Solaris のシステム管理 (第 2 巻)

ディスク割り当ての設定

ディスクの割り当てを設定することにより、ユーザーが利用できるディスク容量と、i ノードの数 (おおよそファイルの数に相当) を制限できます。これらの割り当ては、ファイルシステムがマウントされるたびに自動的に有効になります。この節ではファイルシステム用にディスク割り当てを構成し、設定し、有効にする手順を説明します。

ディスク割り当ての設定には、次の一般的な手順が含まれます。

  1. システムをリブートしてファイルシステムをマウントするごとにディスク割り当てが実施されるように、一連のコマンドを使用して、ファイルシステムでディスク割り当てを利用できるようにするための準備をします。エントリは、/etc/vfstab ファイルに追加しなければなりません。また、quotas ファイルは、ファイルシステムの一番上のディレクトリで作成しなければなりません。

  2. 1 人のユーザーに対してディスク割り当てを作成した後、そのディスク割り当てをプロトタイプとして、他のユーザーのディスク割り当てを設定できます。

  3. ディスク割り当てを実際に有効にする前に、他のコマンドを使用して、整合性をチェックします。このチェックでは、提案したディスク割り当てと現在のディスク使用率を比較して、矛盾しないことを確認します。

  4. 最後に、他のコマンドを使用して、1 つまたは複数のファイルシステム全体のディスク割り当てを有効にします。

上記の手順により、ファイルシステムがマウントされるたびに、そのファイルシステム上でディスク割り当てが自動的に有効になります。上記手順の特定の情報については、「割り当ての設定」を参照してください。

表 29-1 で、ディスク割り当てを設定するコマンドを説明します。

表 29-1 割り当てを行うコマンド

コマンド 

機能 

edquota(1M)

各ユーザーに対する i ノード数とディスク容量のハード制限とソフト制限を設定する 

quotacheck(1M)

マウントされている各 UFS ファイルシステムを調べ、ファイルシステムのディスク割り当てファイルにある情報と比較し、矛盾があれば報告する 

quotaon(1M)

指定したファイルシステムの割り当てを有効にする 

quota(1M)

マウントされているファイルシステムのユーザーの割り当てを表示し、割り当てが正しく設定されていることを確認する 

割り当て設定のガイドライン

ユーザーの割り当てを設定する前に、各ユーザーに割り当てるディスク容量の大きさとファイル数を決定する必要があります。ファイルシステムの合計領域サイズを超えないようにする場合は、ファイルシステムの合計サイズをユーザー数に等分すればよいでしょう。たとえば、3 人のユーザーが 100M バイトのスライスを共有し、それぞれが同じディスク容量のサイズを必要とする場合は、各ユーザーに 33M バイトずつ割り当てます。すべてのユーザーがそれぞれに割り当て制限を押し上げることがないような環境では、割り当ての合計がファイルシステムの合計サイズを超えるように個々の割り当てを設定することも可能です。たとえば、3 人のユーザーが 100M バイトのスライスを共有する場合は、それぞれに 40M バイトを割り当ててもよいということです。

あるユーザーについて edquota コマンドを使用して割り当てを決定すると、同じファイルシステム上の他のユーザーにも同じ割り当てプロトタイプとして利用できます。

UFS ファイルシステムの割り当てを構成し、各ユーザーに対する割り当てを終了したら、実際に割り当てを有効にする前に、quotacheck コマンドを使用して整合性をチェックしてください。システムがリブートされる機会がそれほど多くない場合、quotacheck を定期的に実行するようお勧めします。

edquota により設定した割り当ては、quotaon コマンドを使用して有効にしなければ強制的に設定されません。割り当てファイルを正しく構成したら、システムがリブートし、そのファイルシステムがマウントされるたびに、割り当ては自動的に有効になります。