライス。 EFI – 0 - 6 の番号が付いたパーティションまたはスライス。 |
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タグ |
0=UNASSIGNED 1=BOOT 2=ROOT 3=SWAP 4=USR 5=BACKUP 7=VAR 8=HOME 11=RESERVED |
一般にこのパーティションにマウントされたファイルシステムを記述する数値。 |
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フラグ |
wm |
パーティションは書き込み可能でマウント可能です。 |
|
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wu rm |
パーティションは書き込み可能でマウントはできません。これは、スワップ領域専用のパーティションのデフォルト状態です。ただし、mount コマンドでは「マウント不可」のフラグは検査されません。 |
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|
rm |
パーティションは読み取り専用でマウント可能です。 |
パーティションのフラグとタグは必ず割り当てられるので、管理する必要はありません。
パーティションテーブルを表示する手順については、次の項目を参照してください。
次の例は、format ユーティリティーを使って、74G バイトの VTOC ラベル付きディスクのパーティションテーブルを表示したものです。
Total disk cylinders available: 38756 + 2 (reserved cylinders) Part Tag Flag Cylinders Size Blocks 0 root wm 3 - 2083 4.00GB (2081/0/0) 8390592 1 swap wu 2084 - 3124 2.00GB (1041/0/0) 4197312 2 backup wm 0 - 38755 74.51GB (38756/0/0) 156264192 3 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 4 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 5 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 6 unassigned wm 0 0 (0/0/0) 0 7 home wm 3125 - 38755 68.50GB (35631/0/0) 143664192 8 boot wu 0 - 0 1.97MB (1/0/0) 4032 9 alternates wu 1 - 2 3.94MB (2/0/0) 8064 partition> |
format ユーティリティーを使用して表示されるパーティションテーブルには、次の情報が含まれます。
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列名 |
説明 |
|---|---|
|
Part |
パーティションまたはスライスの番号。この列についての説明は、表 10–6 を参照してください。 |
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Tag |
パーティションのタグ。この列についての説明は、表 10–6 を参照してください。 |
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Flag |
パーティションのフラグ。この列についての説明は、表 10–6 を参照してください。 |
|
Cylinders |
スライスの開始シリンダ番号と終了シリンダ番号を示します。EFI ラベル付きディスクでは表示されません。 |
|
Size |
スライスのサイズを M バイト単位で示します。 |
|
Blocks |
合計シリンダ数と 1 スライス当たりの合計セクター数を示します。EFI ラベル付きディスクでは表示されません。 |
|
First Sector |
EFI – 開始ブロック番号。VTOC ラベル付きディスクでは表示されません。 |
|
Last Sector |
EFI – 終了ブロック番号。VTOC ラベル付きディスクでは表示されません。 |
次に、prtvtoc コマンドを使用して EFI ディスクラベルを表示した例を示します。
# prtvtoc /dev/rdsk/c4t1d0s0
* /dev/rdsk/c4t1d0s0 partition map
*
* Dimensions:
* 512 bytes/sector
* 2576941056 sectors
* 2576940989 accessible sectors
*
* Flags:
* 1: unmountable
* 10: read-only
*
* First Sector Last
* Partition Tag Flags Sector Count Sector Mount Directory
0 2 00 34 629145600 629145633
1 4 00 629145634 629145600 1258291233
6 4 00 1258291234 1318633404 2576924637
8 11 00 2576924638 16384 2576941021
|
prtvtoc コマンドの出力では、次の 3 つのセクションに情報が表示されます。
Dimensions
フラグ
Partition テーブル
|
prtvtoc の列名 |
説明 |
|---|---|
|
Partition |
パーティションまたはスライスの番号。この列についての説明は、表 10–6 を参照してください。 |
|
Tag |
パーティションのタグ。この列についての説明は、表 10–6 を参照してください。 |
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Flags |
パーティションのフラグ。この列についての説明は、表 10–6 を参照してください。 |
|
First Sector |
スライスの最初のセクターを示します。 |
|
Sector Count |
スライス内の合計セクター数を示します。 |
|
Last Sector |
スライスの最後のセクターを示します。 |
|
Mount Directory |
ファイルシステムの最後のマウントポイントのディレクトリを示します。 |
format ユーティリティーを使用して 1 つまたは複数のディスクスライスのサイズを変更するときには、サイズ変更操作に対応して拡大縮小する一時スライスを指定します。
このスライスは、スライスを拡大すると領域を「解放 (free)」し、スライスを圧縮すると放棄された領域を「回収 (hog)」します。このため、提供側のスライスを「free hog」と呼びます。
free hog スライスは、インストール時または format ユーティリティーの実行時にのみ存在します。日常の操作中に free hog スライスが継続して存在することはありません。
free hog スライスの使用方法については、「SPARC: ディスクスライスとディスクラベルを作成する方法」または 「x86: ディスクスライスとディスクラベルを作成する方法」を参照してください。