Sun Java System Messaging Server 6.3 管理ガイド

A.3.7 Messaging Server の Net-SNMP ベースの SNMP サブエージェントオプション

次のオプションは、Messaging Server の Net-SNMP ベースの SNMP サブエージェントにのみ適用されます。このようなサブエージェントは、Solaris 10 以降および Linux プラットフォームで使用されます。次に示すオプションは、Solaris 9 以前のオペレーティングシステムを実行する Solaris プラットフォーム用に提供されていた旧バージョンの SNMP サブエージェントには適用されません。

次に示すオプションは、configutil のオプションです。したがって、オプションの値を調べるには、次の形式のコマンドを使用します。


% configutil -o option-name

option-name は、値を表示するオプションの名前です。オプションの値を設定または変更するには、次の形式のコマンドを使用します。


% configutil -o option-name -v option-value

option-value は、設定する値です。これらのオプションの変更を有効にするには、次のように再起動する必要があります。


% stop-msg snmp
% start-msg snmp

各オプションの説明とデフォルト値を次に示します。

表 A–1 SNMP サブエージェンのトオプション

オプション (デフォルト) 

説明 

local.snmp.enable (0)

Messaging Server の SNMP サブエージェントは、このオプションの値を 1 または true に指定した場合にのみ実行されます。その場合、Messaging Server は通常の起動およびシャットダウン手順の一環としてサブエージェントの停止と開始を自動的に実行します。このオプションは、デフォルトでは 0 に設定され、サブエージェントの実行を無効にします。サブエージェントを有効にする前に、プラットフォームのマスターエージェントが 「A.3.3 スタンドアロン SNMP エージェントとしての実行」の説明に従って適切に設定されていることを確認してください。

local.snmp.standalone (0)

Messaging Server の SNMP サポートは、通常、SNMP サブエージェントとして実行され、プラットフォームの SNMP マスターエージェントである snmpd を介して SNMP 要求を受信します。この実行モードはデフォルトであり、このオプションの値を 0 または false に設定することによって選択されます。しかし、「A.3.3 スタンドアロン SNMP エージェントとしての実行」で説明したように、サブエージェントを「スタンドアロン」モードで実行することにより、snmpd とは独立した SNMP エージェントとしてサブエージェントを動作させることができます。サブエージェントをスタンドアロンモードで実行すると、1 つの SNMP エージェントになり、local.snmp.listenaddr オプションおよび local.snmp.port オプションでそれぞれ指定された Ethernet インタフェースおよび UDP ポートで SNMP 要求を直接待機します。このようにスタンドアロンモードで実行するには、このオプションの値に 1 または TRUE を指定します。

スタンドアロンモードで実行しても、システム上で実行されているほかの SNMP マスターエージェントやサブエージェントを妨害することはありません。 

local.snmp.listenaddr (INADDR_ANY)

スタンドアロンモードでの実行時に SNMP 要求を待機する Ethernet インタフェースのホスト名または IP アドレスです。デフォルトでは、利用可能なすべてのインタフェースで待機します。これは、値に INADDR_ANY を指定した場合に相当します。特定のインタフェースに関連付けられた IP アドレスまたはホスト名を指定することにより、そのインタフェースを選択できます。選択するインタフェースは、物理インタフェースと仮想インタフェースのどちらでもかまいません。

local.snmp.standalone に 0 または FALSE を指定すると、このオプションは無視されます。

local.snmp.cachettl (30)

キャッシュされた監視データの秒単位の有効時間 (TTL) です。このオプションは、サブエージェントが同じ監視データを報告し続け、そのデータを Messaging Server から取得した新しい情報で更新するまでの期間を制御します。メッセージループ情報を除き、デフォルトでは最大 30 秒間データがキャッシュされます。ループ情報は、.HELD ファイルのスキャンによって判定され、10 分ごとに 1 回だけ更新されます。その理由は、ディスク上のすべてのメッセージキューをスキャンする際のリソースコストです。

サブエージェントは自身の監視データを継続的に更新しません。データは SNMP 要求の受信時にのみ更新され、キャッシュされたデータの有効期限が切れます。つまり、キャッシュされたデータの TTL が無効になります。TTL が 30 秒に設定され、SNMP 要求が 5 分ごとに 1 回だけ行われる場合、サブエージェントは SNMP 要求を受信した時点で Messaging Server から新しいデータを取得します。つまり、Messaging Server からのデータは 5 分ごとに 1 回だけ取得されます。一方、SNMP 要求が 10 秒間隔で行われた場合、サブエージェントは要求の一部に対して最大 29 秒間キャッシュされたデータで応答します。つまり、Messaging Server は 30 秒ごとに 1 回だけポーリングされます。 

local.snmp.servertimeout (5)

サブエージェントは、監視対象サービスへの TCP 接続を実際に開き、プロトコル交換を実行することによって、各サービスの実行状態を判定します。このタイムアウト値は、秒単位で測定され、サブエージェントがプロトコル交換の各手順への応答を待機する期間を制御します。デフォルトでは、5 秒のタイムアウト値が使用されます。 

local.snmp.directoryscan (1)

このオプションは、サブエージェントがディスク上のメッセージキュー内にある .HELD メッセージファイルおよびもっとも古いメッセージファイルのスキャンを実行するかどうかを制御するために使用されます。これらの情報は、MIB 変数の mtaGroupLoopsDetectedmtaGroupOldestMessageStored、および mtaGroupOldestMessageId に相当します。このオプションの値を 1 または true に設定すると、これらの情報のキャッシュが保持され、必要に応じて更新されます。キューに何千ものメッセージが格納され、これらの特定の MIB 変数に関心がないサイトでは、このオプションの値を 0 または false に設定することを検討するようにしてください。

local.snmp.enablecontextname (0)

サブエージェントには、自身の MIB を SNMP v3 コンテキスト名の下に登録する機能があります。MIB が登録されると、その MIB は SNMP 要求にコンテキスト名を指定する SNMP v3 クライアントからのみ要求されます。コンテキスト名を使用すると、複数の独立したサブエージェントが Network Services MIB と MTA MIB を同じ OID ツリーの下に (つまり、同じ SNMP マスターエージェントの下に) 登録できるようになります。詳細は、「A.3.4 複数の Messaging Server インスタンスの監視」を参照してください。

SNMP v3 コンテキスト名の使用を有効にするには、このオプションの値に 1 または true を指定します。このように指定すると、サブエージェントはそのコンテキスト名に service.defaultdomain オプションの値を使用するようにデフォルト設定されます。コンテキスト名にほかの値を使用するには、local.snmp.contextname オプションを使用します。

local.snmp.contextname (service.defaultdomain)

local.snmp.enablecontextname によって SNMP v3 コンテキスト名の使用が有効になっている場合は、このオプションを使用して、サブエージェントがその MIB に使用するコンテキスト名を明示的に設定できます。このオプションに指定する値は、文字列値であり、SNMP v3 コンテキスト名として使用するのに適した文字列である必要があります。local.snmp.enablecontextname の値が 0 または false である場合、このオプションは無視されます。