Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド

10.3 Calendar Server バージョン 6.3 の複数ドメイン機能によるスキーマ選択への影響

ここでは、複数ドメインを実装するプロセスと、スキーマバージョンの選択に及ぼすその影響を十分に理解するために役立つ概念情報について説明します。

この項の内容は次のとおりです。

10.3.1 複数ドメインの概要と Calendar Server バージョン 6.3 のスキーマ選択への影響

複数ドメインのインストールでは、LDAP ディレクトリは完全に区別され、部分的な交差もありません。それぞれの LDAP ディレクトリが DNS (ドメイン名システム) 内のドメインを表します。ユーザー、グループおよびリソースの一意の ID は、それぞれのドメイン内で一意です。たとえば、uidjdoe のユーザーは各ドメインで 1 人だけです。識別名 (DN) は完全修飾ドメイン名です。

Calendar Server は、Schema バージョン 1 と Schema バージョン 2 の両方の LDAP ディレクトリスキーマバージョンをサポートしています。Directory Server セットアップスクリプト(comm_dssetup.pl) を実行するときに、LDAP Schema バージョン 1 または LDAP Schema バージョン 2 のいずれかを選択できます。Schema バージョン 1 を使用する特別な理由がないかぎり、Schema バージョン 2 を使用してください。

Schema バージョン 1 を使用する場合には次の 2 つがあります。

10.3.2 Calendar Server バージョン 6.3 の Sun LDAP Schema バージョン 2

次の図は、Sun LDAP Schema バージョン 2 を使用する、複数ドメインのインストールでの LDAP ディレクトリ構造を示しています。

図 10–1 LDAP Schema バージョン 2 を使用する場合の LDAP ディレクトリの構造

この図は、1 つのツリー (組織ツリー) だけを使用し、DC ツリーのない純粋な Schema バージョン 2 環境の例を示しています。

LDAP Schema バージョン 2 ではフラットな LDAP ディレクトリ構造を使用します。つまり、ドメインはすべて同じレベルにあり、入れ子にはされません。複数ドメインのインストールでは、最初のレベルのエントリ (この図では varriusDomainsestaDomain、および siroeDomain) がディレクトリ構造内で並列である必要があります。これらのエントリを入れ子にすることはできません。

シングルサインオン (SSO) などの Access Manager 機能を使用する場合、または Delegated Administrator を使用してユーザーをプロビジョニングする場合は、Schema バージョン 2 が必要です。ただし、複合型の形態として、DC ツリーと組織ツリーの両方を使用する 2 ツリースキーマも存在します。これは Schema バージョン 1 に似ていますが、Schema バージョン 2 のオブジェクトクラスと属性を使用します。これは、設定プログラム (csconfigurator.sh) では Schema バージョン 1.5 と呼ばれる Schema バージョン 2 互換モードです。

10.3.3 Calendar Server バージョン 6.3 の Sun LDAP Schema バージョン 1

次の図は、Sun LDAP Schema バージョン 1 を使用する複数ドメインのインストールに対する LDAP ディレクトリ構造の例を示しています。

この構造には、ドメイン管理のための 2 つのツリーが含まれます。

図 10–2 LDAP Schema バージョン 1 を使用する場合の LDAP ディレクトリの構造

この図は、Schema バージョン 1、LDAP の 2 つのツリーからなる構造の例を示します。

DC ツリー (ノード) は、指定したドメイン名からドメインエントリを決定する DNS に似ています。LDAP 属性 inetdomainbasedn は、ベース DN をポイントします。ベース DN は、組織ツリー (ノード) 内のドメインのユーザー、リソース、およびグループのルートです。各ドメインでは、Calendar Server のユーザー、リソース、グループの ID は一意である必要があります。


注 –

以前の LDAP 設定に DC ツリーが含まれていなかった場合、Schema バージョン 1 モードまたは Schema バージョン 2 互換モードを使用するには、「10.2 はじめての Calendar Server バージョン 6.3 の複数ドメイン環境の設定」の説明に従ってユーザー自身が DC ツリーノードを作成する必要があります。ただし、Schema バージョン 2 が推奨のモードです。


LDAP Schema バージョン 1 を使用する、複数ドメインのインストールでは、ディレクトリ検索でエントリを特定するために次の 2 つの手順が必要です。

  1. DC ツリーで検索を行い、組織ツリー内のドメインのベース DN (inetDomainBaseDN 属性) をポイントする DN 値を持つドメインエントリを特定します。

  2. 組織ツリーで検索を行なってドメインエントリを特定し、そのエントリのベース DN に基づいてドメイン内のユーザー、リソース、またはグループを特定します。