次の章で構成されています。
Connector for Microsoft Outlook は、Messaging Server と Calendar Server で Windows のデスクトップクライアントとして Outlook を使用できるようにし、アドレス帳のサポートも提供します。
Connector for Microsoft Outlook は Outlook のプラグインで、エンドユーザーのデスクトップにインストールする必要があります。Connector for Microsoft Outlook は、Messaging Server にフォルダの階層と電子メールメッセージを照会します。その情報を、Outlook で表示できる Messaging API (MAPI) プロパティーに変換します。同様に、WCAP を使用して Calendar Server に予定と作業を照会し、MAPI プロパティーに変換します。このモデルによって、Connector for Microsoft Outlook は 2 つの別個の情報源からエンドユーザーの Outlook 表示を作成します。すなわち、Messaging Server のメールと Calendar Server のカレンダ情報です。
ユーザーが Outlook を使用して項目を作成および変更する場合、Connector for Microsoft Outlook は新しいメッセージをメッセージ形式に応じて適切なサーバーに渡します。新しい送信メールは SMTP メールサーバーに送られて配信され、変更された電子メールメッセージはユーザーの IMAP フォルダへ送り返されて保管されます。新しいカレンダの予定および作業は標準的な形式に変換されて、Calendar Server データベースに格納されます。
Connector for Microsoft Outlook には、アドレス帳サービスのサポートが含まれています。アドレス帳サービスを使用可能にするには、Communications Express をインストールする必要があります。このサービスは WABP を利用します。このサービスによって、ユーザーは個人用アドレス帳に Outlook と Communications Express のどちらからでもアクセスできます。
この章の内容は次のとおりです。
組織では、Sun Java Enterprise System のサーバーに接続しているときにユーザーが電子メールおよびカレンダのクライアントとして Microsoft Outlook を使用できるようにするために、Connector for Microsoft Outlook を配備します。Outlook とサーバーの間で継続される必要な通信を容易にするために、各デスクトップユーザーに対して Connector for Microsoft Outlook プラグインをインストールして設定する必要があります。デスクトップ配備ツールキットも用意されています。このツールキットは、システム管理者用のソフトウェアツールを集めたもので、個々のユーザーに対する Connector for Microsoft Outlook プラグインのインストールと設定に関連して、管理者とユーザーの両方の作業を簡略化するように設計されています。
管理者はデスクトップ配備ツールキットを使用して、エンドユーザー用のカスタムインストールパッケージを作成でき、そこに構成パラメータを事前設定することで、ユーザーの作業の簡略化と効率化を図ることができます。また、管理者が特定のユーザーやユーザーグループに必要または望ましいと考える構成設定が、これによってすべて適用されます。配備設定プログラムは、これらの事前設定された構成パラメータを .ini テキストファイルに保存してから、この .ini ファイルをエンドユーザー用のインストールプログラム (セットアップウィザード) にバンドルします。エンドユーザーがパッケージを起動すると、セットアップウィザードが .ini ファイルを読み込み、管理者の指定に従ってユーザーのデスクトップに Connector ソフトウェアをインストールして設定します。
Connector for Microsoft Outlook で使用できる主な機能は次のとおりです。
Messaging Server、Calendar Server、およびアドレス帳サーバーへのアクセス
Messaging Server 上の電子メールフォルダへの IMAP4 によるアクセス
Calendar Server に保存されているカレンダデータ (予定、アポイント) と作業への WCAP によるアクセス
企業ディレクトリへの LDAP によるアクセス
WABP を使用した、アドレス帳サーバーに保存されている連絡先へのアクセス
複数のカレンダおよびアドレス帳へのアクセス
Outlook の一般的なメール機能
メッセージの作成、返信、および転送
Microsoft Word を使用してのメッセージの作成と編集
メッセージ本文へのスペルチェックと暗号化の適用
メッセージヘッダーへのアドレスコンプリーションの適用
メッセージへの署名の追加
複数のフォルダのポーリング
ほかのユーザーとのメールフォルダの共有、および共有連絡先に対する特定のアクセス権の設定
ほかのユーザーのメールフォルダの購読
一般的なカレンダ機能。
複数のカレンダの作成と共有
複数のアドレス帳の作成と共有
連絡先の詳細の中でのグループのメンバーシップの表示
カレンダの予定および作業の添付へのアクセス
新しいアポイントや予定の作成 (終日、定期的、公開、非公開)
予定の修正
空き時間の確認
予定に対する代替時間の提案
予定の要求に対する返信の追跡
複数のアドレス帳の作成と共有
連絡先の詳細の中でのグループのメンバーシップの表示
電子メールベースのグループスケジューリング
ほかのユーザーとのカレンダの共有、および共有カレンダに対する特定のアクセス権の設定
ほかのユーザーのカレンダの購読
ほかのユーザーへのカレンダアクセスの委任
一般的な作業関連の機能 (新しい作業、作業の変更)
フォルダとデータタイプに付与するクライアント側のルール
IMAP フォルダに保存されるメモと履歴
メール、カレンダ、およびアドレス帳の完全なオフラインサポート
Web クライアント (Communications Express) との相互運用性
サーバー側メッセージフィルタの管理
参照機能を持つグローバルアドレスリスト
Microsoft LDAP に対する依存関係の解除
不在設定、およびログイン時に設定が有効化されたことをユーザーに通知する機能
サイズの大きいフォルダの同期時に表示される進行状況
メールフィルタの設定
ほかのユーザーとの連絡先の共有、および共有連絡先に対する特定のアクセス権の設定
共有しているメール、カレンダ、連絡先のフォルダのユーザーの検索機能
名前と電子メールアドレスの LDAP からの自動的な設定と更新
すべてのメッセージの本文をプレビューするオプション
Sun Java System Connector デスクトップ配備ツールキットは、次のコンポーネントで構成されています。
配備設定プログラム: システム管理者はこれを使用して、バンドルされたエンドユーザー用カスタムインストールパッケージを作成できます。その後、これらのパッケージで Connector for Microsoft Outlook インストールして設定することができ、必要に応じて Microsoft Exchange のローカルストアからデータを変換できます。
セットアップウィザード: エンドユーザーはこれを使用して、Connector for Microsoft Outlook プラグインをインストールし、その動作と機能を管理者の設定に基づいて設定できます。また、Exchange に関連付けられている既存の Outlook データファイル (.pst ファイル) を、Connector for Microsoft Outlook で使用できる形式に変換します。セットアップウィザードは、配備設定プログラムによって作成された、バンドル版のエンドユーザー用インストールパッケージに含まれています。
インストールキット (MSI): Microsoft Outlook の機能と Sun Java Enterprise System のサーバーの間で継続される常時通信を容易にするソフトウェアのインストールユーティリティーです。これはインストールパッケージの一部として提供されます。
Microsoft システム管理サービス (SMS) を使用して Connector for Microsoft Outlook をインストールするための特殊キット: Microsoft の SMS の「プッシュ」機能をサポートすることで、ユーザーによる操作を最小限または不要にしながら、システム管理者がユーザーのデスクトップにデスクトップコンポーネントを配布してインストールできるようにします。
上記の配備ツールキットのコンポーネントのほかに、ユーザーが Sun Java System Connector for Microsoft Outlook をインストールするためには Microsoft Web 発行ウィザード (WPW) 用の Microsoft インストールプログラム (ほかのベンダーから入手可能) が必要になる場合があります。
Microsoft の WPW は、HTML で記述されたドキュメントを生成するためのツールです。通常、Web ブラウザで表示される Web ページ形式のドキュメントを生成します。ただし、WPW はほかの目的で情報を「公開」する場合にも使用できます。特定の種類のデータを含んだドキュメントを作成し、適切な場所にアップロードして、ほかのアプリケーションがドキュメントを見つけて関連データを抽出できるようにします。Connector for Microsoft Outlook は WPW をこのように使用して、Outlook と Sun Java Enterprise System のサーバーの間でユーザーのアイドル/ビジーデータの転送を容易にします。したがって、WPW は必要な仲介役あり、すべてのユーザーのインストールに必須のコンポーネントです。
ただし、WPW は Microsoft の製品であり、配備ツールキットのパッケージには含まれていません。Microsoft から入手する必要があります。Microsoft の WPW のインストールプログラムは、http://www.microsoft.com から無償でダウンロードできます。
この章では、Connector for Microsoft Outlook の配備プロセスについて説明します。
この章の内容は次のとおりです。
Connector for Microsoft Outlook プラグインを各ユーザーのデスクトップに配備するには、独立した 3 つの作業が必要です。
インストール: 必要となる適切なソフトウェアを Outlook ユーザーのデスクトップに物理的にインストールする必要があります。ソフトウェアのインストールには特定のアクセス権が必要ですが、多くの場合、これらはエンドユーザーの多くまたはほとんどに許可されていません。この場合、ほとんどの企業では、システム管理者からユーザーデスクトップにソフトウェア配布するための「プッシュ」メソッドを実装して、ユーザーのアクセス権の要件を回避します。(この「プッシュ」配布メソッドについては、「デスクトップインストールの方法」で詳細に説明します。)エンドユーザーがソフトウェアをインストールできない「ロックされた」Windows 環境がネットワーク内で使用されている場合は、多数のデスクトップへの個別アクセスを回避する方法として、この種の自動構成管理を強くお勧めします。
構成: Connector for Microsoft Outlook は一連の構成パラメータとともにインストールされます。これには、サーバーの名前とポート番号、ユーザーパスワードのオプション、ディレクトリ検索のデフォルト値、ログファイルのパスなどが含まれます。ユーザーと管理者が各デスクトップの Outlook 内でこれらのパラメータを手動で設定することもできますが、管理者がユーザーグループごとにこれらのパラメータを事前設定して、個々のデスクトップへのアクセスを回避する方がはるかに効率的です。
変換: デスクトップのセットアップウィザードでは、Exchange ユーザーの連絡先、履歴、およびメモのデータをローカル (デスクトップ) 個人フォルダ (.pst) ファイルに変換できます。Microsoft Exchange および Outlook に関連付けられたそのような個人データファイルがすでに存在している場合は、それらをすべて変換してプラグインとの互換性を持たせる必要があります。(以前に Microsoft Exchange を使用していなかった新しい電子メールユーザーには、この作業は適用されません。)ユーザーのデータファイルがパスワードで保護されている場合、これらの変換には、保護されたファイルに関連付けられているパスワードが必要になります。変換機能はプロセッサの占有率が高く、変換するユーザーデータが大量にある場合はユーザーのコンピュータで数分から数時間に及んで実行されることもあります。このため、変換ユーティリティーでは、ユーザーが大きなファイルの変換をあとに延ばし、昼休みや夜間などに実行できるようになっています。
システム管理者は配備設定プログラムを使用して、エンドユーザーのためにこれらの作業の一部またはすべてを自動化するインストールパッケージを、特定のユーザーグループに対する管理者の配備戦略に応じて作成できます。
配備ツールキットを使用すると、管理者はデスクトップユーザーに対してさまざまな構成パラメータを制御できます。構成設定の多くまたはほとんどを指示することにより、ユーザー自身がオプションを検討して選択し値を設定する必要がなくなります。ユーザーの選択によって予期しない結果が生じると、問題の発生は避けられず、それに対するガイド、サポート、解決策などを求める多くの電話が企業のヘルプデスクにかかってきます。上記の自動または半自動のインストールを使用することにより、このような状況を防ぐことができます。全体的には、ツールキットを使用すると、Sun Java System Connector ソフトウェアを配備するために必要なコスト、時間、および労力を大幅に削減できます。
システム管理者は、デスクトップのエンドユーザーグループごとに異なるインストールパッケージを作成できます。たとえば、販売部門や技術部門などにそれぞれ異なる構成スキームを適用する場合や、一部のユーザーグループには構成オプションを提供し、ほかのグループには固定のパラメータを設定して選択肢をなくす場合などに、異なるインストールパッケージを作成できます。
Microsoft Exchange から移行する場合、ユーザーのインストールパッケージでは、ユーザーのデスクトップの .pst ファイルに保存されている重要な既存の Outlook データも保持されます。また、Exchange Server に保存されているメモ、履歴、および連絡先も保持されます。バンドルされたインストールパッケージには、そのようなデータをすべて純粋なインターネットアドレスにすばやく変換する変換ユーティリティーが含まれています。したがって、Java Enterprise System サーバーに移行したあとも、ユーザーが古いメッセージに返信したり、アポイントへの出席予定者が変更通知を受け取ったりすることができ、アドレス帳と個人用配布リストも引き続き利用可能になります。
この章では、Connector for Microsoft Outlook をインストールする前に考慮する必要のある事項について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
配備ツールキットにはさまざまな配備オプションと動作オプションがあり、ほとんどどのような環境、状況、管理者の優先設定に対しても適切な移行戦略を考案して実装できる高い柔軟性を提供しています。この節のトピックでは、最も一般的なシナリオを示し、それらに移行ツールでどのように対応できるかを説明します。
セットアップウィザードは、エンドユーザー自身で簡単に実行できるように設計されています。セットアップウィザードはファイルサーバーに置くことができるので、エンドユーザーのワークステーションに個別にインストールする必要はありません。ただし、ユーザーのデスクトップにプラグインを物理的にインストールするには特定のアクセス権が必要ですが、多くの場合、これらはエンドユーザーの多くまたはほとんどに許可されていません。ユーザーが自分のデスクトップに対してインストールの権限を持っていない場合は、次のどちらかの方針を使用できます。
管理者が個々のユーザーのデスクトップにプラグインを物理的にインストールする。
構成管理ツールを使用して、複数のユーザーのデスクトップにソフトウェアを「プッシュ」する (「構成管理ツールを使用した自動インストール」を参照)。
ユーザーのデスクトップにソフトウェアが物理的にコピーされたら、ユーザーはセットアップウィザードを実行して、ソフトウェアの設定と、既存の個人フォルダ (.pst) ファイルの変換を行うことができます。
変換プログラムを実行するエンドユーザーは、自分の資格をサーバーに提示します。したがって、この方法では、パスワードで保護されている .pst ファイル (後述の 「パスワードで保護された Outlook の個人ストア」 を参照) の変換が可能で、ユーザーはどの個人ストアをプラグインで使用できるように変換するかを指定できます。
ユーザーは、未変換の電子メールメッセージを読むことはできますが、未変換のアドレスは新しいサーバーで認識されないため、これらに返信することはできません。非常に古い個人ストアがあり、将来返信する必要はほとんどないと考えられる場合、ユーザーはそのようなファイルを変換しないでおくこともできます。変換はバックグラウンドで実行できるため、ユーザーのコンピュータでほかの作業を行うことができます。ただし、変換プロセスによって、ほかのアプリケーションのパフォーマンスが低下する可能性があります。
ユーザーによる対話式インストールの大きな欠点は次のとおりです。
組織のヘルプデスクへのサポート依頼が増え、ユーザーの技術スキルや「変更前」と「変更後」のネットワーク構成の複雑さによっては、かなりの量になる場合があります。
管理者が複数のユーザーのワークステーションにアクセスして、ユーザーのデスクトップにソフトウェアを物理的にコピーする必要があり、時間と労力がかかります (ユーザー自身がその作業を実行する権限を持っていない場合)。
管理者は、一部のユーザーに対しては前述のユーザー自身によるインストールの実行を許可し、ほかのユーザーに対しては管理者がデスクトップにアクセスして、インストール作業と設定作業の一部またはすべてをユーザーに代わって実行することもできます。この方法を使用すると、自分では移行作業を実行するのが難しい組織幹部や技術スキルの低いユーザーにも、スムーズな移行を確実に提供できます。配備計画では、このような管理者によるアクセスを組織内の任意のユーザーに関して保証するかどうか、また、どのユーザーに関して保証するかを検討するようにしてください。
ユーザーのデスクトップにソフトウェアをインストールするには特定のアクセス権が必要ですが、多くの場合、これらはエンドユーザーの多くまたはほとんどに許可されていません。このようなネットワークの管理者のほとんどは、Microsoft の SMS などの構成管理ツールを使用して、複数のユーザーのデスクトップにソフトウェアを「プッシュ」します。これは、ユーザーのアクセス権の要件を回避する方法です。エンドユーザーがソフトウェアをインストールできない「ロックされた」Windows 環境がネットワーク内で使用されている場合は、この種の自動構成管理を使用すると、管理者が多数のユーザーデスクトップへ個別にアクセスする必要がなくなります。
「プッシュ」配布を実行するには、配備設定プログラムを使用して 2 つの異なるバンドル版インストールパッケージをユーザーごとに作成します。このパッケージは、続けて実行する必要があります。最初のパッケージは必要なソフトウェアの「プッシュ」インストールを実行し、2 番目のパッケージは対話型プロセスを実行します。ユーザーはこの対話型プロセスで、インストールされたソフトウェアの設定や自分の既存データファイルの変換について選択を行うことができます。この「プッシュ」メソッドは、エンドユーザーの変換プロセスを完全に自動化する場合にも使用できます。ただし、パッケージを起動するときに各エンドユーザーに固有の情報 (ユーザーの資格など) を指定する必要があるため、何らかのスクリプトが必要になります。
『Sun Java System Connector for Microsoft Outlook 7.2 Administration Guide』には、このソフトウェア配布の「プッシュ」メソッドを Microsoft の SMS を使用して実装する手順が記載されています。『Administration Guide』には、SMS スクリプトでコマンド行スイッチを使用して、ユーザーの個人フォルダ (.pst) ファイルに必要なユーザーパスワードをデスクトップインストールプログラムに渡すことにより、プロセスを完全に自動化する方法も説明されています。
Sun Java System Connector セットアップウィザードは、前述したほかのデスクトップインストール方法や 『Sun Java System Connector for Microsoft Outlook 7.2 Administration Guide』の「Command-Line Switches for the User Installation Package」で説明されている SMS スクリプトと組み合わせて使用できる、コマンド行スイッチをサポートしています。
インストールパッケージでは、次のコマンド行スイッチがサポートされます。
/USERNAME=xxx この xxx は Sun サーバーでのユーザー名です /PASSWORD=xxx この xxx は Sun サーバーでのパスワードです /FULLNAME=xxx この xxx はユーザーの表示名です /EMAILADDRESS=xxx この xxx はユーザーの電子メールアドレスです /DN=xxx この xxx は Sun サーバーでのユーザー DN です /NEWPROFILENAME=xxx この xxx は作成されるプロファイルの名前です /SAVEPASSWORD=n この n は 1 (保存する) または 0 (保存しない) です
次のスイッチは、Exchange プロファイルを変換する場合に役立ちます。
/OLDDOMAIN=xxx この xxx は Exchange のドメインです /OLDUSERNAME=xxx この xxx は Exchange のユーザー名です /OLDPASSWORD=xxx この xxx は Exchange のパスワードです
Outlook のユーザーは、自分の個人フォルダ (.pst) ファイルにパスワードを割り当てることができます。ただし、このようなファイルを新しい Connector ソフトウェアと Sun Java System サーバーで使用できるように変換するには、Sun Java System Connector セットアップウィザードでファイルを開いて変更する必要があります。したがって、エンドユーザーは、変換したいすべての .pst ファイルに対してパスワードを指定する必要があります。
パスワードが必要なときは、セットアップウィザードから自動的にプロンプトが表示されます。ただし、これには当然ながらユーザーの操作が必要となるため、サイレントモードでのセットアップは不可能です。セットアップをサイレントモードで実行することが重要な場合は、変換中にそのようなパスワードをすべて削除するようユーザーに指示するか、パスワードが準備された状態でウィザードを実行できるようにします。セットアップウィザードは、サイレントモードで実行された場合、パスワードで保護されているファイルを検出すると、ファイルの変換は行わず、変換されなかったファイルがあることを報告します。管理者の配備設定ツール内の設定によっては、セットアップウィザードでこのイベントがエラーとしてログに記録される場合もあります。
この節では、Microsoft Exchange Server から Communications Suite に移行する前に考慮すべき事項について説明します。
Exchange Server には貴重なユーザー情報が保存されているため、効率的な移行ではこの情報を抽出し、新しい Communications Suite サーバーでのユーザーアカウントのプロビジョニングに使用します。古いサーバーには、ユーザーの古いメールメッセージに加え、カレンダ、作業、個人用アドレス帳、および連絡先も保存されています。また、ユーザーの名前、プライマリインターネットアドレス、インターネットエイリアス、電話番号、住所のほかに、ユーザーの部署や肩書きといった記述情報、さらには企業の共通配布リストもすべて保存されています。
サーバーデータの移行について詳細に説明することはこのマニュアルの目的には含まれませんが、古いサーバーは貴重なデータリソースであり、Communications Suite サーバーでのユーザーのプロビジョニングやメールルーティングの変更を効率よく行うために利用できます。Sun Professional Services を利用すると、サーバーデータの移行について理解し配備計画に取り入れることができます。サードパーティー他社では、サーバーデータの移行を容易にするための技術と専門知識コンサルティングを提供しています。
古いサーバーから新しいサーバーへのユーザーの移行は、すべてのユーザーに対して同時に行われるわけではありません。ユーザーが実際に移行される前に、新しいサーバーでユーザーアカウントの作成とプロビジョニングが行われます。そのため、移行期間中は、古いサーバーと新しいサーバーの両方に、同じアドレスを持つユーザーメールボックスが同時に存在することになります。したがって、移行期間中には一時的なメール転送ルールを定義して、ユーザーのメールが正しくルーティングされるようにする必要があります。
組織で新しいインターネットアドレスを実装する場合でも、古いアドレスを古いサーバーに保持しておく必要があります。これは、ユーザーの古いプライマリインターネットアドレスによって引き続き正しいサーバーに配信される場合のみ、古いメッセージへの返信が配信可能になるためです。特定のドメインへのインターネットメールはすべて、関連する MX レコードで指定されている単一のサーバーに配信される必要があるため、組織では、新しい Sun Java System サーバーを指すように MX レコードを更新するタイミングを決定する必要があります。
移行期間の最初に MX レコードを Communications Suite サーバーに切り替える場合は、Communications Suite サーバーを設定して、ローカルメールボックスに配信できないメールをすべて古いサーバー上の対応するメールボックスに送るようにしてください。また、Communications Suite サーバーで新しいユーザーのプロビジョニングを行うたびに、新しいサーバー上で転送ルールを定義して、通常なら新しいメールボックスに配信されるべきメールを、すべて古いサーバー上の対応するユーザーメールボックスに転送するようにしてください。各ユーザーが新しいサーバーに移行されるたびに、新しいサーバー上の最初の転送ルールを削除し、古いサーバー上で新しいルールを定義して、そのユーザーのメールをすべて対応する Communications Suite メールボックスに転送するようにしてください。
反対に、移行期間の最後まで MX レコードで古いサーバーを指し続ける場合は、古いサーバーを設定して、ローカルに配信できないメールを Communications Suite サーバー上の対応するユーザーメールボックスに送るようにしてください。ユーザーが新しいサーバーに移行されるたびに、古いサーバー上で新しいルールを定義して、ほかのユーザーから古いサーバーに送信されたメールを Communications Suite サーバー上の新しいユーザーアカウントに転送するようにしてください。
大規模な組織では、数週間から数ヶ月を要して段階的に移行を完了することが多く、移行期間中は同じユーザーが両方のシステムに存在する場合があります。多くの組織は、すべてのユーザーが常に正確な企業ディレクトリ (ホワイトページ、グローバルアドレス帳) にアクセスできるよう希望しますが、正確さを維持するには、従業員の採用、異動、退職などにつれて 2 つのサーバーのディレクトリを絶えず同期化する必要があります。したがって、配備計画では、移行期間全体にわたって 2 つのディレクトリを定期的に同期化するための何らかのメカニズムを指定するようにしてください。
この問題への対処には Sun Professional Services を利用できます。ディレクトリの同期化を実行するための製品もいくつかあります。
ほとんどのネットワークシステムは、ユーザーのパスワードが他者に知られることを防止するように設計されており、Microsoft Exchange は特にこれに該当します。これらのセキュリティー対策のため、古いサーバーから新しいサーバーにユーザーを移行するときに、ユーザーの既存のパスワードを自動的に維持することは不可能になります。
一方、多くの組織は、インターネットアドレスの形式を標準化するか、Communications Suite への移行の際にドメインを組み合わせることを希望します。したがって、組織では、アカウント名やインターネットアドレスを派生させる方法とユーザーの新しいパスワードを割り当てる方法を、事前に決定する必要があります。
また、ネットワーク管理者は、これらのユーザー資格をユーザーと企業ヘルプデスクの両方に通知する方法も考案する必要があります。一般的な手法は、グループを移行する直前に電子メールマージを準備して、そのグループが新しいサーバーにはじめてログインする直前に各メンバーがそれぞれ自分の資格を受け取るようにすることです。
管理者の Connector for Microsoft Outlook 用デスクトップ配備設定ツールキットをインストールする方法については、『Sun Java System Connector for Microsoft Outlook 7.2 Installation Guide』を参照してください。Connector for Microsoft Outlook の設定と管理を行う方法については、『Sun Java System Connector for Microsoft Outlook 7.2 Administration Guide』を参照してください。
Connector for Microsoft Outlook で使用する Calendar Server の設定方法については、『Configuring Calendar Server for Connector for Microsoft Outlook』を参照してください。