パッケージのインストール時および削除時に sed 命令を使用してファイルを編集するための方法を提供します。
パッケージのインストール時および削除時に awk 命令を使用してファイルを編集するための方法を提供します。
Bourne シェルコマンドを使用してファイルを動的に作成または変更するための方法を提供します。
将来のパッケージのインストールによって上書きされるべきではないファイルを保持するための方法を提供します。
マニフェストに関連する SMF (サービス管理機能) サービスの自動的なインストールおよびアンインストールを提供します。パッケージ内のすべての SMF マニフェストに、manifest クラスが使用されなければなりません。
パッケージ内の複数のファイルで必要な特殊な処理が、sed、awk、または sh コマンドを使用して完全に定義できる場合は、システムクラスを使用すると、複数のクラスとそれに対応するクラスアクションスクリプトを使用するより、インストールの時間を短縮できます。
sed クラスは、ターゲットシステム上の既存オブジェクトを変更する方法を提供します。sed クラスアクションスクリプトは、sed クラスに属するファイルが存在する場合は、インストール時に自動的に実行されます。sed クラスアクションスクリプトの名前は、命令が実行される対象のファイルの名前と同じであるようにしてください。
sed クラスアクションスクリプトは、次の形式で sed 命令を提供します。
2 つのコマンドが、命令を実行する必要があるときを示します。!install コマンドに続く sed 命令は、パッケージのインストール時に実行されます。!remove コマンドに続く sed 命令は、パッケージの削除時に実行されます。ファイル内でこれらのコマンドが使用される順序は関係ありません。
sed 命令の詳細については、sed(1) のマニュアルページを参照してください。sed クラスアクションスクリプトの例については、第 5 章パッケージ作成のケーススタディーを参照してください。
awk クラスは、ターゲットシステム上の既存オブジェクトを変更する方法を提供します。変更は、awk クラスアクションスクリプト内の awk 命令として提供されます。
awk クラスアクションスクリプトは、awk クラスに属するファイルが存在する場合、インストール時に自動的に実行されます。このようなファイルには、awk クラススクリプトに対する命令が次の形式で含まれます。
2 つのコマンドが、命令を実行する必要があるときを示します。!install コマンドに続く awk 命令は、パッケージのインストール時に実行されます。!remove コマンドに続く命令は、パッケージの削除時に実行されます。これらのコマンドは、任意の順序で使用できます。
awk クラスアクションスクリプトの名前は、命令が実行される対象のファイルの名前と同じであるようにしてください。
変更対象のファイルは、awk コマンドに対する入力として使用され、スクリプトの出力は最終的に元のオブジェクトを置き換えます。この構文では、環境変数を awk コマンドに渡すことはできません。
awk 命令の詳細については、awk(1) のマニュアルページを参照してください。
build クラスは、Bourne シェルの命令を実行して、パッケージオブジェクトファイルを作成または変更します。これらの命令は、パッケージオブジェクトとして提供されます。パッケージオブジェクトが build クラスに属している場合は、インストール時に命令が自動的に実行されます。
build クラスアクションスクリプトの名前は、命令が実行される対象のファイルの名前と同じであるようにしてください。また、名前は sh コマンドで実行できる必要もあります。スクリプトの出力は、構築または変更されると新しいバージョンのファイルになります。スクリプトが出力を生成しない場合、ファイルは作成または変更されません。したがって、スクリプトはファイル自体を変更または作成できます。
たとえば、パッケージがデフォルトファイル /etc/randomtable を提供し、ファイルがターゲットシステム上にまだ存在しない場合は、prototype ファイルのエントリは次のような内容です。
e build /etc/randomtable ? ? ? |
また、パッケージオブジェクト /etc/randomtable は、次のような内容です。
!install # randomtable builder if [ -f $PKG_INSTALL_ROOT/etc/randomtable ]; then echo "/etc/randomtable is already in place."; else echo "# /etc/randomtable" > $PKG_INSTALL_ROOT/etc/randomtable echo "1121554 # first random number" >> $PKG_INSTALL_ROOT/etc/randomtable fi !remove # randomtable deconstructor if [ -f $PKG_INSTALL_ROOT/etc/randomtable ]; then # the file can be removed if it's unchanged if [ egrep "first random number" $PKG_INSTALL_ROOT/etc/randomtable ]; then rm $PKG_INSTALL_ROOT/etc/randomtable; fi fi |
build クラスを使用する別の例については、第 5 章パッケージ作成のケーススタディーを参照してください。
preserve クラスは、パッケージのインストール時に既存のファイルを上書きするべきかどうかを判定して、パッケージオブジェクトファイルを保持します。preserve クラススクリプトを使用する場合、2 つの可能なシナリオは次のとおりです。
インストールするファイルがターゲットディレクトリにまだ存在しない場合は、ファイルは正常にインストールされます。
インストールするファイルがターゲットディレクトリに存在する場合は、ファイルが存在することを示すメッセージが表示されて、ファイルはインストールされません。
どちらのシナリオの結果も、preserve スクリプトとしては成功と見なされます。失敗は、2 番目のシナリオでのみ発生し、ファイルをターゲットディレクトリにコピーできない場合です。
Solaris 7 リリース以降、i.preserve スクリプトおよびこのスクリプトのコピー i.CONFIG.prsv は、ほかのクラスアクションスクリプトとともに、/usr/sadm/install/scripts ディレクトリに置かれています。
保持するファイル名を含むには、スクリプトを変更します。
manifest クラスは、SMF マニフェストに関連する SMF (サービス管理機能) サービスを自動的にインストールおよびアンインストールします。SMF の詳細については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 16 章「サービスの管理 (概要)」で、SMF によるサービス管理の方法に関する情報を参照してください。
パッケージ内のすべてのサービスマニフェストは、クラス manifest によって識別されます。サービスマニフェストのインストールと削除を行うクラスアクションスクリプトは、パッケージ化サブシステムに含まれています。pkgadd(1M) が呼び出されると、サービスマニフェストがインポートされます。pkgrm(1M) が呼び出されると、無効になっているサービスマニフェスト内のインスタンスが削除されます。また、インスタンスが残っていないマニフェスト内のサービスもすべて削除されます。pkgadd(1M) または pkgrm(1M) に -R オプションを指定した場合、これらのサービスマニフェストアクションは、次にシステムが代替ルートパスでリブートしたときに実行されます。
次のパッケージ情報ファイルのコードの一部では、manifest クラスの使用が示されています。
# packaging files i pkginfo i copyright i depend i preinstall i postinstall i i.manifest i r.manifest # # source locations relative to the prototype file # d none var 0755 root sys d none var/svc 0755 root sys d none var/svc/manifest 0755 root sys d none var/svc/manifest/network 0755 root sys d none var/svc/manifest/network/rpc 0755 root sys f manifest var/svc/manifest/network/rpc/smserver.xml 0444 root sys