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Sun ONE Web Server 6.1 管理者ガイド

第 19 章
WebDAV による Web パブリッシング

Sun ONE Web Server 6.1 は、Web ベースの共同作業の標準として広く採用されている WebDAV (Web-based Distributed Authoring and Versioning) をサポートしています。WebDAV は HTTP/1.1 プロトコルの拡張で、クライアントがリモート Web コンテンツのオーサリング操作を行えます。

この章では、Sun ONE Web Server 6.1 で WebDAV を使用する方法について説明します。次の項目に分けて記述しています。


WebDAV について

WebDAV は HTTP/1.1 プロトコルの拡張です。HTML や XML だけでなく、テキスト、グラフィックス、スプレッドシートなど、あらゆる形式の Web リソースに対応するための、新しい HTTP メソッドとヘッダーを追加します。

WebDAV を使用することで、次のようなタスクを実行できます。

Sun ONE Web Server 6.1 では、WebDAV は次の機能を提供します。


一般的な WebDAV 用語

ここでは、WebDAV の利用時に目にすることが多い一般的な用語について説明します。

URI: URI (Uniform Resource Identifier) は、短縮 URL によるセキュリティレイヤを追加したファイル識別子です。URL の先頭部分を URL マッピングに置き換えて、ファイルの完全な物理パス名をユーザーから隠す。

ソース URI : ソース URI は、リソースのソースがアクセスできる URI を意味します。ソース URI の概念を理解するために、次の例を考えてください。

foo.jsp という JSP ページが /docs/date.jsp という URI にあります。このページには、HTML マークアップと、実行時にクライアントのブラウザにその日の日付を出力する Java コードが含まれています。サーバーがクライアントから foo.jsp に対する GET 要求を受け取ると、サーバーはそのページを配信する前に Java コードを実行します。クライアントが受け取るのはサーバー上にある foo.jsp ではなく、現在の日付を含むダイナミックに生成されたページです。

たとえば、/publish/docs というソース URI を作成し、foo.jsp ページを含む /docs ディレクトリにそれをマッピングした場合、/publish/docs/foo.jsp への要求は、/docs/foo.jsp JSP ページのソースコードに対する要求となります。この場合、サーバーは Java コードを実行せずにページを配信します。クライアントは、ディスクに格納されている未処理のページを受け取ります。

このため、ソース URI に対する要求は、リソースのソースに対する要求となります。

コレクション : WebDAV は、WebDAV 操作が有効なリソースまたはリソースセットの集合です。コレクションには、WebDAV が有効なメンバーリソースを識別する URI (メンバー URL) のセットが含まれます。

メンバー URI : コレクションに含まれる URI セットのメンバーである URI です。

内部メンバー URI : コレクションに含まれる URI と直接的な関係を持つメンバー URI です。たとえば、http://info.sun.com/resources/info という URL のリソースが WebDAV に対応しており、http://info.sun.com/resources/ という URL のリソースも WebDAV に対応している場合、http://info.sun.com/resources/ という URL のリソースはコレクションであり、内部メンバーとして http://info.sun.com/resources/info を含みます。

プロパティ : リソースを説明する情報を含む、名前と値のペアです。プロパティは、リソースの効率的な検索と管理に使用されます。たとえば、「creationdate」プロパティを使用して、リソースの作成日ですべてのリソースにインデックスを作成したり、「author」プロパティを使用して、作成者のインデックスを作成することができます。

ライブプロパティ : サーバーによって実行されるプロパティです。たとえば、ライブプロパティ getcontentlength は、GET 要求の応答として返されるエンティティの長さを値として持ちます。この長さは、サーバーによって自動的に計算されます。ライブプロパティには次の種類があります。

デッドプロパティ : サーバーによって実行されないプロパティです。サーバーはデッドプロパティの値を記録するだけなので、整合性の維持はクライアント側で行う必要があります。

Sun ONE Web Server 6.1 は、次のライブプロパティをサポートしています。

ロック : リソースをロックすることで、他のユーザーがリソースを編集中に別のユーザーがそのリソースを変更することを防止するメカニズムが提供されます。ロックは上書きの競合を防止し、更新が失われる問題を解決します。

Sun ONE Web Server は、共有ロックと排他ロックの 2 種類のロックをサポートしています。

新しい HTTP ヘッダー : WebDAV は、HTTP/1.1 プロトコルの拡張として機能します。この拡張は、クライアントが WebDAV リソースの要求を通信するための新しい HTTP ヘッダーを定義します。次のヘッダーが含まれます。

新しい HTTP メソッド : WebDAV には、WebDAV が有効なサーバーに要求の処理方法を指示するための、いくつかの新しい HTTP メソッドがあります。これらのメソッドは、GETPUTDELETE などの既存の HTTP メソッドに加えて使用され、WebDAV トランザクションを処理します。次に、新しい HTTP メソッドについて簡単に説明します。


WebDAV の使用

完全な WebDAV トランザクションには、WebDAV リソースに対する要求を処理するサーバーとして、Sun ONE Web Server 6.1 などの WebDAV 対応サーバーと、Web パブリッシング要求をサポートする WebDAV 対応クライアント (Adobe の GoLive、Macromedia の DreamWeaver など) が必要です。

サーバー側では、WebDAV 要求を処理できるように Sun ONE Web Server 6.1 を有効にし、設定する必要があります。

WebDAV を使用できるように Sun ONE Web Server 6.1 を設定するには、次の手順を実行する必要があります。


WebDAV の有効化

Sun ONE Web Server 6.1 のインストール時に、WebDAV はデフォルトでは無効に設定されています。

コレクションレベルで WebDAV を有効にする場合は、サーバーレベルと仮想サーバークラスレベルでも WebDAV を有効にする必要があります。


コレクションレベルで指定した属性は、仮想サーバーレベルで指定された属性に優先して適用されます。


次に、WebDAV を有効にする各レベルについて説明します。

サーバーインスタンスレベルでの WebDAV の有効化

管理サーバーを使用して、サーバー全体で WebDAV を有効にすることができます。この場合は、WebDAV プラグインをロードする次の指令が magnus.conf ファイルに追加されます。

Init fn="load-modules" shlib="/s1ws6.1/lib/libdavplugin.so" funcs="init-dav,ntrans-dav,pcheck-dav,service-dav"

shlib_flags="(global|now)"

Init fn="init-dav" LateInit=yes

Init 関数 init-dav は、WebDAV サブシステムを初期化して登録します。

WebDAV をグローバルに有効にするには、次の手順を実行します。

  1. WebDAV を有効にするサーバーのサーバーマネージャを開きます。
  2. 「Preferences」タブの「Enable/Disable WebDAV」リンクをクリックします。
  3. 「Enable WebDAV Globally」チェックボックスを選択します。
  4. インスタンスレベルでの WebDAV の有効化
    サーバーインスタンスページの「Enable/Disable WebDAV」を示す図

  5. 「Apply」をクリックします。
  6. 「Apply Changes」ボタンをクリックしてサーバーを再起動します。
  7. または

    「Load Configuration Files」をクリックして変更をダイナミックに適用します。

仮想サーバークラスレベルでの WebDAV の有効化

特定の仮想サーバークラスで WebDAV を有効にするには、次の手順を実行します。

  1. 仮想サーバークラスを選択します。
  2. 「Content Mgmt」タブをクリックします。
  3. 「Enable/Disable WebDAV」リンクをクリックします。
  4. 仮想サーバークラスレベルでの WebDAV の有効化
    「Virtual Server Class」画面の「Enable/Disable WebDAV」を示す図

  5. 「Enable DAV」チェックボックスを選択します。
  6. 「OK」をクリックします。

仮想サーバークラスで WebDAV を有効にすると、関連する obj.conf ファイルが次のエントリで更新されます。

<Object name="default">

...

Service fn="service-dav" method="(OPTIONS|PUT|DELETE|COPY|MOVE|PROPFIND|PROPPATCH|LOCK|UN LOCK|MKCOL)"

Error fn="error-j2ee"

...

</Object>

...

<Object name="dav">

PathCheck fn="check-acl" acl="dav-src"

Service fn="service-dav" method="(GET|HEAD|POST|PUT|DELETE|COPY|MOVE|PROPFIND|PROPPATCH|L OCK|UNLOCK|MKCOL)"

</Object>

コレクションレベルでの WebDAV の有効化

1 つまたは複数の WebDAV コレクションを仮想サーバーに追加した場合は、各コレクションの WebDAV をいつでも無効または有効にすることができます。方法については、「WebDAV コレクションの編集」を参照してください。


WebDAV コレクションの作成

WebDAV は、WebDAV 操作が有効なリソースまたはリソースの集合です。この操作には、Web パブリッシングと、共同作業によるオーサリング、ネームスペース管理、メタデータ管理が含まれます。

WebDAV コレクションを仮想サーバーに追加するには、次の手順を実行します。

  1. サーバーインスタンスと仮想サーバークラスで WebDAV が有効であることを確認します。詳細は、「サーバーインスタンスレベルでの WebDAV の有効化」および「仮想サーバークラスレベルでの WebDAV の有効化」を参照してください。
  2. 管理する仮想サーバーにアクセスし、「WebDAV」タブをクリックします。
  3. 「Add DAV Collection」ページに次の情報を入力します。
    • URI (必須): アクセスするコンテンツの URI
    • Source URI (オプション): アクセスするソースの URI

    • CGI や SHTML などのダイナミックなコンテンツをパブリッシュする場合は、ソース URI を設定する必要があります。


      ソース URI という用語の説明については、「一般的な WebDAV 用語」を参照してください。

    • Lock Database (オプション): ロックデータベースを管理するディレクトリデフォルト値は server-instance/lock-db/vs-id です。
    • Minimum Lock Timeout (オプション): ロックの最小存続時間 (秒単位)。デフォルト値は 0 です。詳細は、「ロックの最小タイムアウト」を参照してください。
    • Limit XML Request Body (オプション): 要求のボディに含まれる XML コンテンツの最大サイズサービス妨害 (DOS) 攻撃を防止するには、このサイズを設定してください。
    • Maximum Property Depth (オプション): PROPFIND 要求の適用レベルです。
      • 0: 指定したリソースにだけに適用します。
      • 1: 指定したリソースと、そのリソースに含まれる次のレベルのリソースに適用します。
      • infinity: 指定したリソースと、そのリソースに含まれるすべてのリソースに適用します。
      • デフォルト値は 0 です。

    • Enabled (オプション): コレクションレベルで WebDAV を有効にします。
  4. 「OK」をクリックします。

    • 管理サーバーを使用してコレクションを追加しても、サーバーはファイルシステムにそのコレクションのディレクトリを作成しません。コレクションに対応するディレクトリをファイルシステムに作成することは、管理者の責任です。
    • UNIX システムでは、root (スーパーユーザー) として Web Server をインストールし、別のユーザーとしてサーバーを実行している場合、作成した WebDAV コレクションに対応するディレクトリへの読み取りと書き込みアクセス権がこの実行ユーザーに設定されている必要があります。


WebDAV コレクションの編集

既存の DAV コレクションの属性を編集して、そのコレクションのアクセス制御などを設定することができます。

既存の WebDAV コレクションを編集するには、次の手順を実行します。

  1. コレクションが存在する仮想サーバーにアクセスし、「WebDAV」タブをクリックします。
  2. 「Edit DAV Collections」ページで次の情報を変更します。
    • Delete: コレクションを削除します。
    • URI: アクセスするコンテンツの URI を示します。
    • Enabled: WebDAV が有効であるか (true)、無効であるか (false) を示します。
    • Edit Collection: 次の情報を変更するときは、このボタンをクリックします。
      • URI (必須): アクセスするコンテンツの URI
      • Source URI (オプション): アクセスするソースの URI
      • Lock Database (オプション): ロックデータベースを管理するディレクトリ
      • Minimum Lock Timeout (オプション): ロックの最小存続時間 (秒単位)。詳細は、「ロックの最小タイムアウト」を参照してください。

      • minlocktimeout の -1 という値は、ロックに時間制限がないことを意味します。


      • Limit XML Request Body (オプション): 要求のボディに含まれる XML コンテンツの最大サイズ
      • Maximum Property Depth (オプション): PROPFIND 要求の適用レベルです。
      • - 0: 指定したリソースにだけに適用します。

        - 1: 指定したリソースと、そのリソースに含まれる次のレベルのリソースに適用します。

        - infinity: 指定したリソースと、そのリソースに含まれるすべてのリソースに適用します。

        デフォルト値は 0 です。

      • Enabled (オプション): コレクションレベルで WebDAV を有効にします。
    • Edit ACL: このコレクションまたは URI のアクセス制御制限を設定するときは、これをクリックします。


WebDAV の設定

たとえば、サーバーのパフォーマンスを調整したり、セキュリティ上のリスクを解消したり、または競合のないリモートオーサリングを提供したりする場合など、WebDAV の設定にはさまざまな理由が考えられます。

要件に適した設定を行うには、サーバーが WebDAV リソースのロックを保持する最小時間、コレクションに対する PROPFIND 要求の適用レベル、要求のボディに含めることができる XML コンテンツの最大サイズなどを変更します。

デフォルトの WebDAV 属性は、仮想サーバーの下にあるすべてのコレクションについて、仮想サーバーレベルで変更できます。ここで設定する値は、server.xml ファイルの DAV 要素に対応します。

WebDAV 属性は、コレクションレベルで設定することもできます。この設定は、コレクションに設定されている仮想サーバーレベルの属性に優先して適用されます。コレクションレベルで設定した属性値は、server.xml ファイルの DAVCOLLECTION 要素に対応します。

仮想サーバーレベルでの WebDAV の設定

仮想サーバーレベルで WebDAV の機能を設定するには、DAV オブジェクトの属性を編集する必要があります。この処理は、管理サーバーを使用して行うか、server.xml ファイルを手動で編集して行います。

次の表は、編集可能な DAV オブジェクトの属性と、その説明を示しています。

表 19-1 DAV オブジェクトの属性 

属性

説明

enabled

この仮想サーバーで WebDAV の機能が有効であるかどうかを指定します。

この属性はオプションです。デフォルト値は true です。

指定できる値は true および false です。

lockdb

ロックデータベースを管理するディレクトリを指定します。

この属性はオプションです。

minlocktimeout

ロックの最小存続時間 (秒単位) を指定します。この値は、ロックが自動的に解除されるまでに、要素がロックされている時間を示します。詳細は、「ロックの最小タイムアウト」を参照してください。

この属性はオプションです。

maxxmlrequestbodysize

要求のボディに含まれる XML コンテンツの最大サイズを指定します。

この属性はオプションです。デフォルト値は 8k バイトです。

サービス妨害 (DOS) 攻撃を防止するには、このサイズを設定してください。

maxpropdepth

PROPFIND 要求の適用レベルを指定します。

このパラメータはオプションです。デフォルト値は 0 です。

メモリの過大消費を防止するには、このパラメータの値を設定します。

URI レベルでの WebDAV の設定

URI レベルで WebDAV の機能を設定するには、server.xml ファイルの DAVCOLLECTION オブジェクトの属性を編集する必要があります。

次の表は、編集可能な DAVCOLLECTION オブジェクトの属性と、その説明を示しています。

表 19-2 DAVCOLLECTION オブジェクトの属性 

属性

説明

enabled

このコレクションで WebDAV の機能が有効であるかどうかを指定します。

この属性はオプションです。

指定できる値は true および false です。デフォルト値は true です。

uri

アクセスするコンテンツの URI を指定します。

この属性の指定は必須です。

sourceuri

アクセスするソースの URI を指定します。詳細は、「一般的な WebDAV 用語」および「WebDAV 対応サーバーでのソース URI と Translate:f ヘッダーの使用」を参照してください。

この属性はオプションです。

sourceuri を指定しない場合はデフォルトの動作が適用され、コレクション内のダイナミックなコンテンツのソースへのアクセスが拒否されます。

urisourceuri に同じ URI を指定することができます。この場合、サーバーは常にダイナミックなコンテンツのソースを返します。これは、パブリッシング用に独立した安全な仮想サーバーを利用している場合に便利です。

lockdb

ロックデータベースを管理するディレクトリを指定します。

この属性はオプションです。

minlocktimeout

ロックの最小存続時間 (秒単位) を指定します。この値は、ロックが自動的に解除されるまでに、要素がロックされている時間を示します。詳細は、「ロックの最小タイムアウト」を参照してください。

この属性はオプションです。

maxxmlrequestbodysize

要求のボディに含まれる XML コンテンツの最大サイズを指定します。

この属性はオプションです。

サービス妨害 (DOS) 攻撃を防止するには、このサイズを設定してください。

maxpropdepth

コレクションのメンバーリソースをリスト表示する PROPFIND 要求の適用レベルを指定します。

このパラメータはオプションです。

メモリの過大消費を防止するには、このパラメータの値を設定します。


WebDAV 対応サーバーでのソース URI と Translate:f ヘッダーの使用

WebDAV メソッドは、リソースまたはコレクションのソースに対して実行されます。GET や PUT などの HTTP メソッドは WebDAV プロトコルによってオーバーロードするため、これらのメソッドを持つ要求は、リソースのソースに対する要求か、またはリソースのコンテンツ (出力) に対する要求となります。

Microsoft およびその他多数の WebDAV ベンダーは、要求に Translate:f ヘッダーを含め、その要求がソースに対するものであることをサーバーに指示することで、この問題を解決しています。広く利用されている WebDAV クライアントである Microsoft WebFolders との相互動作性を確保するために、Sun ONE Web Server 6.1 は、Translate:f ヘッダーによりリソースのソースに対する要求として認識します。Translate:f ヘッダーを送信しないクライアントに対応するために、Sun ONE Web Server 6.1 では ソース URI を定義します。ソース URI という用語の詳しい説明については、「一般的な WebDAV 用語」を参照してください。

WebDAV が有効なコレクションでは、URI に対する要求はリソースのコンテンツ (出力) を取得し、ソース URI に対する要求はリソースのソースを取得します。Translate:f ヘッダーを持つURI に対する要求は、ソース URI に対する要求として処理されます。

リソースのソースに対するすべてのアクセスは、デフォルトでは dav-src ACL によって拒否されることに注意してください。サーバーインスタンスに固有の ACL ファイルには、次の宣言が含まれます。

deny (all) user = "anyone";

ユーザーは、ソース URI に対するアクセス権を追加することで、ソースに対するアクセスを有効にすることができます。URI 固有の ACL については、「WebDAV のアクセス制御の有効化」を参照してください。


リソースのロックとロック解除

Sun ONE Web Server では、サーバー管理者はリソースをロックし、そのリソースに対するアクセスを直列化することができます。ロックを使用することで、特定のリソースにアクセスするユーザーは、他のユーザーが同じリソースを変更しないようにできます。このようにすると、サーバー上の複数のユーザーがリソースを共有することによって生じる、更新が失われる問題が解決されます。クライアントが発行し、使用するロックトークンは、サーバーが管理するロックデータベースによって追跡されます。

Sun ONE Web Server 6.1 は、opaquelocktoken URI スキームをサポートしています。このスキームは、すべてのリソースで URI が常に一意であるように設計されています。これは、ISO-11578 で規定されている UUID (Universal Unique Identifier) メカニズムを使用します。

Sun ONE Web Server 6.1 は、次の 2 種類のロックメカニズムを認識します。

排他的ロック

排他的ロックは、リソースに対するアクセス権を 1 人のユーザーだけに与えるロックです。別のユーザーは、リソースの排他的ロックが解除されるまでこのリソースにアクセスできません。

排他的ロックは、リソースをロックするメカニズムとしては厳密すぎたり、パフォーマンスへの影響が多きすぎる場合もあります。たとえば、プログラムがクラッシュしたり、ロックの所有者がリソースのロック解除を忘れた場合、排他的ロックを解除するにはロックタイムアウトに達するのを待つか、管理者が設定変更を行う必要があります。

共有ロック

共有ロックでは、複数のユーザーがリソースのロックを受け取ることができます。このため、適切なアクセス権があるユーザーであれば、ロックを取得できます。

共有ロックを使用するときは、ロックの所有者は何らかの通信手段を使用して作業を調整する必要があります。共有ロックの目的は、誰がリソースを操作できるかを共同作業者に知らせることです。

ロックの管理

Sun ONE Web Server 6.1 のロック管理機能を使用することで、設定されているすべてのロック、ロックの種類、対象リソース、ロックされている時間などを確認することができます。

ロック管理機能を使用するには、次の手順を実行します。

  1. WebDAV 対応仮想サーバーにアクセスします。
  2. 「WebDAV」タブをクリックします。
  3. 「Lock Management」リンクをクリックします。
  4. ロックデータベースを選択し、設定されているロックとその情報を表示する WebDAV 対応 URI を選択します。
  5. 「List Lock Info」をクリックします。

ロックの最小タイムアウト

server.xml ファイルの DAV オブジェクトまたは DAVCOLLECTION オブジェクトで minlocktimeout 属性に値を設定することで、ロックを制御することができます。minlocktimeout 属性は、ロックの最小存続時間を秒単位で指定します。この値は、ロックが自動的に解除されるまでに、要素がロックされている時間を示します。

この属性はオプションです。-1 という値が設定されている場合、そのロックには時間制限がありません。値を 0 に設定した場合、コレクションに含まれるすべてのリソースがロックされ、要求に Timeout ヘッダーが指定されます。

Timeout ヘッダーを指定しない場合、リソースのロックはタイムアウトしません。また、要求に含まれる Timeout ヘッダーの値が Infinite に設定されている場合も、リソースのロックはタイムアウトしません。

WebDAV リソースに対する要求に含まれる Timeout ヘッダーの値が server.xml ファイルの minlocktimeout の値と同じか、あるいはそれより大きい場合は、リソースのロック期間は要求に指定されている時間となります。

ただし、server.xml ファイルの minlocktimeout 値より小さい値が要求の Timeout ヘッダーに指定されている場合は、リソースのロック期間は server.xml ファイルに設定されている minlocktimeout の値となります。

次の表は、Sun ONE Web Server がロック要求をどのように処理するかを示しています。

表 19-3 Sun ONE Web Server によるロック要求の処理

要求に含まれる Timeout ヘッダーの値

リソースのロック期間

Infinite

タイムアウトが -1 (時間制限なし) の設定でロック

なし

タイムアウトが -1 (時間制限なし) の設定でロック

Second-xxx

  • xxxserver.xmlminlocktimeout 値と同じまたは大きい場合は、xxx 秒間ロックされる

または

  • xxxserver.xmlminlocktimeout 値より小さい場合は、server.xmlminlocktimeout に指定されている秒数だけロックされる

ロック要求の例

次の例は、タイムアウトを 500 秒に設定して /col1/myfile.html リソースへの書き込みを排他的にロックする要求を示しています。

LOCK /col1/myfile.html HTTP/1.1

Host:sun

Content-Type:text/xml; charset="utf-8"

Content-Length: 259

Timeout:Second-500

<?xml version=.0encoding=砥tf-8?>

<d:lockinfo xmlns:d=泥AV:gt;

    <d:locktype><d:write/></d:locktype>

    <d:lockscope><d:exclusive/></d:lockscope>

    <d:owner>

    <d:href>http://info.sun.com/resources/info.html</d:href>

    </d:owner>

</d:lockinfo>


WebDAV のアクセス制御の有効化

WebDAV が有効なドキュメントとディレクトリに誰がアクセスできるか、また、どのユーザーまたはユーザーグループがファイルに対してどのような処理を実行できるかを制御することができます。また、ファイルやフォルダに対するアクセスを完全に禁止したり、認証された特定のユーザーだけにアクセスを制限することもできます。

サーバーに適用されるデフォルトのアクセス制御 (ACL) では制限や柔軟性が十分でない場合は、「Restrict Access」機能 (「Server Preferences」を選択し、「Restrict Access」リンクをクリック) を使用して、WebDAV が有効なリソースに対するアクセス制限に適した ACL を作成できます。

WebDAV 要求は、AuthTrans ステージと PathCheck NSAPI ステージでそれぞれ認証、承認されます。次の例は、「joe」というユーザー名を持たないすべてのユーザーにコレクション /catalog への書き込みアクセスおよび削除アクセスを拒否するアクセス制御規則を示しています。

acl "uri=/catalog/*";

deny(all)

user="anyone";

allow (read,list,execute,info)

user = "all";

allow(write,delete)

user="joe";

詳細は、「WebDAV コレクションの編集」を参照してください。

WebDAV 有効リソースへのアクセスの制限

WebDAV コレクションのアクセス制御は、ネイティブ ACL ファイルで指定します。すべての WebDAV メソッドは、WebDAV 有効リソースに対する適切なアクセス権を必要とします。たとえば、WebDAV 有効ファイルが同時に複数のユーザーによって共有される場合、同時アクセスを制御するためにリソースをロックまたはロック解除するには、リソースに対する書き込みアクセス権が必要です。

次の表は、各 WebDAV メソッドに必要なアクセス権を示しています。

表 19-4 WebDAV に必要なアクセス権 

DAV メソッド

必要なアクセス権

DELETE

削除

PROPFIND

読み取り

PROPPATCH

書き込み

LOCK/UNLOCK

書き込み

MKCOL

書き込み

COPY(src,dst)

src - 読み取り

dst - 書き込み

MOVE(src,dst)

src - 削除

dst - 書き込み

request-uri の GET

読み取り

request-uri の GET

Translate:f

読み取り

request-uri の PUT

書き込み

request-uri の PUT

Translate:f

書き込み


セキュリティに関する注意事項

WebDAV を使用するときは、セキュリティに関する次の事項に注意してください。



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