Solaris のシステム管理 (印刷)

PPD ファイルマネージャー (ppdmgr) ユーティリティーの使用

Procedureppdmgr ユーティリティーを使用してシステムに PPD ファイルを追加する方法

この手順では、ppdmgr ユーティリティーを使用してシステムに新しい PPD ファイルを追加する方法について説明します。また、ppdmgr -a コマンドで対応する引数を使用して、PPD ファイルラベル、PPD リポジトリ、または PPD ファイルのソースパスを指定することもできます。ppdmgr コマンドを使用してシステムに PPD ファイルを追加する場合は、ファイルが、指定したラベルやリポジトリにコピーされてから圧縮されることに注意してください。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. システムに PPD ファイルを追加します。


    # ppdmgr -a ppd-file-path [ -L label ] [ -R repository ] [-w]
    
    -a

    ppd-file-path で指定された PPD ファイルを PPD リポジトリにコピーしたあと、この変更が反映されるようにキャッシュファイル内の情報を更新します。

    -L オプションが指定されていない場合、この PPD ファイルに割り当てられるデフォルトラベルは user です。

    -R オプションが指定されていない場合、この PPD ファイルに割り当てられるデフォルトリポジトリは user です。

    ppd-file-path

    PPD ファイルのソースパスとそのファイルの名前を指定します。このファイルは -a オプションとともに使用され、ppd-file-path のコピーが、指定されたラベルを持つ指定されたリポジトリ内の指定されたラベルに追加されます。ppdmgr ユーティリティーは、.ppd または .ppd.gz のいずれかの拡張子を持つ有効な PPD ファイルを受け付けます。

    -L label

    PPD ファイルラベルを指定します。デフォルトラベルは user です。ラベル名には、移植可能ファイル名文字セットの文字が含まれている必要があります。ラベル名がハイフン (-) で始まっていたり、セミコロン (:) を含んでいたりしてはいけません。ラベル名が予約されたラベル名であってはいけません。

    次のラベル名は予約されており、-a オプションとともに使用することはできません。

    • caches

    • ppdcache

    • manufaliases

    • all

    -R repository

    PPD ファイルのいずれかのインストール場所を表す PPD ファイルリポジトリの名前を指定します。このオプションを使用する場合は、次のいずれかの PPD ファイルリポジトリを指定できます。

    • user (デフォルト)

    • admin

    -w

    PPD ファイルがコピーされた場所のフルパスを表示します。-w オプションは、-a オプションとともに使用されている場合にのみ有効です。それ以外の場合、このオプションは無視されます。

  3. 次のいずれかの方法を使用して、PPD ファイルが追加されたことを確認します。


例 11–1 システムに PPD ファイルを追加する

この例は、システムに PPD ファイル myHPprinter.ppd を追加する方法を示しています。

この例および以降の例では、指定されている path が変化することに注意してください。


# ppdmgr -a /net/somesystem/myHPprinter.ppd

PPD ファイルのコピーが存在するシステム上のパスは /usr/share/model/ppd/system/foomatic/HP/myHPprinter.ppd.gz です。

このコマンドを -a オプションとともに使用すると、ファイルが user リポジトリ内の user ラベルにコピーされます。



例 11–2 ラベルを指定してシステムに PPD ファイルを追加する

この例は、PPD ファイル myHPprinter.ppd を、指定されたラベル Photos でシステムに追加する方法を示しています。


# ppdmgr -a /net/somesystem/myHPprinter.ppd -L Photos

PPD ファイルのコピーが存在するシステム上のパスは /usr/share/model/ppd/Photos/HP/myHPprinter.ppd.gz です。

このコマンドを -a および -L オプションとともに使用すると、PPD ファイルが user リポジトリ内の Photos ラベルにコピーされます。



例 11–3 システムの指定したリポジトリに PPD ファイルを追加する

この例は、PPD ファイル myHPprinter.ppd をシステム上の admin リポジトリに追加する方法を示しています。


# ppdmgr -a /net/somesystem/myHPprinter.ppd -R admin

PPD ファイルのコピーが存在するシステム上のパスは /usr/local/share/ppd/user/HP/myHPprinter.ppd.gz です。

このコマンドを -a および -R オプションとともに使用すると、ファイルが admin リポジトリ内の user ラベルディレクトリにコピーされます。



例 11–4 指定されたラベルでシステムの指定されたリポジトリに PPD ファイルを追加する

この例は、PPD ファイル myHPprinter.ppd を、Photos ラベルと admin リポジトリを指定してシステムに追加する方法を示しています。


# ppdmgr -a /net/somesystem/myHPprinter.ppd -L Photos -R admin

PPD ファイルのコピーが存在するシステム上のパスは /usr/local/share/ppd/Photos/HP/myHPprinter.ppd.gz です。

このコマンドを -a-L、および -R オプションとともに使用すると、ファイルが admin リポジトリ内の Photos ラベルにコピーされます。



例 11–5 システムに PPD ファイルを追加したあと、ファイルがコピーされた場所のフルパスを表示する

この例は、PPD ファイル myHPprinter.ppd をシステムに追加したあと、PPD ファイルの出力先パスを表示する方法を示しています。PPD ファイルがコピーされたシステム上の場所を判定するには、ppdmgr コマンドをこのオプションとともに使用します。


# ppdmgr -a /net/somesystem/myHPprinter.ppd -w

PPD ファイルのコピーが存在するシステム上のパスは /var/lp/ppd/user/HP/myHPprinter.ppd.gz です。

このコマンドを -a および -w オプションとともに使用すると、指定されたファイルが user リポジトリ内の user ラベルにコピーされます。

-w オプションは、-a オプションと組み合わせて使用されている場合にのみ有効です。それ以外の場合、このオプションは無視されます。


参照

ppdmgr コマンド行オプションの詳細な説明、および PPD ファイルの追加に関するガイドラインについては、ppdmgr ユーティリティーのコマンド行オプションの説明」を参照してください。

Procedurelpadmin -n コマンドを使用してシステムに PPD ファイルを追加する方法

この手順は、lpadmin コマンドを使用して、既存の印刷待ち行列の設定を、指定された PPD ファイルに関連付けられるように変更する方法を示しています。

lpadmin コマンドを -n オプションとともに使用してシステムに PPD ファイルを追加する場合は、ラベルまたはリポジトリを指定できません。代わりに、user ラベルがファイルに割り当てられたあと、そのファイルが user リポジトリにコピーされます。ユーザーが定義したラベルまたはリポジトリを指定する場合は、ppdmgr ユーティリティーを使用して PPD ファイルを追加してください。ppdmgr ユーティリティーを使用してシステムに PPD ファイルを追加する方法」を参照してください。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 既存の印刷待ち行列を PPD ファイルに関連付けられるように変更します。


    # lpadmin -p print-queue -n ppd-file-path
    
    lpadmin

    LP 印刷サービスを設定するために使用される管理コマンド。

    -p print-queue

    印刷待ち行列を指定します。印刷待ち行列は、printer-name と表記される場合があります。

    -n

    ppd-file-path で指定された PPD ファイルを、デフォルトの user PPD ファイルリポジトリ内にあるデフォルトの user ラベルディレクトリにコピーします。

    ppd-file-path

    PPD ファイルのソースパスとそのファイルの名前を指定します。このファイルは -a オプションとともに使用され、ppd-file-path のコピーが、指定されたリポジトリ内の指定されたラベルに追加されます。ppdmgr ユーティリティーは、.ppd または .ppd.gz のいずれかの拡張子を持つ有効な PPD ファイルを受け付けます。

  3. 次のいずれかの方法を使用して、PPD ファイルが追加されたことを確認します。

    • ファイルが Solaris 印刷マネージャーに表示されることを確認します。

      1. Solaris 印刷マネージャーを起動します。

        手順については、「Solaris 印刷マネージャーを起動する方法」を参照してください。

      2. 「プリンタのプロパティを変更」(ローカルまたはネットワーク) を選択します。

      3. この手順のステップ 2 で指定した印刷待ち行列を選択します。

        印刷待ち行列に関連付けられた PPD ファイルが正常に追加された場合は、そのファイルが「プリンタドライバ」フィールドに表示されます。「Solaris 印刷マネージャーの「プリンタドライバ」フィールドの説明」を参照してください。

    • 次の lpstat コマンドを使用して、PPD ファイルが追加されたことを確認します。


      % lpstat -p print-queue -l

      PPD ファイルが印刷待ち行列に正常に追加された場合は、lpstat コマンドの出力の PPD フィールドにその PPD ファイル名が含まれています。


例 11–6 lpadmin -n コマンドを使用して、既存の印刷待ち行列に PPD ファイルを追加する

この例は、印刷待ち行列 printer1 を、指定された PPD ファイルのコピーに関連付けられるように変更する方法を示しています。


# lpadmin -p printer1 -n /path/mynewHPppdfile.ppd

指定された PPD ファイルは、/var/lp/ppd/user/HP/mynewHPppdfile.ppd.gz に格納されます。


PPD キャッシュファイルの更新

システム上の PPD キャッシュファイルの更新によって、PPD キャッシュファイル内の既存の情報が更新されます。

システム上の PPD キャッシュファイルの更新は、次の場合に要求することが考えられます。

更新が完了すると、加えられた変更がすべて Solaris 印刷マネージャーに反映されます。

PPD キャッシュファイルの再作成

PPD キャッシュファイルの再作成によって、既存のキャッシュが削除され、完全に新しいキャッシュが作成されます。特に、システム上に多数の PPD ファイルが存在する場合、このプロセスは時間がかかる可能性があります。そのため、PPD キャッシュファイルの再作成は問題解決の状況でのみ要求してください。PPD キャッシュファイルの更新および再作成に関連するガイドラインについては、ppdmgr ユーティリティーのコマンド行オプションの説明」を参照してください。

Procedureppdmgr ユーティリティーを使用して PPD キャッシュファイルを更新または再作成する方法

この手順では、ppdmgr ユーティリティーの -u または -r のいずれかのオプションを使用して、PPD キャッシュファイルを更新または再作成する方法について説明します。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 最近の変更がすべて反映されるように PPD キャッシュファイルを更新または再作成します。


    # ppdmgr -u | -r [ -R repository ] [ -L label ]
    
    -u

    PPD キャッシュファイルを、指定されたリポジトリ内の指定されたラベルに割り当てられた 1 つまたは複数の PPD ファイルに関する情報を使用して更新します。デフォルトラベルは user です。また、デフォルトリポジトリも user です。変更が識別されない場合、キャッシュファイルは変更されません。

    -r

    既存の PPD キャッシュファイルを削除したあと、指定されたラベル内の 1 つまたは複数の PPD ファイルの PPD ファイル情報を使用してファイルを再作成します。

    ラベルが指定されていない場合のデフォルトラベルは、指定されたリポジトリ内の user です。また、リポジトリが指定されていない場合のデフォルトリポジトリも user です。

    通常は、PPD キャッシュファイルの再作成を要求する必要はありません。このオプションは、PPD キャッシュファイルが破壊されていると考えられる場合にのみ使用されます。

    -R repository

    更新する PPD ファイルリポジトリを指定します。次のいずれかの PPD ファイルリポジトリを指定できます。

    • admin

    • all (システム上の使用可能なすべての PPD ファイルリポジトリを指定する)

    • system

    • user (デフォルト)

    • vendor

    -L label

    PPD ファイルラベルを指定します。

    デフォルトラベルは user です。ラベル名には、移植可能ファイル名文字セットの文字が含まれている必要があります。ラベル名がハイフン (-) で始まっていたり、セミコロン (:) を含んでいたりしてはいけません。ラベル名が予約されたラベル名であってはいけません。

    次のラベル名は予約されています。

    • caches

    • ppdcache

    • manufaliases

    • all

  3. 次のいずれかの方法を使用して、PPD ファイルが追加されたことを確認します。

    • ファイルが Solaris 印刷マネージャーに表示されることを確認します。

      1. Solaris 印刷マネージャーを起動します。

        手順については、「Solaris 印刷マネージャーを起動する方法」を参照してください。

      2. 「プリンタのプロパティを変更」(ローカルまたはネットワーク) を選択します。

      3. この手順のステップ 2 で PPD ファイルを追加した印刷待ち行列を選択します。

        指定した PPD ファイルが正常に追加された場合は、その情報が「プリンタドライバ」フィールドに表示されます。「Solaris 印刷マネージャーの「プリンタドライバ」フィールドの説明」を参照してください。

    • 次の lpstat コマンドを使用して、PPD ファイルが追加されたことを確認します。


      % lpstat -p printer-name -l
      

      PPD ファイルがシステムに正常に追加された場合は、lpstat コマンドの出力の PPD フィールドにその PPD ファイル名が含まれています。


例 11–7 ppdmgr ユーティリティーを使用して PPD キャッシュファイルを更新する

この例は、user リポジトリ内のすべてのラベルで割り当てられている PPD ファイルからの情報が反映されるように PPD キャッシュファイルを更新する方法を示しています。


# ppdmgr -u

この例は、user リポジトリ内の Photos ラベルで割り当てられている PPD ファイルからの情報が反映されるように PPD キャッシュファイルを更新する方法を示しています。


# ppdmgr -u -L Photos

この例は、admin リポジトリ内のすべてのラベルで割り当てられている PPD ファイルからの情報が反映されるように PPD キャッシュファイルを更新する方法を示しています。


# ppdmgr -u -R system

この例は、admin リポジトリ内の Photos ラベルで割り当てられている PPD ファイルからの情報が反映されるように PPD キャッシュファイルを更新する方法を示しています。


# ppdmgr -u -L Photos -R admin

ppd-cache-update サービスの管理

システム上のすべての PPD ファイルリポジトリに加えられた変更が ppdcache ファイルに反映されることを保証するために、PPD キャッシュファイル application/print/ppd-cache-update を更新するためのサービス管理機能 (SMF) サービスがシステムのリブート中に 1 回実行されます。このサービスインスタンスは、svc:/application/print/ppd-cache-update です。このサービスは、Oracle Solaris ソフトウェアをインストールするとデフォルトで有効になります。このサービスを有効または無効にするには、svcadm コマンドを使用します。


注 –

ソフトウェアのインストールまたはアップグレード中に、システムリポジトリ /var/lp/ppd に提供されるすべての PPD ファイルのキャッシュファイルエントリが生成されます。その結果、システムがリブートしたときに、サービスのオンライン状態への移行にかかる時間が長くなる可能性があります。


手順については、ppd-cache-update サービスを有効または無効にする方法」を参照してください。SMF および svcadm コマンドの使用方法については、smf(5)svcadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

Procedureppd-cache-update サービスを有効または無効にする方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. application/print/ppd-cache-update サービスを有効または無効にするには、次のように入力します。


    # svcadm enable|disable application/print/ppd-cache-update
    
  3. このサービスが有効または無効になっていることを確認するには、次のように入力します。


    # svcs application/print/ppd-cache-update
    

    このサービスが有効になっている場合、出力は次のようになります。


    # svcs application/print/ppd-cache-update
    STATE          STIME    FMRI
    online         Apr_26   svc:/application/print/ppd-cache-update:default

    このサービスが無効になっている場合、出力は次のようになります。


    # svcs application/print/ppd-cache-update
    STATE          STIME    FMRI
    diabled        Apr_26   svc:/application/print/ppd-cache-update:default
参照

ppdmgr ユーティリティーを -u オプションとともに使用して PPD キャッシュファイルを更新する手順については、ppdmgr ユーティリティーを使用して PPD キャッシュファイルを更新または再作成する方法」を参照してください。