ここでは、Communications Suite のインストールおよびアンインストール時に、問題の原因を分析して特定するための一般的なガイドラインを紹介します。
ここで説明する内容は、次のとおりです。
インストールまたはアンインストール中に問題が発生した場合は、発生した問題に関する情報を確認するために、最初にインストールログを調べます。インストール、アンインストール、およびインストール時の設定に関するメッセージはソースログファイルに収集されます。ユーザーの選択、パッケージの操作、インストールまたはアンインストールの手順などの操作のあとには、情報メッセージ、警告メッセージ、およびエラーメッセージが発行されます。各メッセージに表示される情報は、日時、ログレベル、モジュール ID、およびメッセージテキストで構成されます。
インストールまたはアンインストールに関する情報を収集するログファイルには、次の 4 つの種類があります
サマリーファイル。何をインストールして設定したかについての概要情報が記録されます。
詳細バージョン A ファイル。完了情報が記録されます。
詳細バージョン B ファイル。ログメッセージの詳細が記録されます。
デバッグファイル。インストールに失敗したときにそれに関連する情報が記録されます。デバッグファイルは、ほかのいずれかのログにエラーが示された場合に使用します。
アンインストール後に、アンインストーラはアンインストーラ自体、インストーラ、およびログビューアを削除します。ただし、ソースログファイルは削除されず、次の場所に格納されます。
Solaris の場合: /var/sadm/install/logs
Linux の場合: /var/opt/sun/install/logs
次の表は、ソースログファイルの形式を示しています。
表 10–1 ログファイルの形式
ログに記録される内容 |
ログファイル名の形式 |
---|---|
インストーラ |
Sun_Java_Communications_Suite_install.Atimestamp |
Sun_Java_Communications_Suite_install.Btimestamp |
|
Sun_Java_Communications_Suite_log.timestamp |
|
Sun_Java_Communications_Suite_Summary_Report_install. timestamp |
|
アンインストーラ |
Sun_Java_Communications_Suite_uninstall.Atimestamp |
Sun_Java_Communications_Suite_uninstall.Btimestamp |
|
Sun_Java_Communications_Suite_UnInstall_log.timestamp |
|
Sun_Java_Communications_Suite_Summary_Report_uninstall. timestamp |
ログメッセージは ULF (Unified Logging Format) で保存されます。この形式で読み取るのが難しい場合は、vi などのテキストエディタでソースファイルを編集するか、または Communications Suite ログビューアを使用して、ログメッセージを表示することもできます。
Communications Suite ログビューアは、Sun_Java_Communications_Suite_Install_log. timestamp ファイルまたは Sun_Java_Communications_Suite_UnInstall_log. timestamp ファイルのインストーラログメッセージを表示するためのグラフィカルディスプレイを提供します。メッセージをフィルタで検索するときには、重要度の高いものまたは目的に合っているものから表示されるように、3 つの方法が用意されています。ログレベル別、モジュール ID 別、内容別の 3 つがあります
ログレベル。次の 8 つのログレベルから選択できます。SEVERE、ERROR、WARNING、INFO、CONFIG、FINE、FINER、および FINEST です。ログレベルを選択すると、そのログレベル以上の重要度のログレコードのみが表示されます。「FINEST」を選択することは、すべてのレコードを表示することを選択することになります。
モジュール ID。モジュールはログメッセージを書き込むインストーラの一部です。モジュール ID (JAVAESConfig、JAVAESInstall、または JAVAESUninstall) を選択すると、選択したモジュール ID に関連付けられたメッセージのみが表示されます。
「Content」。内容フィルタは、「configure」などの文字列を入力するように求められ、その文字列を含むメッセージのみが表示されます。
一般的なフィルタの例には次のようなものがあります。
SEVERE ログメッセージのみを表示する。
ログレベルが「ERROR」以上のログメッセージだけを表示する。
インストール手順からのログメッセージのみを表示する。
インストールログメッセージのうち、ログレベルが「ERROR」以上のメッセージだけを表示する。
フィルタリングしたシナリオの結果をファイルに保存します。
次の表に、ログビューアの基本機能の概要を示します。
表 10–2 ログビューアの機能
作業 |
機能 |
---|---|
「開く」 |
フィルタリングし、表示するログファイルを選択します。 |
「保存」 |
フィルタリングし、翻訳したメッセージを「ファイル」>「名前を付けて保存」オプションで指定したファイルに保存します。 |
「名前を付けて保存」 |
フィルタリングし、翻訳したメッセージを書き込む個別のファイルを選択します。 注意: このファイルは、インストーラがソースログの保存に使用するディレクトリに置くことはできません。 |
「印刷」 |
フィルタリングし、翻訳したファイルを印刷します。 |
「終了」 |
開いているすべての出力ファイルを閉じ、入力ファイルを閉じて、ログビューアページを閉じます。 |
「ログレベルのフィルタ」 |
フィルタリングするログレベルを選択します。 |
「モジュール ID のフィルタ」 |
開いたファイル内のいずれかのモジュール ID を選択するか、選択しません。リストは、フィルタリングするログファイルを選択したときに作成されます。 |
「内容のフィルタ」 |
ユーザー定義の文字列を含むメッセージを選択します。 |
「言語の選択」 |
翻訳言語を選択します。デフォルトは英語です。このリストは、インストーラによって格納される翻訳リソースバンドルに基づいて表示されます。 |
この機能によって、ログビューアはトラブルシューティングの状況に役立つ選別された情報を表示できます。フィルタ条件を満たすメッセージが単一のログテーブルに表示されます。ログテーブルの行を選択して、詳細を表示し、メッセージを複数行形式で表示することができます。
ログビューアは読み取り専用モードで動作するため、複数のユーザーが同時にログビューアを使用できます。インストール後、ログビューアは次の場所に存在します。
Solaris SPARC の場合: /var/sadm/prod/SUNWcomm-entsys5i/Solaris_sparc
Solaris x86 の場合: /var/sadm/prod/SUNWcomm-entsys5i/Solaris_x86
Linux の場合: /var/sadm/prod/sun-comm-entsys5i/Linux_x86
Sun_Java_Communications_Suite_Summary_Report_install. timestamp などのサマリーファイルを検証します。
問題が発生した場合は、どのコンポーネントが問題の原因であるかを確認します。複数の問題が発生している場合は、最初の問題に対処します必要に応じて、詳細ログのいずれかまたは両方のファイルを調べる必要があります。
Sun_Java_Communications_Suite_install.A timestamp などの詳細ログ (A および B) を検証します。
Sun_Java_Communications_Suite_Install_log. timestamp などのデバッグログを検証します。
多数の製品コンポーネントに、インストール時の相互依存関係があります。1 つの製品コンポーネントに影響を与える問題は、別の製品コンポーネントにも影響を与える可能性があります。まず、『Sun Java Enterprise System 5 インストール計画ガイド』で説明されている内容をよく理解してください。
サマリーファイルおよびログファイルを参照し、関連付けられている製品に問題が発生していないかどうか確認します。これにより、最初に解決すべきことの手がかりが得られる可能性があります。
正しい接続情報を指定しているかどうかチェックします。次に例を示します。
Directory Server の設定時に指定した情報は、Directory Server を使用する製品コンポーネントに指定したディレクトリ情報と一致しているか。
Portal Server または Portal Server SRA に指定した Access Manager の情報は、Access Manager に指定した情報と一致しているか。Portal Server のインストールについては、『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』を参照してください。
製品コンポーネントの相互依存関係のほかに、一部の製品コンポーネントは Solaris パッケージがインストールされているかどうかにも依存しています。パッケージがホストにインストールされていない場合、それが原因でインストールが失敗することがあります。詳細については、リリースノートの「ソフトウェア要件」の節を参照してください。
製品コンポーネントの起動時に問題が発生する場合は、その製品コンポーネントのログファイルを調べてください。多くの製品コンポーネントログファイルの場所については 「製品コンポーネントのトラブルシューティングのためのヒント」に記載されています。
次のホストレベルの問題は、インストール時に問題を引き起こす可能性があります。
アップデート: 推奨アップデート (パッチ) は適用されているか。
ディスク容量: ディスクパーティションをどのように設定し、どのパーティションにインストールディレクトリを作成するか。インストールディレクトリ /var/sadm および /etc/opt、または独自に指定したデフォルト以外のディレクトリに、十分なディスクの空き容量が必要です。
ネットワークポート: 設定時に、Communications Suite 製品コンポーネントのポート番号を指定します。次のことをチェックします。
/etc/services ファイルで標準ポート番号を調べる。
サマリーログファイルを参照し、標準の設定と比較する。ポート番号を誤って入力していないか、またはあるサーバーに対して通常は別のサーバーで使用するポートを設定していないか。
netstat -a コマンドを使用して、現在システムで使用しているポートを調べる。すでに他で使用中のポート番号を割り当てていないか。
IP アドレス: 設定時に、IP アドレスを指定します。正しい IP アドレスを入力したかどうかチェックします。確認する必要のあることがいくつかあります。
このシステムに複数のネットワークインタフェースがある場合、それぞれに独自の IP アドレスが指定されているか。
高可用性設定において、論理ホストの IP アドレス、またはクラスタノードの IP アドレスを指定したか。
製品コンポーネントの起動時に問題が発生した場合は、第 6 章「Communications Suite のインストール後設定の完了」に説明されている手順を正しく実行しているかを確認してください。
DVD または CD からのインストールでは、メディアの汚れや損傷を調べます。ディスクに汚れがあると、インストール時に問題が発生する可能性があります。
Directory Server に依存する製品コンポーネントをインストールする場合、次のいずれかの問題によって問題が発生する可能性があります。
Directory Server に対して不正なユーザー ID およびパスワードを指定した。
不正な LDAP ポートを指定した。
Directory Server に到達できない。
インストーラを対話モードで実行するとインストール時に Directory Server の接続性がチェックされますが、サイレントモードではチェックされません。Directory Server を利用できない状態でサイレントインストールを実行すると、Access Manager のインストールが失敗する可能性があります。
編集済みの設定ファイルなど、カスタマイズされたファイルの上書きを防ぐために、そのファイルが格納されるディレクトリには Web Server をインストールできません。
Web Server を再インストールする場合、インストールディレクトリをチェックして、それが空であることを確認します。空ではない場合は、どこか別の場所にファイルをアーカイブしてからインストールを再試行します。
インストーラは、製品コンポーネントごとにパスワードの入力を求めます。複数のホストに複数の製品コンポーネントをインストールする場合、各ホストで正しいパスワードを入力することが重要です。
パスワードの問題を解決するには、いったんアンインストールしてから再インストールすることが必要となる場合があります。アンインストールに失敗した場合は、「アンインストール時に残されたファイルによるインストールの失敗」を参照してください。
製品コンポーネントをインストールしたものの問題があり、再インストールまたはアンインストールを実行できない場合は、Solaris の pkginfo コマンドまたは Linux の rpm コマンドを使用して、インストールしたパッケージを調べます。その結果を、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 5 章「インストール可能なパッケージの一覧」に記載されている Communications Suite パッケージと比較します。追加情報については、「アンインストール時に残されたファイルによるインストールの失敗」を参照してください。
Solaris 9 と Solaris 10 では、prodreg ツールを使用することもできます。このツールは、製品レジストリへのグラフィカルインタフェースを提供し、pkg ユーティリティーの代わりに、各コンポーネントおよびそのパッケージの両方への索引付けをします。prodreg を起動するには、コマンド行でこのコマンド名を入力します。詳細については、prodreg(1) のマニュアルページを参照してください。
「アンインストーラ用の管理者アクセス権の付与」で説明されているように、アンインストール時に管理者アクセス権をアンインストーラに付与しなければならないことがあります。