Solaris のシステム管理 (第 2 巻)

割り当ての設定

表 29-2 作業マップ: 割り当ての設定

作業 

説明 

手順の説明 

1. ファイルシステムの割り当ての構成 

/etc/vfstab を編集して、ファイルシステムがマウントされるたびに割り当てが有効になるようにする。また、quotas ファイルを作成する

「割り当て用にファイルシステムを構成する方法」

2. 1 ユーザー用の割り当ての設定 

edquota を使用して 1 ユーザーアカウント用にディスクと i ノードの割り当てを行う

「1 ユーザー用の割り当てを設定する方法」

3. 複数ユーザー用の割り当ての設定 

省略可能。edquota を使用して、その他のユーザーアカウント用にプロトタイプの割り当てを適用する

「複数ユーザーに対して割り当てを設定する方法」

4. 整合性のチェック 

quotacheck を使用して、1 つまたは複数のファイルシステムの整合性について、現在の使用状況とディスクの割り当てを比較する

「割り当ての整合性を確認する方法」

5. 割り当てを有効にする 

quotaon を使用して、1 つまたは複数のファイルシステムの割り当てを有効にする

「割り当てを有効にする方法」

割り当て用にファイルシステムを構成する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. /etc/vfstab ファイルを編集します。割り当てを設定しようとする各 UFS ファイルシステムの「mount options」フィールドに rq を追加します。

  3. 割り当てを格納しようとするファイルシステムの最上位ディレクトリに変更します。

  4. 次のように入力して、quotas というファイルを作成します。


    # touch quotas
    
  5. root のみ、読み取り権/書き込み権を与えます。


    # chmod 600 quotas
    

例 - 割り当て用にファイルシステムを構成する

次の例は /etc/vfstab の内容で、システム pluto/export/home ディレクトリが NFS ファイルシステムとして、割り当てが有効 (mount options 列の rq エントリで示される) なローカルシステム上のマウントポイントにマウントされていることを示しています。


#device           device   mount       FS    fsck   mount   mount
#to mount         to fsck  point       type  pass   at boot options
#
pluto:/export/home -       /export/home nfs    -     yes    rq

次の例は /etc/vfstab の内容で、割り当てが有効 (mount options 列の rq エントリで示される) なローカル UFSファイルシステムが /work ディレクトリにマウントされていることを示しています。


#device           device            mount  FS   fsck mount   mount
#to mount         to fsck           point  type pass at boot options
#
/dev/dsk/c0t4d0s0 /dev/rdsk/c0t4d0s0 /work ufs  3    yes     rq

1 ユーザー用の割り当てを設定する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 次のように入力して割り当てエディタを使用して、quotas ファイルが最上位ディレクトリにある各マウント済み UFS ファイルシステムに対して、1 行の割り当て情報を含む一時ファイルを作成します。


    # edquota username
    

    username

    割り当てを設定しようとするユーザー名 

  3. 1K バイトディスクブロック数の弱い制限値と強い制限値、および i ノード数の弱い制限値と強い制限値を、それぞれ 0 (デフォルト) から各ファイルシステム用に指定されている割り当て値に変更します。

  4. ユーザーの割り当てを設定できたかどうかを確認するには、次のように quota コマンドを使用します。


    # quota -v username
    

    -v

    ディスク割り当てがある、マウント済みのファイルシステム上の、ユーザーのディスク割り当て情報を表示する 

    username

    ディスク割り当て制限を表示するユーザー名を指定する 

例 - 1 ユーザー用の割り当てを設定する

次の例は、/files だけがマウント済みファイルシステムで、edquota によって開かれた一時ファイルの内容を示しています。このファイルシステムの最上位ディレクトリに quotas ファイルが含まれています。


fs /files blocks (soft = 0, hard = 0) inodes (soft = 0, hard = 0)

次の例は、割り当て設定後の一時ファイルの上と同じ行を示しています。


fs /files blocks (soft = 50, hard = 60) inodes (soft = 90, hard = 100)

複数ユーザーに対して割り当てを設定する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 次のように割り当てエディタを使用して、すでにプロトタイプユーザー用に設定した割り当てを指定するその他のユーザーに適用します。


    # edquota -p prototype-user username ...
    

    prototype-user

    すでに割り当てを設定してあるアカウントのユーザー名 

    username ..

    1 人以上の追加アカウントのユーザー名を指定する 

例 - 複数ユーザーに対してプロトタイプ割り当てを設定する

次の例は、ユーザー bob に対して設定されている割り当てをユーザー maryjohn に適用します。


# edquota -p bob mary john

割り当ての整合性を確認する方法


注 -

ディスクのデータの正確さを保つには、quotacheck コマンドを実行するとき、チェックするファイルシステムが他のユーザーによって使用できないようにしてください。システムをリブートするとき、quotacheck コマンドが自動的に実行されます。


  1. スーパーユーザーになります。

  2. 次のように UFS ファイルシステム上の整合性チェックを実行します。


    # quotacheck [-v] filesystem 
    

    -v

    (省略可能) 特定のファイルシステム上の各ユーザーのディスク割り当てを示す 

    -a

    /etc/vfstab ファイルに rq エントリがある全ファイルシステムをチェックする

    filesystem

    チェックするファイルシステムを指定する 

    詳細は、quotacheck(1M) のマニュアルページを参照してください。

例 - 割り当ての整合性を確認する

次の例は、スライス /dev/rdsk/c0t0d0s7 上の /export/home ファイルシステムのディスク割り当てをチェックしています。/export/home ファイルシステムは、/etc/vfstab ファイルに rq エントリを持つ、唯一のファイルシステムです。


# quotacheck -va
*** Checking quotas for /dev/rdsk/c0t0d0s7 (/export/home)

割り当てを有効にする方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 次のように quotaon コマンドを使用して、ファイルシステムの割り当てを有効にします。


    # quotaon [-v] -a filesystem ...
    

    -v

    詳細オプション 

    -a

    /etc/vfstab ファイル内に rq エントリがある全ファイルシステムの割り当てを有効にする

    filesystem ...

    指定する 1 つ以上のファイルシステムの割り当てを有効にする 

例 - 割り当てを有効にする

次の例は、スライス /dev/dsk/c0t4d0s2/dev/dsk/c0t3d0s2 上のファイルシステムのディスク割り当てを有効にしています。


# quotaon -v /dev/dsk/c0t4d0s7 /dev/dsk/c0t3d0s7
/dev/dsk/c0t4d0s7: quotas turned on
/dev/dsk/c0t3d0s7: quotas turned on