Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (インストールとアップグレードの計画)

第 2 章 Solaris インストールの新機能

この章では、Solaris インストールプログラムの新機能について説明します。Solaris OS のすべての機能の詳細は、『Oracle Solaris 10 9/10 の新機能』を参照してください。この章の内容は次のとおりです。

Oracle Solaris 9 10/10 リリースにおけるインストールの新機能

インストール用 DVD メディアのみ

Oracle Solaris 10 9/10 リリース以降では、インストール DVD のみ入手できます。Solaris SOFTWARE CD は提供されなくなりました。

Oracle Solaris 自動登録

自動登録とは

Oracle Solaris 自動登録は、Oracle Solaris 10 9/10 リリースの新機能です。システムをインストールまたはアップグレードすると、システムの構成データは、既存のサービスタグ技術によってリブート時に自動的にオラクル製品登録システムに伝達されます。システムに関するこのサービスタグデータは、オラクルの顧客向けサポートとサービスの向上などに役立てられます。サービスタグについては、http://wikis.sun.com/display/ServiceTag/Sun+Service+Tag+FAQ を参照してください。

この同じ構成データを使用して、システムのインベントリを作成および管理することができます。下の登録オプションのいずれかを使ってサポート資格情報に登録することで、システムおよびシステムにインストールされているソフトウェア製品のサービスタグを記録および追跡して、システムの目録を簡単に作成できます。登録されている製品を追跡する手順については、http://wikis.sun.com/display/SunInventory/Sun+Inventory を参照してください。

匿名で構成データをオラクル製品登録システムに送信することもできます。匿名での登録では、オラクルに送信される構成データは顧客の名前とリンクされません。自動登録は、無効にすることもできます。

自動登録を有効にする、または変更する方法

自動登録はデフォルトで有効になっています。次に示すように、自動登録では、x86 または SPARC のインストールもしくはアップグレードの実行時、またはその前後にユーザーが指定するサポート資格情報とプロキシ情報を使用します。

インストールまたはアップグレードの前または実行時

インストールまたはアップグレードのあと

インストール後に、権限が付与されたシステム管理者は、regadm コマンド行ユーティリティーを使用して、自動登録の管理およびサービスタグインベントリの管理ができます。regadm コマンドを使用して、次の作業を実行できます。

これらの作業はすべて、インストールまたはアップグレードの実行とは別に、regadm コマンドを使用して実行できます。詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 17 章「Oracle Solaris 自動登録コマンド regadm の操作 (手順)」を参照してください。

データがオラクルに送信されるタイミング

インストールまたはアップグレード後にシステムをリブートすると、SMF サービス svc:/application/autoreg によって、新しいまたは変更されたシステム構成データと登録データがオラクル製品登録システムに送信されます。

または、regadm register コマンドを使用してシステムを登録または登録情報を変更すると、データはすぐにオラクル製品登録システムに送信されます。

システムを一度登録すると、システム構成が変更されるたびに、変更された構成データが変更後のリブート時に自動的にオラクル製品登録システムに送信されます。

サポートされる構成

任意の x86 システムまたは SPARC システムおよびそのコンポーネント製品で、Oracle Solaris 10 9/10 リリースでインストールまたはアップグレードできるものは、自動登録がサポートされます。すべての Oracle Solaris インストール技術で、自動登録がサポートされます。自動登録は、WAN ブート、Oracle VM Server for SPARC、VirtualBox、ゾーンなどでサポートされます。


注 –

ゾーンの場合、自動登録データは大域ゾーンからのみオラクル製品登録システムに送信されます。


認証

オラクルでは、セキュリティー保護された、一方向のトランスポートシステムを使用してオラクル製品登録システムにアクセスします。登録された製品のサービスタグは、サービスタグレジストリから抽出されてから、セキュリティー保護された HTTPS (Hypertext Transfer Protocol Secure) 接続によって My Oracle Support にアップロードされます。通信はアウトバウンドで、顧客のシステムからのみ開始されます。クライアントで生成された情報は暗号化されます。

自動登録を無効にする方法

SPARC システムまたは x86 システムで自動登録を無効にし、オラクル製品登録システムにデータを送信しないようにするには、次のオプションがあります。

非対話式インストール

Solaris JumpStart プログラムを使用する場合など、非対話式のインストールまたはアップグレードを実行する場合は、次に示すように、インストールまたはアップグレードの前に自動登録を無効にできます。

  1. インストールまたはアップグレードを開始する前に、次に示すように、sysidcfg ファイルを編集して auto_reg キーワードをファイルに追加します。


    auto_reg=disable
  2. 非対話式のインストールまたはアップグレードを続けます。

  3. 省略可能: インストールが完了し、システムをリブートしたら、次に示すように、自動登録機能が無効になっていることを確認します。


    # regadm status
    Solaris Auto-Registration is currently disabled

対話式インストール

  1. 対話式のインストールまたはアップグレードを開始します。

  2. 対話式のインストールまたはアップグレードの実行時に、自動リブートを選択するように求められます。インストールまたはアップグレードのあとでは、自動的にリブートするオプションは選択しないでください。システムをリブートする前に自動登録を無効にする必要があります。

  3. インストールが完了したら、システムをリブートする前に、次に示すように端末ウィンドウを開きます。

    • GUI インストールの場合は、右クリックして端末ウィンドウを開きます。

    • テキストインストールの場合は、"!" を押して端末ウィンドウを開きます。

  4. コマンド行で、/a/var/tmp/autoreg_config ファイルを削除します。

  5. システムを再起動します。


    # reboot

Live Upgrade の場合

  1. Live Upgrade を実行する前に、テキストエディタを開いて、次の自動登録情報を含むファイルを作成します。


    autoreg=disable
  2. このファイルを保存します。

  3. 次に示すように、luupgrade コマンドを実行するときにこのファイルをポイントします。


    luupgrade -k /<path>/<filename>

詳細情報

自動登録についての詳細は、次のリソースを参照してください。

表 2–1 自動登録に関するドキュメント

質問 

リソース 

登録されている自分の製品のインベントリはどのように表示および管理しますか。 

『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 17 章「Oracle Solaris 自動登録コマンド regadm の操作 (手順)」

対話式インストールの実行時の自動登録はどのように設定しますか。 

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (基本編)』

非対話式インストールの自動登録を有効または無効にする sysidcfg ファイルはどのように設定しますか。

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (ネットワークインストール)』「auto_reg キーワード」

Live Upgrade で使用する自動登録はどのように設定しますか。 

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』

インストールまたはアップグレードとは別に自動登録を変更するまたは有効にする regadm コマンドはどのように使用しますか。

『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 17 章「Oracle Solaris 自動登録コマンド regadm の操作 (手順)」

My Oracle Support に関する詳細情報はどこにありますか。 

My Oracle Support FAQ (Sun ご利用のお客様およびパートナー様対象)

Sun Online Support の取得に関する情報はどこにありますか。 

Create a Sun Online Account

障害回復イメージ

Oracle Solaris 10 9/10 リリース以降では、『『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)』』 に、システムを「出荷時の」状態に復元するために使用できるフラッシュアーカイブ回復イメージを作成する方法に関する手順が記載されるようになりました。『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)』の第 5 章「障害回復イメージの作成と使用」を参照してください。この章では、障害が発生したディスクドライブから回復させるためにターゲットシステムにロードできるフラッシュアーカイブ (FLAR) イメージを作成するための、もっとも簡単な手順について説明します。

Solaris 10 10/09 リリースにおけるインストールの新機能

ZFS インストールおよびフラッシュインストールのサポート

Solaris 10 10/09 リリース以降では、JumpStart プロファイルを設定して、ZFS ルートプールのフラッシュアーカイブを特定できます。

フラッシュアーカイブは、UFS ルートファイルシステムまたは ZFS ルートファイルシステムを実行しているシステムで作成できます。ZFS ルートプールのフラッシュアーカイブには、スワップボリュームとダンプボリュームおよび任意の除外されたデータセットを除く、プール階層全体が含まれます。スワップボリュームとダンプボリュームは、フラッシュアーカイブのインストール時に作成されます。

フラッシュアーカイブによるインストール方法は次のとおりです。

詳細と制限事項については、『Oracle Solaris ZFS 管理ガイド』「ZFS ルートファイルシステムのインストール (Oracle Solaris フラッシュアーカイブインストール)」を参照してください。

Solaris OS のインストール時およびブート時における 2T バイトディスクのサポート

Solaris のこれまでのリリースでは、1T バイトより大きいサイズのディスクに Solaris OS をインストールしてブートすることはできませんでした。Solaris 10 10/09 リリース以降では、最大 2T バイトのサイズのディスクに Solaris OS をインストールしてブートできます。

Solaris 10 10/09 リリース以降では、どのようなサイズのディスクでも VTOC ラベルを使用できますが、VTOC によるアドレス割り当てが可能な空間は 2T バイトに制限されています。この機能により、2T バイトより大きなディスクをブートドライブとして使用できますが、ラベルから使用できる空間は 2T バイトに制限されます。


注 –

この機能は、64 ビットカーネルを実行しているシステムでのみ使用できます。x86 ベースのシステムには、最低 1G バイトのメモリーが必要です。


詳細については、『System Administration Guide: Devices and File Systems』「Two-Terabyte Disk Support for Installing and Booting the Solaris OS」を参照してください。

より高速なインストール

Solaris 10 10/09 リリース以降では、SVR4 パッケージのコマンドがより高速に実行されます。この拡張によって、初期インストール、アップグレード、Live Upgrade、ゾーンインストールなどの、Solaris のインストールテクノロジの実行速度が大幅に向上します。

ゾーンパラレルパッチングによるパッチ適用時間の削減

Solaris 10 10/09 リリース以降では、ゾーンパラレルパッチングによって、標準のSolaris 10 パッチユーティリティーが拡張されています。この機能は、非大域ゾーンにも並行してパッチを適用することで、ゾーンパッチングのパフォーマンスを向上します。

Solaris 10 10/09 リリースより前のリリースでは、この機能は次のパッチユーティリティーへのパッチとして提供されています。


注 –

これまでと同様に、大域ゾーンには非大域ゾーンよりも先にパッチが適用されます。


詳細については、次のドキュメントを参照してください。

Solaris 10 10/08 リリースにおけるインストールの新機能

ZFS ルートファイルシステムのインストール

Solaris 10 10/08 以降のリリースでは、ZFS ルートファイルシステムをインストールおよびブートできるようになりました。

ZFS ルートプールの初期インストールを実行するインストールプログラムは、次のとおりです。

Solaris Live Upgrade を使用して、次の作業を実行できます。

lucreate コマンドを使って ZFS ブート環境を作成したあと、そのブート環境で、luupgradeluactivate コマンドなどほかの Solaris Live Upgrade コマンドを使用できます。ZFS で Solaris Live Upgrade を使用する方法の詳細については、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の第 11 章「Solaris Live Upgrade と ZFS (概要)」を参照してください。

インストールメディアの構造変更

Solaris 10 10/08 以降のリリースでは、SPARC プラットフォーム向けの Solaris Operating System DVD と Solaris SOFTWARE - 1 CD の構造が変更され、スライス 0 はディレクトリ構造の最上位ではなくなりました。この結果、x86 と SPARC で DVD および Solaris SOFTWARE - 1 CD の構造が同じになりました。この構造変更により、SPARC インストールサーバーと x86 メディアなど、プラットフォームが混在している場合のインストールサーバーの設定が容易になります。インストールサーバーの設定手順については、次の箇所を参照してください。

Solaris 10 8/07 リリースにおけるインストールの新機能

非大域ゾーンがインストールされている Solaris OS のアップグレード

Solaris 10 8/07 以降のリリースでは、以前のリリースにあった、非大域ゾーンがインストールされているシステムでの Solaris OS のアップグレードの制限事項が、ほとんど解消されています。


注 –

アップグレードに対する唯一の制限は、Solaris フラッシュアーカイブに関するものです。Solaris フラッシュアーカイブを使ってインストールを行う場合は、非大域ゾーンが含まれているアーカイブがシステムに正しくインストールされません。


非大域ゾーンがインストールされているシステムに対応するための変更を次にまとめます。

非大域ゾーンがインストールされているシステムをアップグレードする手順または Solaris ゾーン区分技術に関する情報については、次の参照先を参照してください。

説明 

詳細 

非大域ゾーンが含まれるシステムにおける Solaris Live Upgrade によるアップグレード 

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の第 8 章「非大域ゾーンがインストールされているシステムにおける Solaris OS のアップグレード」

非大域ゾーンの作成と使用 

『Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris コンテナ : 資源管理と Oracle Solaris ゾーン)』

JumpStart によるアップグレード 

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (カスタム JumpStart/上級編)』

Solaris 対話式インストール GUI によるアップグレード 

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (基本編)』

新しい sysidkdb ツールによってキーボードの設定が不要になる

この機能は、次のリリースで新たに加わりました。

sysidkdb ツールは、USB 言語とそれに対応するキー配列を設定します。

次の手順で行われます。

SPARC: 以前は、USB キーボードのインストール時の自己識別値を 1 としていました。そのため、自己識別型でないキーボードはすべて、インストール時に必ず米国英語 (U.S. English) キー配列に設定されていました。


注 –

PS/2 キーボードは自己識別型ではありません。インストール時にキー配列を選択するように求められます。


JumpStart プログラムの使用時にプロンプトが表示されないようにする

キーボードが自己識別型でない場合に、JumpStart インストール時にプロンプトが表示されないようにするには、sysidcfg ファイルでキーボードの言語を選択します。JumpStart インストールの場合、デフォルトは米国英語 (U.S. English) 用です。別の言語とそれに対応するキー配列を選択するには、sysidcfg ファイルでキーボードのキーワードを設定します。

詳細は、次のいずれかを参照してください。

インストール時に設定可能な NFSv4 ドメイン名

Solaris 10 8/07 以降のリリースでは、Solaris OS のインストール時に NFS バージョン 4 のドメインを定義できるようになりました。以前は、インストール後に初めてシステムを再起動した際に NFS ドメイン名を定義していました。

この新しい機能は、インストールに次のような影響を及ぼします。

Solaris 10 11/06 リリースにおけるインストールの新機能

制限されたネットワークプロファイルを使用したセキュリティー拡張

Solaris 10 11/06 以降のリリースでは、インストール時に、ネットワークサービスのデフォルト動作を設定できるようになりました。これにより、ネットワークサービスのデフォルト動作が大幅にセキュリティー強化されます。対話式インストール (ハンズオン) の実行時、インストール構成の選択画面にこの新しいセキュリティーオプションが表示されます。自動化された JumpStart インストール (ハンズオフ) の場合、sysidcfg ファイル内で新しい service_profile キーワードを使用することで、制限されたネットワークプロファイルを選択できます。このセキュリティーオプションを使用できるのは、初期インストールを実行するときだけです。アップグレードでは、以前に設定したサービスが保持されます。ただし netservices コマンドを使用すれば、必要に応じてアップグレード後にネットワークサービスを制限することができます。

ネットワークのセキュリティーを制限する場合、多数のサービスが完全に無効になります。その他のサービスは引き続き有効ですが、ローカル接続のみに制限されます。Secure Shell は、引き続きシステムへのリモート管理アクセスに使用できます。

この制限されたネットワークプロファイルを使用すると、インターネットや LAN 上で公開されるリスクを減らすことができます。グラフィカルデスクトップの使用とアウトバウンドのネットワークアクセスは維持されます。たとえば、グラフィカルインタフェースへのアクセス、ブラウザや電子メールクライアントの使用、NFSv4 ファイル共有のマウントなどは引き続き可能です。

ネットワークサービスは、netservices open コマンドを使用するか、SMF コマンドを使用して個別にサービスを有効にする方法で、インストール後に有効にすることができます。「インストール後のセキュリティー設定の修正」を参照してください。

このセキュリティーオプションの追加情報については、次の資料を参照してください。

表 2–2 制限されたネットワークプロファイルの追加情報

説明 

詳細 

ネットワークサービスのセキュリティーを管理する 

『Solaris のシステム管理 (基本編)』「SMF プロファイルを作成する方法」

インストール後にネットワークサービスを使用可能に戻す 

「インストール後のセキュリティー設定の修正」

インストール構成を計画する 

「ネットワークセキュリティーの計画」

対話式インストールで制限付きネットワークセキュリティーを選択する 

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (基本編)』の第 2 章「Solaris インストールプログラムによる UFS ファイルシステムのインストール (作業)」

JumpStart インストールで制限されたネットワークセキュリティーを設定する 

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (ネットワークインストール)』「service_profile キーワード」

Solaris Trusted Extensions のインストール

Solaris 10 11/06 以降のリリースでは、Solaris Trusted Extensions は Solaris OS 用の複数レベルのセキュリティーを提供します。この機能を使用すると、柔軟でありながら安全性の高い方法で情報を制御できます。データへのアクセスを、データの所有権だけではなくデータの機密性に基づいて厳密に制御できるようになりました。

Solaris Trusted Extensions のインストールは、標準のインストールとは異なります。これらのインストールの相違点のリストおよび Solaris Trusted Extensions の詳細は、『Solaris Trusted Extensions インストールと構成 (Solaris 10 11/06 および Solaris 10 8/07 リリース版)』「Trusted Extensions 用 Solaris OS のインストールまたはアップグレード」を参照してください。

Solaris フラッシュを使用した大規模なファイルを含むアーカイブの作成

flarcreate コマンドから、個別のファイルに対するサイズ制限がなくなりました。各ファイルのサイズが 4G バイトを超えていても Solaris フラッシュ アーカイブを作成できます。次の 2 つのアーカイブユーティリティーを使用できます。

詳細については、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)』「大規模なファイルを含むアーカイブの作成」を参照してください。

Solaris 10 1/06 リリースにおける Solaris インストールの新機能

この節では、Solaris 10 1/06 リリースの次のような新しいインストール機能について説明します。

非大域ゾーンがインストールされている Solaris OS のアップグレード

Solaris ゾーン区分技術には、1 つの Solaris インスタンス、つまり大域ゾーンに、複数の非大域ゾーンを設定する機能があります。非大域ゾーンは、アプリケーションプロセスがほかのゾーンから隔離して実行される環境です。Solaris 10 1/06 以降のリリースでは、非大域ゾーンがインストールされたシステムが稼働している場合は、標準の Solaris アップグレードプログラムを使用してアップグレードできます。Solaris の対話式インストールプログラムまたはカスタム JumpStart を使用して、アップグレードすることができます。非大域ゾーンがインストールされている場合のアップグレードには、若干の制限があります。

Solaris 対話式インストールプログラムの使用方法の詳細は、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (基本編)』を参照してください。

x86: GRUB ベースのブート

Solaris 10 1/06 以降のリリースでは、オープンソースの GNU GRand Unified Boot Loader (GRUB) が x86 ベースのシステムの Solaris OS に採用されています。GRUB は、ブートアーカイブをシステムのメモリーに読み込むソフトウェアです。ブートアーカイブは、システムの起動中にルート (/) ファイルシステムがマウントされる前に必要な、重要なファイルの集まりです。ブートアーカイブは、Solaris OS のブートに使用されます。

もっとも注目すべき変更点は、Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) が GRUB メニューに置き換えられたことです。GRUB メニューにより、システムにインストールされているさまざまなオペレーティングシステムのブートが容易になります。GRUB メニューは、x86 システムをブートするときに表示されます。GRUB メニューから、矢印キーを使用してブートする OS インスタンスを選択できます。選択しない場合は、デフォルトの OS インスタンスがブートされます。

GRUB ベースのブート機能では、次の点が改善されています。

GRUB の詳細については、以降の節を参照してください。

作業 

GRUB の作業 

参照先 

インストール 

GRUB ベースのブートの概要 

「x86: GRUB ベースのブート (概要)」

GRUB ベースのブートのインストール計画 

「x86: GRUB ベースのブート (計画)」

GRUB メニューを使用してネットワーク経由でブートおよびインストールを行う方法 

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (ネットワークインストール)』「DVD イメージを使用したネットワークからのシステムのインストール」

GRUB メニューとカスタム JumpStart インストール方式を使用してブートおよびインストールを行う方法 

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (カスタム JumpStart/上級編)』「カスタム JumpStart インストールの実行」

GRUB メニューと Solaris Live Upgrade を使用してブート環境のアクティブにし、フォールバックする方法  

GRUB メニューの menu.lst ファイルの検出

『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 13 章「Oracle Solaris ブートアーカイブの管理 (手順)」

システム管理 

GRUB メニューを使用してシステム管理作業を行う方法 


注 –

GNU は、「GNU's Not UNIX」の再帰的頭字語です。詳細については、http://www.gnu.org を参照してください。


Solaris リリースのアップグレードサポートの変更

Solaris 10 1/06 以降のリリースは、Solaris 8、9、または 10 リリースからアップグレード可能です。Solaris 7 リリースからのアップグレードはサポートされません。

Solaris 10 3/05 リリースにおける Solaris インストールの新機能

この節では、Solaris 10 3/05 リリースの次のような新しいインストール機能について説明します。

インストール手順の統一を含めた Solaris インストールの変更

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris OS のインストールにいくつかの変更が加えられ、より簡単で統一された方法でインストールできます。

変更内容は次のとおりです。


注 –

GUI またはコンソールを使用しない Solaris カスタム JumpStart インストール方式には変更はありません。


OS をインストールするには、Solaris Software - 1 CD または Solaris Operating System DVD を挿入してから、次のいずれかのコマンドを入力します。

新しい text ブートオプションのある CD または DVD メディアを使用して Solaris OS をインストールする方法について

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (基本編)』

CD メディアによるインストールサーバーの設定方法の変更について 

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (ネットワークインストール)』

GUI インストールまたはコンソールベースのインストールを利用する

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、ソフトウェアのインストールに GUI を使用するか、ウィンドウ表示環境を使用するか、またはウィンドウ表示環境を使用しないかを選択できます。十分なメモリーがある場合は、デフォルトで GUI が表示されます。メモリー不足により GUI を表示できない場合はデフォルトで別の環境が表示されます。ブートオプション nowin または text を使用すると、デフォルト動作を変更できます。ただし、システムのメモリー量による制限や、リモートでインストールする場合の制限があります。また、Solaris インストールプログラムがビデオアダプタを検出できなかった場合、プログラムは自動的にコンソールベースの環境で表示されます。

具体的なメモリー要件については、「システム要件と推奨事項」を参照してください。

カスタム JumpStart インストールのパッケージとパッチの機能拡張

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、カスタム JumpStart インストール方式を使用して Solaris OS をインストールおよびアップグレードした場合、新しくカスタマイズすることで次のことが可能になります。

詳細は、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (カスタム JumpStart/上級編)』を参照してください。

インストール時に複数のネットワークインタフェースを構成する

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris インストールプログラムを使用してインストール時に複数のインタフェースを構成できます。これらのインタフェースは、システムの sysidcfg ファイルに事前に構成できます。また、インストール時に構成することもできます。詳細については、次のドキュメントを参照してください。

SPARC: 64 ビットパッケージの変更

以前の Solaris リリースでは、Solaris ソフトウェアの 32 ビットコンポーネントと 64 ビットコンポーネントが、個別のパッケージとして配布されていました。Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、パッケージが簡略化され、32 ビットコンポーネントと 64 ビットコンポーネントのほとんどが 1 つのパッケージで配布されています。この統合されたパッケージには元の 32 ビットパッケージの名前が使用され、64 ビットパッケージは配布されなくなりました。

64 ビットパッケージがなくなったことで、インストールが簡素化され、パフォーマンスも向上します。

64 ビットパッケージの名前は、次の規則に基づいて変更されます。

この変更により、64 ビットパッケージへの参照を削除するために、カスタム JumpStart スクリプトなどのパッケージインストールスクリプトの修正が必要になる場合があります。

カスタム JumpStart インストール方式による新しいブート環境の作成

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris オペレーティングシステムをインストールする場合に、JumpStart インストール方式を使用して空のブート環境を作成できます。空のブート環境には、必要なときに備えて Solaris フラッシュアーカイブを格納しておくことができます。

詳細は、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (カスタム JumpStart/上級編)』の第 8 章「カスタム JumpStart (リファレンス)」を参照してください。

限定ネットワークソフトウェアグループ

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、インストール時に限定ネットワークソフトウェアグループ (SUNWCrnet) を選択または指定することにより、有効なネットワークサービスが少なくても、よりセキュリティー保護されたシステムを構築できます。限定ネットワークソフトウェアグループでは、システム管理ユーティリティーとマルチユーザーのテキストベースコンソールが利用できます。SUNWCrnet は、ネットワークインタフェースを有効にします。インストール時に、ソフトウェアパッケージを追加したり、必要に応じてネットワークサービスを使用可能にすることによって、システムの構成をカスタマイズすることができます。

詳細は、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (カスタム JumpStart/上級編)』を参照してください。

Virtual Table of Contents を使用してディスクパーティションテーブルを変更する

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris インストールプログラムにより、Virtual Table of Contents (VTOC) から既存のスライスをロードできます。インストーラのデフォルトのディスクレイアウトを使用するのではなく、インストール時にシステムの既存のディスクスライステーブルをそのまま使用できるようになりました。

x86: デフォルトブートディスクパーティションレイアウトの変更

Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris インストールプログラムの新機能として、ブートディスクパーティションレイアウトが採用されています。ブートディスクパーティションのデフォルトのレイアウトは、Sun x86 ベースのシステムのサービスパーティションと調和します。このインストールプログラムを使用すれば、既存のサービスパーティションをそのまま使用できます。

デフォルトのブートディスクレイアウトには、次のパーティションが含まれます。

このデフォルトのレイアウトを使用する場合は、Solaris インストールプログラムからブートディスクレイアウトの選択を要求されたときに、「デフォルト」を選択します。


注 –

サービスパーティションが現在作成されていないシステムに Solaris OS x86 ベースのシステムをインストールすると、Solaris インストールプログラムは新しいサービスパーティションを作成しません。このシステムにサービスパーティションを作成するには、最初にシステムの診断 CD を使用してサービスパーティションを作成してください。サービスパーティションを作成してから、Solaris オペレーティングシステムをインストールします。

サービスパーティションの作成方法については、お手元のハードウェアのマニュアルを参照してください。


詳細は、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (カスタム JumpStart/上級編)』を参照してください。