この章では、Connector for Microsoft Outlook の配備プロセスについて説明します。
この章の内容は次のとおりです。
Connector for Microsoft Outlook プラグインを各ユーザーのデスクトップに配備するには、独立した 3 つの作業が必要です。
インストール: 必要となる適切なソフトウェアを Outlook ユーザーのデスクトップに物理的にインストールする必要があります。ソフトウェアのインストールには特定のアクセス権が必要ですが、多くの場合、これらはエンドユーザーの多くまたはほとんどに許可されていません。この場合、ほとんどの企業では、システム管理者からユーザーデスクトップにソフトウェア配布するための「プッシュ」メソッドを実装して、ユーザーのアクセス権の要件を回避します。(この「プッシュ」配布メソッドについては、「デスクトップインストールの方法」で詳細に説明します。)エンドユーザーがソフトウェアをインストールできない「ロックされた」Windows 環境がネットワーク内で使用されている場合は、多数のデスクトップへの個別アクセスを回避する方法として、この種の自動構成管理を強くお勧めします。
構成: Connector for Microsoft Outlook は一連の構成パラメータとともにインストールされます。これには、サーバーの名前とポート番号、ユーザーパスワードのオプション、ディレクトリ検索のデフォルト値、ログファイルのパスなどが含まれます。ユーザーと管理者が各デスクトップの Outlook 内でこれらのパラメータを手動で設定することもできますが、管理者がユーザーグループごとにこれらのパラメータを事前設定して、個々のデスクトップへのアクセスを回避する方がはるかに効率的です。
変換: デスクトップのセットアップウィザードでは、Exchange ユーザーの連絡先、履歴、およびメモのデータをローカル (デスクトップ) 個人フォルダ (.pst) ファイルに変換できます。Microsoft Exchange および Outlook に関連付けられたそのような個人データファイルがすでに存在している場合は、それらをすべて変換してプラグインとの互換性を持たせる必要があります。(以前に Microsoft Exchange を使用していなかった新しい電子メールユーザーには、この作業は適用されません。)ユーザーのデータファイルがパスワードで保護されている場合、これらの変換には、保護されたファイルに関連付けられているパスワードが必要になります。変換機能はプロセッサの占有率が高く、変換するユーザーデータが大量にある場合はユーザーのコンピュータで数分から数時間に及んで実行されることもあります。このため、変換ユーティリティーでは、ユーザーが大きなファイルの変換をあとに延ばし、昼休みや夜間などに実行できるようになっています。
システム管理者は配備設定プログラムを使用して、エンドユーザーのためにこれらの作業の一部またはすべてを自動化するインストールパッケージを、特定のユーザーグループに対する管理者の配備戦略に応じて作成できます。
配備ツールキットを使用すると、管理者はデスクトップユーザーに対してさまざまな構成パラメータを制御できます。構成設定の多くまたはほとんどを指示することにより、ユーザー自身がオプションを検討して選択し値を設定する必要がなくなります。ユーザーの選択によって予期しない結果が生じると、問題の発生は避けられず、それに対するガイド、サポート、解決策などを求める多くの電話が企業のヘルプデスクにかかってきます。上記の自動または半自動のインストールを使用することにより、このような状況を防ぐことができます。全体的には、ツールキットを使用すると、Sun Java System Connector ソフトウェアを配備するために必要なコスト、時間、および労力を大幅に削減できます。
システム管理者は、デスクトップのエンドユーザーグループごとに異なるインストールパッケージを作成できます。たとえば、販売部門や技術部門などにそれぞれ異なる構成スキームを適用する場合や、一部のユーザーグループには構成オプションを提供し、ほかのグループには固定のパラメータを設定して選択肢をなくす場合などに、異なるインストールパッケージを作成できます。
Microsoft Exchange から移行する場合、ユーザーのインストールパッケージでは、ユーザーのデスクトップの .pst ファイルに保存されている重要な既存の Outlook データも保持されます。また、Exchange Server に保存されているメモ、履歴、および連絡先も保持されます。バンドルされたインストールパッケージには、そのようなデータをすべて純粋なインターネットアドレスにすばやく変換する変換ユーティリティーが含まれています。したがって、Java Enterprise System サーバーに移行したあとも、ユーザーが古いメッセージに返信したり、アポイントへの出席予定者が変更通知を受け取ったりすることができ、アドレス帳と個人用配布リストも引き続き利用可能になります。