pkginfo ファイルは、パッケージの特性を説明するASCII ファイルです。インストールの流れを制御するのに役立つ情報を提供します。
pkginfo ファイルの各エントリは、PARAM=value の形式を使用してパラメータの値を設定するための行です。PARAM には、pkginfo(4) のマニュアルページで説明されている標準のパラメータのいずれかを指定できます。パラメータの指定には、必要な順序はありません。
それぞれの value は、単一引用符または二重引用符で囲むことができます (例: 'value' または "value")。シェル環境に固有であるとみなされる文字が value に含まれる場合、引用符を使用するようにしてください。本書の例およびケーススタディーでは、引用符を使用しません。二重引用符を使用する例については、pkginfo(4) のマニュアルページを参照してください。
また、独自のパッケージパラメータを作成するには、pkginfo ファイル内でパッケージパラメータに値を割り当てます。パラメータは、大文字で始めて、その後ろに大文字または小文字を続けます。大文字の場合、パラメータ (変数) は、構築時ではなく、インストール時に評価されます。逆に、小文字の場合は構築時に評価されます。インストール変数と構築変数の違いについては、「パッケージ環境変数」を参照してください。
パラメータ値のあとにある空白は無視されます。
pkginfo ファイルには、 PKG、NAME、ARCH、VERSION、および CATEGORY という 5 つのパラメータを定義します。PATH、PKGINST、および INSTDATE の各パラメータは、パッケージの構築時にソフトウェアによって自動的に挿入されます。これら 8 つのパラメータは変更しないでください。残りのパラメータについては、pkginfo(4) のマニュアルページを参照してください。
同一のパッケージに、異なるバージョンを含めたり、異なるアーキテクチャーとの互換性を持たせたり、あるいはその両方を組み合わせることができます。パッケージの各バリエーションは、パッケージインスタンスと呼ばれています。パッケージインスタンスは、pkginfo ファイル内で PKG、ARCH、および VERSION の各パラメータ定義を組み合わせて決定します。
pkgadd コマンドは、インストール時にパッケージ識別子を各パッケージインスタンスに割り当てます。パッケージ識別子は、たとえば SUNWadm.2 のように、数値の接尾辞を含むパッケージの省略名です。この識別子は、同じパッケージのインスタンスを含め、その他のパッケージとパッケージインスタンスを区別します。
パッケージの省略名は、パッケージの名前を短くしたものであり、pkginfo ファイル内で PKG パラメータによって定義されています。パッケージの省略名には、次の特性を持たせてください。
省略名は 32 文字の長さを超えることはできません。
省略名には、 予約された省略名である install、new、および all は使用できません。
最初の 4 文字は、会社に特有のものでなければなりません。たとえば、Sun MicrosystemsTM によって構築されたパッケージはすべて、パッケージの省略名の最初の 4 文字に“SUNW” の文字を含みます。
pkginfo ファイル内のパッケージ省略名エントリの一例は PKG=SUNWcadap です。
pkginfo ファイル内の ARCH パラメータは、パッケージに関連付けるアーキテクチャーを特定します。アーキテクチャー名の最大長は、英数字で 16 文字です。パッケージが複数のアーキテクチャーに関連付けられている場合、アーキテクチャーをコンマ区切りのリストで指定します。
pkginfo ファイル内でパッケージアーキテクチャーを指定する例を次に示します。
ARCH=sparc |
pkginfo ファイル内の SUNW_ISA パラメータは、Sun Microsystems パッケージに関連付けられている命令セットアーキテクチャーを特定します。パラメータの値は次のとおりです。
64–ビットオブジェクトを含むパッケージの場合: sparcv9
32–ビットオブジェクトを含むパッケージの場合: sparc
たとえば、64–ビットオブジェクトを含むパッケージの場合、pkginfo ファイル内の SUNW_ISA 値は次のようになります。
SUNW_ISA=sparcv9 |
SUNW_ISA が設定されていない場合、パッケージの命令セットアーキテクチャーはデフォルトで ARCH パラメータの値に設定されます。
pkginfo ファイル内の VERSION パラメータは、パッケージのバージョンを特定します。バージョンの最大長は、ASCII 文字で 256 文字です。また、バージョンは、左括弧で始めることはできません。
pkginfo ファイル内でバージョンを指定する例を次に示します。
VERSION=release 1.0 |
パッケージ名は、パッケージの完全な名前であり、pkginfo ファイル内の NAME パラメータによって定義されます。
システム管理者は多くの場合、パッケージのインストールが必要であるかどうかを決定するためにパッケージ名を使用するので、明瞭かつ簡潔で完全なパッケージ名を記述することが重要です。パッケージ名は、次の条件を満たすようにしてください。
パッケージが必要なタイミングを記述します。たとえば、特定のコマンドまたは機能を提供する場合や、特定のハードウェアに対してパッケージが必要かどうかを記述します。
デバイスドライバの開発など、パッケージを使用する目的を記述します。
パッケージの省略名のニーモニックについての説明を記載します。これには、省略名が説明の短縮形であることを示すキーワードを使用します。たとえば、 SUNWbnuu というパッケージの省略名に対するパッケージ名は、"Basic Networking UUCP Utilities, (Usr)" となります。
パッケージをインストールするパーティションを記述します。
業界での意味に沿うように用語を使用します。
256–文字の制限を最大限に活用します。
次に示すのは、pkginfo ファイル内で定義されるパッケージ名の例です。
NAME=Chip designers need CAD application software to design abc chips. Runs only on xyz hardware and is installed in the usr partition. |
pkginfo ファイル内の CATEGORY パラメータは、パッケージが属するカテゴリを指定します。少なくとも、パッケージは system または application のカテゴリに属します。カテゴリ名は、英数字で構成されます。カテゴリ名は最大長が 16 文字であり、大文字と小文字が区別されません。
パッケージが複数のカテゴリに属する場合、カテゴリをコンマ区切りのリストで指定します。
次に示すのは、pkginfo ファイル内で CATEGORY を指定する例です。
CATEGORY=system |
任意のテキストエディタを使用して、pkginfo という名前のファイルを作成します。
ファイルを編集し、5 つの必須パラメータを定義します。
5 つの必須パラメータは、 PKG、NAME、ARCH、VERSION、および CATEGORY です。これらのパラメータの詳細については、「pkginfo ファイルの作成」を参照してください。
省略可能なパラメータをファイルに追加します。
独自のパラメータを作成します。また、標準パラメータについては、pkginfo(4) のマニュアルページを参照してください。
ファイルを保存してエディタを終了します。
次の例では、有効な pkginfo ファイルのコンテンツを示しています。ここでは、5 つの必須パラメータを定義し、BASEDIR パラメータを指定しています。BASEDIR パラメータは、「path フィールド」で詳細に説明されています。
PKG=SUNWcadap NAME=Chip designers need CAD application software to design abc chips. Runs only on xyz hardware and is installed in the usr partition. ARCH=sparc VERSION=release 1.0 CATEGORY=system BASEDIR=/opt |
「パッケージのコンテンツの編成方法」を参照してください。