Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

Procedureターゲットの複数の iSCSI セッションを有効にする方法

この手順を使用して、単一のターゲットに接続する複数の iSCSI セッションを作成できます。このシナリオは、ログインのリダイレクションをサポートするか、または同じターゲットポータルグループに含まれている複数のターゲットのポータルを使用する iSCSI ターゲットデバイスの場合に役に立ちます。ターゲットごとに複数の iSCSI セッションを使用するときは、Solaris SCSI Multipathing (MPxIO) を組み合わせて使用します。また、ホスト側の複数の NIC を使用して同じターゲット上の複数のポータルに接続すると、より広い帯域幅を実現できます。

MS/T 機能は、イニシエータのセッション ID (ISID) を変えることで、ターゲット上に 2 つ以上のセッションを作成します。この機能を有効にすると、ネットワークに 2 つの SCSI レイヤーパスが作成され、複数のターゲットを iSCSI レイヤーから Solaris I/O レイヤーまで公開できるようになります。MPxIO ドライバは、これらのパスに対する予約を処理します。

iSCSI と MPxIO パスの相互動作の仕組みについては、「Solaris iSCSI マルチパスデバイスの設定」を参照してください。

iSCSI ターゲットの複数セッションを設定する前に、次の項目を確認してください。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. iSCSI イニシエータと iSCSI ターゲットの現在のパラメータを一覧表示します。

    1. iSCSI イニシエータの現在のパラメータを一覧表示します。次に例を示します。


      initiator# iscsiadm list initiator-node
      Initiator node name: iqn.1986-03.com.sun:01:0003ba4d233b.425c293c
      Initiator node alias: zzr1200
              .
              .
              .
              Configured Sessions: 1
    2. iSCSI ターゲットデバイスの現在のパラメータを一覧表示します。次に例を示します。


      initiator# iscsiadm list target-param -v iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
      Target: iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
              Alias: -
              .
              .
              .
              Configured Sessions: 1

      Configured Sessions (構成済みのセッション) の値は、ターゲットポータルグループ内の各ターゲット名用に作成される構成済みの iSCSI セッションの数です。

  3. 次のいずれかを選択し、構成済みのセッションの数をイニシエータノードで変更してすべてのターゲットに適用するか、ターゲットレベルで変更して特定のターゲットに適用します。

    ターゲットのセッション数は 1 から 4 の間である必要があります。

    • iSCSI イニシエータノードにパラメータを適用します。

      次に例を示します。


      initiator# iscsiadm modify initiator-node -c 2
      
    • iSCSI ターゲットにパラメータを適用します。

      次に例を示します。


      initiator# iscsiadm modify target-param -c 2  iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
      
    • 構成済みセッションを 1 つ以上のローカル IP アドレスにバインドします。

      構成済みのセッションは、特定のローカル IP アドレスにバインドすることもできます。この方法を使用する場合は、コンマ区切りのリストで 1 つ以上のローカル IP アドレスを指定します。各 IP アドレスは iSCSI セッションを表します。この方法は、イニシエータノードまたはターゲットパラメータのレベルでも実行できます。次に例を示します。


      initiator# iscsiadm modify initiator-node -c 10.0.0.1,10.0.0.2
      

      注 –

      指定した IP アドレスがルーティング可能ではない場合、アドレスが無視され、デフォルトの Solaris ルートおよび IP アドレスがこのセッションで使用されます。


  4. パラメータが変更されたことを確認します。

    1. イニシエータノードの更新された情報を表示します。次に例を示します。


      initiator# iscsiadm list initiator-node
      Initiator node name: iqn.1986-03.com.sun:01:0003ba4d233b.425c293c
      Initiator node alias: zzr1200
              .
              .
              .
              Configured Sessions: 2
    2. ターゲットノードの更新された情報を表示します。次に例を示します。


      initiator# iscsiadm list target-param -v iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
      Target: iqn.1992-08.com.abcstorage:sn.84186266
              Alias: -
              .
              .
              .
              Configured Sessions: 2
  5. mpathadm list lu コマンドで複数パスを一覧表示して、OS デバイス名が iscsiadm list の出力に一致していることと、パスの数が 2 以上であることを確認します。