サイトや ISP では、それぞれ事情も異なれば移行段階の手順も異なります。ここでは、サイト移行シナリオの例をいくつか紹介します。
サイト移行では最初に、IPv6 アドレスをサポートするためのネームサービスをアップグレードします。DNS の場合、BIND 4.9.4 以降などの新しい AAAA (クアド A) レコードをサポートする DNS サーバーにアップグレードします。2 つの新しい NIS マップと NIS+ テーブルを Solaris システムで作成、管理できます。新しいデータベースの詳細については、「Solaris ネームサービスに対する IPv6 拡張機能」を参照してください。
ネームサービスで IPv6 アドレスを処理できるようになったら、ホストの移行を開始します。ホストは、次の手順で移行します。
IPv4 互換アドレスと自動トンネルで、ホストを 1 つずつアップグレードします。ルーターのアップグレードは不要です。この方法は最初の試験的な移行に適した方法であり、IPv6 の機能のすべてが利用できるわけではありません。ステートレスアドレス自動設定や IP マルチキャストは利用できません。このシナリオはアプリケーションが IPv6 で実行できるか、またアプリケーションが IPv6 IP 層セキュリティを利用できるかどうかを確認するときに使用します。
ルーター間に設定したトンネルを使用して、サブネットを 1 つずつアップグレードします。このシナリオでは、サブネットごとに少なくとも 1 つのルーターをデュアルにアップグレードし、サイト内のデュアルルーターは設定したトンネルで結合します。これで、サブネット上のホストでは、IPv6 の全機能を利用できます。このように段階的にアップグレードしていく中で徐々にアップグレードされるルーターが増加するととともに、設定済みのトンネルは削除できます。
ホストをアップグレードする前にすべてのルーターをアップグレードします。この方法は逐次行われるように思えますが、すべてのルーターがアップグレードされるまでは IPv6 の機能を利用できません。このシナリオでは、段階的な配置方式は制約されます。