Oracle Solaris Trusted Extensions ユーザーズガイド

機密ラベルと認可上限

ラベルには、次の 2 つの構成要素があります。

図 1–3 一般的な産業界向け機密ラベル

図は、産業界で定義される一般的なラベルと認可上限を示しています。

Trusted Extensions には 2 種類のラベルがあります。「機密ラベル」と「認可上限」です。作業の認可は 1 つ以上の機密ラベルで得ることができます。「ユーザー認可上限」と呼ばれる特殊なラベルは、そのユーザーが作業することを許されている最高ラベルを決定します。さらに、各ユーザーには最下位の機密ラベルが指定されています。 このラベルは、マルチレベルのデスクトップセッションにログインするときにデフォルトで使用されます。ログイン後は、この範囲内のほかのラベルで作業することを選択できます。最下位の機密ラベルとして Public を、認可上限として Confidential: Need to Know をユーザーに割り当てたとします。最初のログインでは、デスクトップのワークスペースのラベルは Public です。セッション中、ユーザーは Confidential: Internal Use Only および Confidential: Need to Know でワークスペースを作成できます。

Trusted Extensions が設定されたシステムでは、すべてのサブジェクトとオブジェクトにラベルがあります。「サブジェクト」とは能動的な実体であり、通常はプロセスを指します。プロセスによって、情報がオブジェクト間を移動したり、システムの状態が変更されたりします。「オブジェクト」とは、データを保持したり、受け取ったりする受動的な実体であり、データファイルやディレクトリ、プリンタなどのデバイスを指します。プロセスに対して kill コマンドを使用するときのように、プロセスがオブジェクトになる場合もあります。

ラベルは、ウィンドウのタイトルバーと、画面の特殊なストライプである「トラステッドストライプ」に表示することができます。図 1–4 は、Trusted CDE での一般的なマルチレベル Trusted Extensions セッションを示しています。ラベルとトラステッドストライプが表示されています。

図 1–4 一般的な Trusted CDE のセッション

画面は、ウィンドウとアイコン上のラベル、トラステッドシンボルとワークスペースのラベルが表示されたトラステッドストライプ、およびトラステッドパスメニューを示しています。

図 1–5 は、Trusted JDS システムでの一般的なマルチレベル Trusted Extensions セッションを示しています。トラステッドストライプが上部にあります。トラステッドパスメニューはトラステッドストライプから起動します。ある役割になるには、ユーザー名をクリックして役割メニューを起動します。下部パネルのワークスペーススイッチには、ワークスペースラベルの色が表示されます。下部パネルのウィンドウリストには、ウィンドウのラベルの色が表示されます。

図 1–5 一般的な Trusted JDS のセッション

画面は、ウィンドウ上のラベル、トラステッドストライプ、トラステッドシンボル、トラステッドパスメニュー、現在のユーザー、ワークスペースとウィンドウのラベル、および下部ストライプを示しています。