Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド

10.2 はじめての Calendar Server バージョン 6.3 の複数ドメイン環境の設定

非ドメイン環境や単一ドメイン環境から複数ドメイン環境に移行するには、LDAP エントリを作成する前に次の作業を実行する必要があります。

  1. データベース移行ユーティリティーを実行します。

    Calendar Server バージョン 5 から移行する場合は、複数ドメインを設定する前に、必ず csmigcsvdmigcs5migrate、および cs5migrate をあらかじめ実行しておいてください。これらの移行ユーティリティーについては、第 3 章「Calendar Server 6.3 のデータベース移行ユーティリティー」を参照してください。

  2. 実行していない場合は、comm_dsseetup.pl を実行します。

  3. 設定を変更する権限を持つ管理者としてログインします。

  4. stop-cal コマンドを発行して Calendar Server サービスを停止します。

  5. ics.conf ファイルを編集して、複数ドメインを有効にします。

    次の表に、複数ドメインのサポートに使用される ics.conf ファイルの構成パラメータの一覧とその説明を示します。この表に示すパラメータのいずれかが ics.conf ファイルに含まれていない場合は、パラメータとそのパラメータに関連する値をファイルに追加し、変更を適用するために Calendar Server を再起動します。

    パラメータ 

    説明 

    service.virtualdomain.support

    複数ドメインのサポートを有効にします ("yes")。デフォルトは "yes" です。


    注 –

    単一ドメインで運用する予定の場合でも、このパラメータを "no" に変更しないでください。現在のバージョンの Calendar Server では、これが "yes" になっている必要があります。


    local.schemaversion

    LDAP スキーマのバージョンを指定します。

    service.dcroot

    複数ドメインのサポートの場合、これが local.ugldapbasednlocal.authldapbasedn に置き換わります。

    local.schemaversion="1" または local.schemaversion="1.5" の場合、すべてのドメインを下に抱えた DC ツリーのルートサフィックスを指定します。

    例: "o=internet"

    service.schema2root

    local.schemaversion="2" の場合、すべてのドメインを下に抱えた組織ツリーのルートサフィックスを指定します。

    例: "o=sesta.com"

    service.defaultdomain

    Calendar Server のこのインスタンスのデフォルトドメインを指定します。ログイン時にドメイン名が指定されない場合は、このドメイン名が適用されます。 

    例: "red.sesta.com"

    service.loginseparator

    Calendar Server が "userid[login-separator ]domain" をパースするときに login-separator で使用される区切り文字を指定します。Calendar Server は各区切り文字を順に使用します。

    デフォルトは "@+" です。

    service.siteadmin.userid

    ドメイン管理者のユーザー ID を指定します。 

    例: DomainAdmin@sesta.com

    service.virtualdomain.scope

    ドメイン間検索を制御します。

    • "primary": ユーザーがログインしているドメイン内だけの検索

    • "select": 検索が許可されている任意のドメインでの検索

      デフォルトは "select" です。

    local.domain.language

    ドメインの言語を指定します。デフォルトは "en" (英語) です。

  6. デフォルトドメインエントリを作成します。

    Schema バージョン 2 では、デフォルトドメインは Delegated Administrator 設定プログラム (config-commda) によって作成されます。

    Schema バージョン 1 では、DC ツリーの構造に応じて、デフォルトドメイン (複数ドメインのいずれか 1 つ) を作成し、DC ツリーのルートサフィックスより 1 つ以上下のレベルに配置します。たとえば、ルートサフィックスが o=internet の場合、「10.3.3 Calendar Server バージョン 6.3 の Sun LDAP Schema バージョン 1」で示すように、1 つ下のレベルのノードは com になります。ただし、デフォルトドメインは sesta.com など、さらに 1 ノード下になります。DC ツリーノードを作成する場合は、次の例に示すように、csdomain を実行します。

    csdomain -n o=com,dc=com,o=internet create comcsdomain
        -n o=sesta.com,dc=sesta,dc=com,o=internet create sesta.com
  7. デフォルトドメインエントリに対するカレンダサービスを有効にします。

    Schema バージョン 1 の場合: csattribute を使用して、LDAP の o=sesta.com ドメインエントリに、icsCalendarDomain オブジェクトクラスを追加します。

    Schema バージョン 2 の場合: Delegated Administrator の設定後、カレンダサービス (およびメールサービス) を追加するように、Delegated Administrator 設定プログラムで作成されたデフォルトドメインを変更します。次の例では、カレンダサービスとメールサービスがドメインに追加されます。

    commadmin domain modify -D admin -w passwd -d defaultdomain -S cal,mail

  8. システムで必要な数だけドメインを作成します。

    Schema バージョン 2 モードでドメインを追加する手順については、「13.2 新規の Calendar Server ドメインの作成」を参照してください。

    Schema バージョン 1 のドメインを作成するには、次の例に示すように、csdomain create を使用します。

    csdomain -n o=red.sesta.com,dc=red,dc=sesta,dc=com 
       create red.sesta.com
  9. 新しいドメインのカレンダ (必要に応じてメール) サービスを追加します。

  10. calmaster サイト管理者が存在しない場合、作成します。

    Schema バージョン 2 では、次の例に示すように commadmin user create コマンドを使用して calmaster ユーザーを作成します。

    commadmin user create -D admin -w passwd -F Calendar
        -L Administrator -l calmaster -W calmasterpasswd -d sesta.com -S cal

    注 –

    Delegated Administrator コンソールの「新規ユーザー」ウィザードを使用して calmaster を作成する方法については、Delegated Administrator オンラインヘルプを参照してください。


    Schema バージョン 1 では、次の例に示すように、csuser を使用して calmaster ユーザーを組織ツリー上に作成します。

    csuser o=sesta.com,o=rootsuffix -d sesta.com
        -g Calendar -s Administrator -ycalmasterpasswordcreate calmaster
  11. 以前の非ドメイン環境 (Schema バージョン 1) に calmaster サイト管理者ユーザーがすでにある場合は、次の手順を実行して、その管理者ユーザーをデフォルトドメインに移動します。

    1. 既存の calmaster LDAP エントリの LDAP ダンプを実行して、/tmp/calmaster.ldif などの一時ファイルに保存します。

    2. 次のように、ldapdelete を使用して、組織ツリーのルートサフィックス上の既存の calmaster LDAP エントリを削除します。

      #ldapdelete -D "cn=Directory Manager" -w password 
         uid=calmaster,ou=People,o=rootsuffix
      
    3. 次の LDIF の例に示すように、カレンダ管理者のグループエントリを変更 (uniqueMember 属性を更新) して変更内容を反映させます。


      dn:cn=Calendar Administrators,ou=Groups,o=rootsuffix
      changetype:modifyreplace:uniqueMember 
      uniqueMember:uid=calmaster,ou=People,o=sesta.com,o=rootsuffix
      

      管理者のグループエントリをドメインに移動する必要はありません。

  12. WCAP コマンドのすべてのカレンダ ID (calid) が完全修飾名で指定されるように、管理スクリプトを更新します。つまり、各 calid にドメイン名を含める必要があります。例: jsmith@sesta.com