この Solaris リリースでは、64 ビットの Solaris カーネルを実行しているシステムで、マルチテラバイトの UFS ファイルシステムをサポートします。
以前は、64 ビットと 32 ビットのどちらのシステムでも、UFS ファイルシステムはおよそ 1T バイトに制限されていました。今回、マルチテラバイト UFS ファイルシステムをサポートするため、すべての UFS ファイルシステムコマンドとユーティリティーが更新されました。
たとえば、ufsdump コマンドは大規模な UFS ファイルシステムをダンプできるようにブロックサイズが大きくなりました。
# ufsdump 0f /dev/md/rdsk/d97 /dev/md/rdsk/d98 DUMP: Date of this level 0 dump: Mon Jul 12 10:51:10 2010 DUMP: Date of last level 0 dump: the epoch DUMP: Dumping /dev/md/rdsk/d97 to /dev/md/rdsk/d98 DUMP: Mapping (Pass I) [regular files] DUMP: Mapping (Pass II) [directories] DUMP: Writing 32 Kilobyte records DUMP: Estimated 17439410 blocks (8515.34MB). DUMP: Dumping (Pass III) [directories] DUMP: Dumping (Pass IV) [regular files] |
1T バイト未満の UFS ファイルシステムは、以前と同じように管理されます。1T バイト未満の UFS ファイルシステムと 1T バイトを超えるファイルシステムとの間に管理面での違いはありません。
最初に newfs -T オプションを使用していれば、1T バイト未満の UFS ファイルシステムを作成し、最終的にマルチテラバイトのファイルシステムに拡張されるように指定できます。このオプションを使用すると、マルチテラバイトのファイルシステムに適した値に拡張が可能であるように i ノードとフラグメントの密度が設定されます。
32 ビットのカーネルを実行しているシステムで 1T バイト未満の UFS ファイルシステムを作成するときに、newfs -T オプションを使用すると、最終的に 64 ビットのカーネルでこのシステムを起動するときに、growfs コマンドを使ってこのファイルシステムを拡張できます。詳細は、newfs(1M) のマニュアルページを参照してください。
fstyp -v コマンドを使用し、magic 列で次の値を確認することにより、UFS ファイルシステムがマルチテラバイトをサポートしているかどうかを識別できます。
# /usr/sbin/fstyp -v /dev/md/rdsk/d3 | head -5 ufs magic decade format dynamic time Mon Jul 12 11:12:36 2010 |
マルチテラバイトをサポートしてない UFS ファイルシステムでは、次の fstyp の出力が表示されます。
# /usr/sbin/fstyp -v /dev/md/rdsk/d0 | head -5 ufs magic 11954 format dynamic time Mon Jul 12 12:41:29 2010 |
growfs コマンドを使用すると、サービスやデータを失わずに、UFS ファイルシステムをスライスまたはボリュームのサイズまで拡張できます。詳細については、growfs(1M) のマニュアルページを参照してください。
これに関連して、EFI ディスクラベルによるマルチテラバイトボリュームのサポートと、Solaris ボリュームマネージャーによるマルチテラバイトボリュームのサポートという新しい 2 つの機能が追加されました。詳細は、「EFI ディスクラベル」および『Solaris ボリュームマネージャの管理』を参照してください。
マルチテラバイトの UFS ファイルシステムには、次の機能があります。
最大 16T バイトの UFS ファイルシステムを作成できます。
16T バイト未満のファイルシステムを作成し、あとで 16T バイトまでサイズを増やすことができます。
マルチテラバイトのファイルシステムを物理ディスク、Solaris ボリュームマネージャーの論理ボリューム、および Veritas の VxVM 論理ボリューム上に作成できます。
マルチテラバイトのファイルシステムでは、UFS ロギングが有効になっているとパフォーマンスが向上するという利点があります。また、マルチテラバイトのファイルシステムは、ロギングが有効なときは fsck コマンドを実行しなくてもよい場合があるというロギングの利点を利用することもできます。
マルチテラバイトの UFS ファイルシステム用のパーティションを作成すると、そのディスクには自動的に EFI ディスクラベルが付きます。EFI ディスクラベルの詳細は、「EFI ディスクラベル」を参照してください。
マルチテラバイトファイルシステムのスナップショットを作成できます (ファイルシステムのサイズが 512G バイトを超える場合、複数のバッキングストアファイルが作成される)。
マルチテラバイトの UFS ファイルシステムには、次の制限事項があります。
32 ビットシステムではサポートされません。
32 ビットの Solaris カーネルを実行しているシステムでは、1T バイトを超えるファイルシステムをマウントすることはできません。
1T バイトを超える個々のファイルはサポートされていません。
UFS ファイルシステムの 1T バイトあたりの最大ファイル数は 100 万です。たとえば、4T バイトのファイルシステムには、400 万個のファイルを含めることができます。
100 万に制限されているのは、fsck コマンドでファイルシステムを検査するのに要する時間を減らすためです。
マルチテラバイトの UFS ファイルシステムに設定できる最大割り当て数は、2T バイトの 1024 バイトブロックです。
マルチテラバイトの UFS ファイルシステムの操作手順については、次を参照してください。
マルチテラバイトの UFS 作業 |
参照先 |
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マルチテラバイトの UFS ファイルシステムを作成します |
「マルチテラバイトの UFS ファイルシステムを作成する方法」 |
マルチテラバイトの UFS スナップショットを作成します | |
マルチテラバイトの UFS に関する問題の障害追跡を行います |