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Sun ONE Web Server 6.1 管理者ガイド

第 7 章
サーバークラスタの管理

この章では、Sun ONE Web Server のクラスタ化の概念、およびそれを使用してサーバー間で設定を共有する方法について説明します。

この章には、次の内容が記述されています。


クラスタについて

クラスタとは、1 つの管理サーバーから管理することができる、複数の Sun ONE Web Server で構成されたグループのことです。各クラスタには、管理サーバーとして指定された 1 つのサーバーを組み込む必要があります。複数のクラスタを使用している場合、1 つの「マスター」管理サーバーから、すべてのクラスタを管理できます。このマスター管理サーバーは、クラスタに関するすべての情報を取得して、クラスタを構成する Sun ONE Web Server を管理するためのインタフェースを提供します。

サーバーをクラスタ構成にすると、次のようなタスクを実行できるようになります。

Sun ONE Web Server をクラスタ化することで、マスター管理サーバーを指定して、すべてのクラスタを管理することができます。


個々のサーバーは、ネットワーク内の任意のコンピュータにインストールできますが、「マスター」として指定する管理サーバーは、クラスタを構成するすべてのサーバーの情報を持っており、クラスタ内のすべての管理サーバーにアクセスできるように設定する必要があります。



サーバークラスタの使用に関するガイドライン

クラスタを設定する際、すべてのクラスタの情報を持つマスター管理サーバーは、クラスタの各管理サーバーと通信します。クラスタの各管理サーバーには、マスター管理サーバーと同じ管理ユーザー名とパスワードを登録しておく必要があります。

クラスタを設定する場合は、事前にそのクラスタに含めるすべてのサーバーへのインストールを完了しておく必要があります。たとえば、1 クラスタあたり 5 つの Sun ONE Web Server を組み込んだ、合計 3 つのクラスタを設置する場合、次の手順を行います。

  1. コンピュータにすべてのサーバーをインストールし、各サーバーが、マスター管理サーバーと同じ管理ユーザー名とパスワードを使用して実行できるように設定します。
  2. 各クラスタに、1 つの Sun ONE Web Server を管理サーバーとして設定します。
  3. クラスタに含まれる管理サーバーのうち 1 つを選択し、すべてのクラスタに対するマスター管理サーバーとして設定します。マスター管理サーバーとして選択するのは、どの管理サーバーでもかまいません。

    警告

    クラスタは、同じプラットフォームのものでなければなりません。クラスタ内のすべてのサーバーは、UNIX または Windows のいずれかで統一されていなければなりません。同一のクラスタの中に UNIX と Windows のサーバーが混在していると、ハングアップやクラッシュを引き起こす可能性があります。


次に、サーバーのグループで複数のクラスタを構成する際のガイドラインを示します。


クラスタの設定

Sun ONE Web Server のクラスタを設定するには、次の手順を実行します。

  1. Sun ONE Web Server を、クラスタに含めるすべてのコンピュータにインストールします。
  2. 各クラスタの管理サーバーが、マスター管理サーバーが認証に使用できるユーザ名とパスワードを持っていることを確認します。これを行うには、デフォルトのユーザ名とパスワードを使用するか、または分散管理を設定します。

  3. マスター管理サーバーに使用するサーバーをインストールします。ユーザ名とパスワードが、手順 1 で設定したものと一致していることを確認します。
  4. サーバーをクラスタリストに追加します。
  5. リモートサーバーの管理は、クラスタフォームから「Server Manager」フォームにアクセスするか、または、同じクラスタ内のサーバーの設定ファイルを別のサーバーにコピーして行います。

  6. リモートサーバーの設定を変更したら、リモートサーバーを再起動します。



クラスタへのサーバーの追加

クラスタにサーバーを追加する際は、そのクラスタを管理している管理サーバーとポート番号を指定します。追加する管理サーバーが複数のサーバー情報を持っている場合、すべてのサーバーが、そのクラスタに追加されます。個々のサーバーは、後から削除することができます。


リモート管理サーバーがクラスタの情報を持っている場合、このリモートクラスタの中のサーバーは追加されません。マスター管理サーバーに追加するサーバーは、リモートコンピュータに物理的にインストールされているサーバーだけです。


クラスタにリモートサーバーを追加するには、次の手順を実行します。

  1. マスター管理サーバーが起動していることを確認します。
  2. マスター管理サーバーにアクセスして、「Cluster Mgmt」タブを選択します。
  3. 「Add Server」リンクをクリックします。
  4. リモート管理サーバーが使用するプロトコルを選択します。
    • http (通常の管理サーバーの場合)
    • https (セキュリティ保護された管理サーバーの場合)
  5. 「Admin Server Hostname」フィールドに、リモートサーバーの magnus.conf ファイルに表示されているように、絶対パスによるドメイン名を入力します。
  6. その例を次に示します。plaza.sun.com

  7. リモート管理サーバーのポート番号を入力します。
  8. 「OK」をクリックします。
  9. これで、マスター管理サーバーは、リモートサーバーへの通信を試みます。この処理には、2、3 分かかります。その後、サーバーがクラスタに追加されたという確認メッセージが表示されます。

  10. 「OK」をクリックします。

    異なるコンピュータに組み込んでいる複数のサーバーで、同じ識別子を使用している場合は、各コンピュータのサーバー識別子とホスト名が表示されます。サーバー識別子とホスト名が両方とも同じサーバーが存在する場合には、ポート番号も表示されます。



  11. クラスタ制御を有効にすると、クラスタのマスターがクラスタ内のスレーブごとに、https-server-instance/config/cluster/server-name/https-server-name/ ディレクトリ内に多数のファイルを作成します。これらのファイルが作成される場所は変更できません。



サーバー情報の変更

「Modify Server」オプションは、スレーブサーバー上で、スレーブ管理ポート情報が変更されたあと、その情報を更新するときだけに使用します。クラスタ内のリモート管理サーバーのポート番号を変更したときは、そのクラスタに格納されている管理サーバーの情報も変更する必要があります。スレーブ管理サーバーに対するその他の変更の場合は、一旦そのサーバーを削除し、変更が終わったら、元のようにクラスタに追加する必要があります。

リモート管理サーバーは、マスタークラスタデータベースが変更されても、関連のファイルが Cluster Control を経由して転送されていない限り、影響を受けません。

クラスタ内のサーバーに関する情報を変更するには、次の手順を実行します。

  1. マスター管理サーバーにアクセスして、「Cluster Mgmt」タブを選択します。
  2. 「Modify Server」リンクをクリックします。
  3. 一意のサーバー識別子で識別された、すべてのサーバーが表示されます。

  4. 次のどちらかで、変更するサーバーを 1 つまたは複数選択します。
    • 特定のサーバーにチェックマークを付ける
    • 「Select All」を選択する
    • すべての選択を元に戻すときは「Reset」をクリックします。

  5. 新しいポート番号を入力します。
  6. 「OK」をクリックします。


クラスタからのサーバーの削除

クラスタからサーバーを削除するには、次の手順を実行します。

  1. マスター管理サーバーにアクセスして、「Cluster Mgmt」タブを選択します。
  2. 「Remove Server」リンクをクリックします。
  3. 次のどちらかで、削除するリモートサーバーを 1 つまたは複数選択します。
    • 特定のサーバーにチェックマークを付ける
    • 「Select All」を選択する
    • 選択を元に戻すときは「Reset Selection」をクリックします。

  4. 「OK」をクリックします。

サーバーがクラスタから削除されることを確認するメッセージが表示されます。削除したサーバーには、そのクラスタからはもうアクセスできません。アクセスできるのは、そのサーバーの管理サーバーからのみとなります。


サーバークラスタの制御

Sun ONE Web Server 6.1 を使用すると、クラスタ内のリモートサーバーを、次のように制御することができます。

クラスタ内のサーバーを制御するには、次の手順を実行します。

  1. マスター管理サーバーのサーバーマネージャにアクセスして、「Cluster Mgmt」タブを選択します。
  2. 「Cluster Control」リンクをクリックします。
  3. 次のいずれかにより、制御するサーバーを、1 つまたは複数、選択します。
    • 特定のサーバーにチェックマークを付ける
    • 「Select All」を選択し、そのクラスタ内のサーバーをすべて選択する
    • 選択を元に戻すときは「Reset Selection」をクリックします。

  4. ドロップダウンメニューから、「Start remote servers」または「Stop remote servers」を選択します。
  5. ドロップダウンメニューから、「View Access log records」または「View Error log records」を選択し、表示したい行の番号を入力します。
  6. 設定ファイルを転送するには、次のいずれかを行います。
    1. ドロップダウンメニューから、転送する設定ファイルを選択します。
    2. ドロップダウンメニューから、設定ファイルの転送元であるサーバーを選択します。
    3. 「Transfer」をクリックします。


変数の追加

変数は、クラスタ内のサーバーに複数の異なる値を設定する必要がある場合に使用されます。この値は、異なるポート番号を使用してスレーブを定義するためのマクロであったり、異なる shlib パスを定義するためのプラグインであったりします。

変数の追加は、マスタークラスタデータベースにのみ影響します。関連ファイルが Cluster Control 経由で転送されている場合を除き、リモート管理サーバーは影響を受けません。変数が定義されると、管理サーバーは独立して稼動することができなくなります。

クラスタ内のリモートサーバーに変数を追加するには、次の手順を実行します。

  1. マスター管理サーバーから、「Cluster Mgmt」タブを選択します。
  2. 「Add Variables」リンクをクリックします。
  3. 変数を追加したい特定のサーバーにチェックマークを付けます。
  4. 「Name」フィールドに、追加する変数のタイプを入力します。
  5. たとえば、「Port」と入力します。

  6. 「Value」フィールドに、追加する値を入力します。
  7. たとえば、「Name」フィールドに「Port」と入力した場合、この値はポート番号となります。

  8. 「OK」をクリックします。
  9. サーバー変数が追加されたという確認メッセージが表示されます。

  10. 「OK」をクリックします。

この変数は、スレーブに転送するサーバーの設定ファイルにも追加する必要があります。たとえば、変数 port を転送する場合、サーバー設定ファイル (たとえば server.xml) 内にこの変数を次のように宣言する必要があります。

<SERVER legacyls="ls1" qosactive="no" qosmetricsinterval="30" qosrecomputeinterval="100">

...

<LS id="ls1" ip="0.0.0.0" port="$port" security="off" acceptorthreads="1" blocking="no">

...

</SERVER>

設定ファイルで、各スレーブに対して異なる値を持つ複数の変数を設定することができます。一旦追加した変数は、「Add Variables」ページでドロップダウンの「Option」リストを使用して、編集したり削除したりできます。



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